さて、4男が野球を始めて1か月弱がたちました。徐々に練習にも慣れて、ルールなど新しい学びも数多くあるようです。相変わらず、ほぼ毎日かかさずホームトレーニングを行っています。毎日の積み重ねが、上達の近道と信じて。
今回は、投球の自主トレをご紹介します。初心者でも出来る簡単なトレーニングです。
おススメ!✧٩(ˊωˋ*)و✧
・これから野球を学びたい
・野球超初心者だけど練習したい
・効率よく、ケガの無いよう練習したい
私自身も超初心者ですので、野球のことはわかりませんが運動を分析したり、文献をもとに考えています。私と一緒に学んでいきましょう!
テールバックの練習
テールバックとは、球を投げるほうの腕を体の後ろに振り上げて、パワーを溜める。
なるほど…。わからん。 ※わたしは野球超初心者です。
ということで、教本の写真を見ながら、運動の分析です。テールバックには、肩関節の動きと体の重心移動が重要そうです。
ちょっと肩の構造と注意ポイントを考えてみました。
・肩の関節は自由に動く範囲を確保するため、筋肉やじん帯で関節を支えている
・体に対して90度に手をあげたの位置で、手を後ろに引く肩関節の角度は30度
・肩の関節を外側に開いて手をあげるためには、外旋の動きが必要。
・肩の関節の動きを補うために、体幹の回旋が必要
投球するときに、手を後ろに振り上げるために肩の関節は重要です。肩関節は手を大きく上げたり、横に開いたり、ねじったりと自由度が高い関節です。それを可能にするために筋肉やじん帯によって支えられています。逆を言うと、痛みやケガを引き起こしやすい部分でもあるということです。
また自由度が高いといえども、手を挙げた状態で後ろに引く角度には限界があります。また、手を体の側方から上げていくときは、外旋という動きが必要です。そうしないと、腕の骨と肩の骨が衝突して関節の動きが十分でなくなるからです。
無理のない適切な範囲で肩関節を使うためには、体幹の動きも重要となってきます。体幹の動きに肩の動きを合わせる、協調的な運動も必要になってきます。体幹が動けば重心の移動も自然に生まれます。
要点をまとめますと、
・後ろに腕を振り上げるときの肩関節の動きを覚える
・肩関節の構造を考慮すると、外側に広げる、外側に回旋させる動きが必要
・肩の動きと体幹の連動した動きを覚える必要がある
これを踏まえて、一つの練習方法を考えました。
人間矯正ギプス
矯正ギプスとは、とある野球漫画(巨人の星)に登場する有名な矯正ギプスがあります。古い漫画なので知らない人もいるかもしれませんが…。
この人間矯正ギプスは、そんな怖いものではありません。人間の部分は、教える側の「あなた」。指でわっかをつくり、子どもの手首を持ちます。
ゆっくりと投球の動きをしながら、肩関節が適切な運動方向になるように導きます。外旋方向の動きを導いたら、持っている手を離します。
写真下段の一枚目の動きが肩関節外旋方向の動きになります。
肩の外旋という動きと体幹のねじれの連携のタイミングをつかむためのトレーニングです。
肩関節の動きと体幹の協調的な動きをスムーズに出るようにすることで、投げる球にパワーとスピードを乗せます。
これはただ単に投球のためだけではありません。先に述べたように関節には動く範囲が決まっています。この動く範囲を超えた過度な関節運動はケガにつながります。この体幹の回旋を上手に利用することにより関節の可動範囲を適切に保つと同時に、力任せの投球を防ぐことで関節を保護します。
ようするに、ケガの予防に努める目的があります。
体幹から、下半身にかけての安定性も極めて重要な要素です。
フォームの練習と合わせて、下半身のトレーニングも行っていますよ!
ボールをリリースする
教本には、ボールが離れる瞬間にパワーを乗せる、リリースポイントを一定に保つと書いてあります。
はて、リリースポイントとは??
わからなかったので、文献を探していたら手の中の筋肉と投球に関する文献を見つけました。
・球を手から離す理想のタイミングは、ステップ足(投げるとき前方に踏み出す足)への重心移動、体幹の回旋により、手が前方に位置した時
・手首の関節は、手をそらせるような(背屈)の位置になる
・手指の筋肉が弱いと、手首の関節の動きが硬くなったり、リリースポイントが早まったりする
なるほど。体幹の動きや重心移動に加えて、手の中の筋肉も重要ということがわかります。重心の移動や体幹の運動は、人間矯正ギプスで練習できますので、手の中の筋肉にポイントを絞って練習してみましょう。
3ピース&タッチ大作戦
勝手ながら、有名野球漫画とかけてます。ちなみに、この漫画作者(あだち充氏)の新しいシリーズ作品が出ていますね。ひそかに愛読しています。
さて、3ピース&タッチ大作戦では、指の筋肉を促すことと球のリリースポイントを的確に覚えることを目的としています。
3ピース:投球と手の中の筋肉の関係性
3ピースとは、つまり手で数字の3を現す時に、親指と小指を手のひらの真ん中でくっつけます。それが3ピース。この時に手の中にある筋肉をたくさん使います。
これが投球するときに大変重要であると言われています。
写真は4男の3ピースです。矢印のところ、指がくっついてません。その結果として、手首をそる可動域(背屈といいます)も少し制限がかかっています。
・学童期の肘障害の原因に、握力低下が危険因子の一つという報告
・障害を一度も経験しなかった投手の特徴に、小指と親指の対立運動(手のひらの前でくっつけること)が可能であること等が挙げられている。
ケガを予防するという観点から、握力や手の中の筋肉は重要であると考えられます。
さらに、球をリリースするポイントも変化していきます。
・手の中の筋肉の力が弱いと、前腕(肘と手首の間)にある筋肉を使う。この筋肉は手首をまたいで指についているため、手首の柔軟な動きを妨げる要因になる。
球をリリースするポイントは、足のステップや体幹の回旋によって重心が前方に乗った時です。ちょうど腕が顔の前に来て、さらに手が前方に伸びた時。
しかし、上記の理由で手首の動きが硬いと、この前方のポジションまで手を持ってくることができなくなり、リリースポイントが早くなってしまいます。さらに、肘や手全体に負担をかけることもあるでしょう。
これらを踏まえて、3ピース&タッチ大作戦を考えました。
手の中にある筋肉に力をつけるためには、やはりコツコツと毎日積み重ねの練習が必要です。
自分の動きを語るトレーニング
適切な運動学習を行うためには、
・体のセンサー、つまり運動の感覚情報を集める
・基本の動きをイメージする
・イメージした動きと実際の動きの感覚を比較、照合する
・その結果を言葉にする
・上手に投げれたとき、投げれなかったときの両方とも言葉にする
私たちの体の感覚情報のほとんどは無意識の中にあります。それを意識の世界に引っ張り出すためには、言葉にすることが重要です。
動きを言葉で表現するためには、自分の動きを把握しなければなりません。おのずと、自分の体に注目し、その感覚に心の目をむけるでしょう。
私たち親子のやり取りをちょっと見てみましょう。
【投げた球がおおきく外側にそれたとき】
今のどうだった?
上手く投げれなかった
自分が頭で考えたイメージと何がちがった?
ボールを離すタイミングが早かった。
他にはある?
わかんない
投げる手前のバランスはうまく投げれたときと比べてどうだった?
グラグラしていたかも
これらのやり取りを繰り返すと、徐々に答えが明確になってくるだけでなく、投げた瞬間にうまくいったかどうかが、自分のなかで検証できるようになってきます。
今のは体のタイミングがばっちりあっていた
動きのタイミングに気がついたんだね
とくに上手に投げれたときの動きを繰り返しイメージさせたいため、上手に投げれたときや自分で気づきが得られた時はフィードバックをしっかりと行います。
・うまくいかなかったときは、良い動きと比較して分析させる
・上手に投げれたときは、その動きを振り返る
このような思考の構造を作り出すことで、上手に投げれなかったときも、上手に投げれたときのイメージをすることができます。
でも、そもそも最初から上手に投げることはできませんから、スモールステップで、少しずつ動きを変化させていくことが重要です。コツコツ積み重ねる以外に近道はありません。
動きを覚えたての時ほど、きちんと体の使い方を学習することが重要です。自己流で覚えたクセを直すのは時間がかかります。
なぜなら、一度脳が動きを覚えてしまうと、脳の回路が出来上がってしまうからです。
さらに、重要なポイントがあります!
一球、一球の質を高くすることで、過度な投球練習を防ぐことができます。
自分の動きを知る、運動を振り返りながら練習することで、効率よく質の高い練習ができます。たくさん数をこなせばよいというわけではなく、むしろ過度に投げすぎるとけがにつながりやすくなる可能性が高いと様々な論文で報告されています。
まとめ
野球超初心者による野球練習法の第二弾投球偏でしたが、いろいろ本をみたり文献を調べました。どの本にも共通して書かれているのは、「ケガを予防すること」。つまり、ケガを予防することが重要であり、そのために投球フォームや適切な運動を学習する必要があるということがわかります。
初心者は一から運動を学習するわけですから、その時にきちんとした動きを学習しておくことが後々のケガの予防にもつながってきます。
最初から一度にたくさんの動きを覚えることはできません。ひとつひとつ動きを確認しながら覚えていく。時間はかかるかもしれません。でも、遠回りなようで、一番の近道だと私は思います。
繰り返しますが、あとからクセを直すのは時間がかかります。それはなぜか?クセを直すためには、ひとつひとつの動きの「すべて」を、もう一度確認していく作業から始めるわけですから。
覚えたての時に、コツコツと学んでいくことが大切です。
引用文献
・関節可動域表示ならびに測定法改訂について(2022 年 4 月改訂)
https://www.jspo.jp/pdf/rangeofmotion2022.pdf(access2021.12.26)
・亀ヶ谷真琴:骨関節疾患-小児スポーツ障害のリハビリテーション.総合リハ49(7).2021
・栗田健:手内在筋と投球障害-ボールリリース時の手の機能から内側型野球肘障害を考える-.PTジャーナル Vol.55 No.6.635-641.2021
・Harada M , et al : Risk factors for elbow injuries among young baseball players . J Shoulder Elbow Surg 2010;19:502-507
・岡田匡史:野球における回旋筋腱板トレーニング:PTジャーナル Vol.55 No.6.628-634.2021
・谷沢健一(監修):少年野球 上達法&コーチング:西東社.2004
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