まずはここから!小児リハを学ぶリハビリ専門解説!

自由自在なアスレチック「サーキット遊び」と子どもの特徴に合わせた工夫 6選

まずはここから!小児リハを学ぶ
サーキット遊び

朝早くから野球の送迎と試合の準備を手伝ってきました。私自身は「夜型人間」なので、朝はきつい…。でも、久しぶりに?朝日を浴びて健康になれた気がします。

たぶん、気のせいです どうも、ゆーです。
朝日で体内時計をリセット! 子どものためなら、朝早くても活動できます。でも、たまにはでいいかな…。

さて、みなさんアスレチックは好きですか?
 私の家は車で30分くらいのところに無料のアスレチックコースがあり、ときどき子どもをつれて遊びにいきます。登ったりおりたり、不安定なところでバランスをとったり、様々な体の使い方や身のこなしを学ぶことができるアスレチックですが、小児リハビリや養育でも室内で行われます。
 これを「サーキット遊び」と呼んでいます。今回は、このサーキット遊びの解説やあると便利な遊具、そしてお子さんの特性に合わせたサーキットの工夫を解説していきたいと思います。 

サーキット遊びとは、自由に組み立てられるアスレチック

サーキット遊びとは、トランポリン、ジャングルジムや一本橋、不安定な飛び石、肋木(はしご)など、さまざまな障害物を設置したコースを作り、その障害物を乗り越えながらゴールを目指す遊びを言います。
 その障害物はまるでアスレチックのコースに似ています。つまり、サーキット遊びとは、支援者と子どもが自由な発想によって組み立てることができる無限のアスレチックと言い換えることができます。
 

室内サーキットで使える主な遊具

トランポリン

 単体でも十分価値のある遊具です。ジャンプする力や空中で姿勢を保つ力等を促すことができます。
 サーキットでは、スタートにも、ゴールにも、中継地点にもどこでも使えます。また、ジャンプしながらボールを取るなどの活動を加えると、ジャンプとボールを取るという同時に複数の活動を処理するということを促すことができます。

ジャングルジム(滑り台・ぶらんこ)

 登るとき、降りるときに手元や足元を確認しますから、手足を見ることも促せます。
 くぐる遊びでは、自分の体の大きさを認識したり、四つ這いの姿勢を自然に促すことができます。
 登ったり、降りたりはもちろん、中をくぐることもでき、コースのバリエーションを増やすことができます。

はしご

 縦の方向(上下方向)に動きを与え、コースに立体感を生み出すことができます。また、ジャングルジムと同じように手でつかむ、足で踏ん張るといった活動や手元・足元を見る事を促すことができます。
 

ビルディングブロック(ソフト積み木)

 このソフトブロックは、組み立て自由なことから、飛び石にしたり、高低差をつけたり、縦に並べてとても簡単な一本橋の代わりにしたり、ブランコにのって足で倒すといった遊びにも展開できます。アイデアは無限です。

めちゃくちゃ使い勝手が非常に良い商品で、わたしもかなりの頻度で使います。ですが、値段が非常に高い…。

バランスストーン(飛び石)

 飛び石は、バランスをとる不安定な場所としてつかマスが、目標地点にも使えます。
 また、一つ一つの距離感を適切に把握する目的でも使うことができます。
 ちなみに、わたしは少年漫画雑誌などを積む重ねてガムテープでぐるぐる巻いて代用して利しています。

ソフト跳び箱

 純粋に跳び箱としてもつかえますが、高低差をつけたり、高いところからジャンプするといったことにも使えます。
 バラバラにしてつかって、立ち止まる場所にも使えそうです。

角材(一本橋のかわりに)・ソフト平均台

一本橋はバランス感覚を養えますが、不安定な場所をつくったり、ゆっくり歩くタイミングを作るのに使えます。
 角材は2本を一組にして一本橋を作ると耐久性も上がって使いやすくなりますよ。
 材質が固いので、高低差を付けたところに設置すると、坂道の一本橋を作り出すことができ、コースの幅が広がります。
 

ソフト平均台

一本橋と同様に、平均台はバランス感覚を養えますが、不安定な場所をつくったり、ゆっくり歩くタイミングを作るのに使えます。
 カラフルでわかりやすいので、コースをつなぐ道しるべとしても使えそうです。
 ちなみに、私は余ったフロアマットを細く切って使ったりしています…。

ゆー
ゆー

特別なものを用意しなくても、さきに述べたように少年漫画雑誌、あまったフロアマット、段ボールなど、アイデアと工夫次第でコースを作ることができます。

サーキット遊びのメリット

 サーキット遊びは次のようなメリットがあります。

・飽きることなく複数の活動や、反復的な身体活動を経験することができる
・年齢や発達の度合いに合わせて難易度の調整がしやすい
・目的によって自由にコースを組み立てることができる

 サーキット遊びは複数の遊具を連結させて、一つのコースを作り出しています。複数の身体木的な活動を取り入れることができると同時に、飽きさせずに遊びを行うことができるようになります。
 また、年齢や個々の発達に合わせて難易度を調整しやすいのもメリットの一つです。固定された遊具と違って、置く場所、高さ、幅などお子さんに合わせて臨機応変に調整することができますから、よりお子さんに適した活動を提供できます。
 そして、コースを自由自在に変化させることで、様々な目的に適したコースを作り上げることができます。
 
これら自由自在という部分が支援者にとって悩ますところでもありますが、このサーキット遊びの醍醐味ともいえるでしょう。

子どもの特徴に合わせたサーキットの工夫 6選

 サーキットは自由だからこそ、どのようなコースをセッティングしたらよいのか悩みます。これを解消するひとつのポイントとして、「目的を明確にする」ことがあげられます。
 この目的を明確にするためには、子どもがどのような特徴があり、サーキットによって何を体験させたいのかを考える必要があります。
 それを考えるための材料として、お子さんの特徴に合わせたサーキットの工夫を6つほど解説してみましょう。

場に慣れない、一般的な遊具は怖がって遊べないお子さん

 このような特徴を示すお子さんは、外部環境(自分の周りに広がる空間、物、人)から適切に情報を得ることができない、あるいは、自分自身の体のイメージが出来上がっていないので、遊具の遊び方がわからなかったり、遊具による感覚の変化についていけない、変化を予測することができないことで怖さを感じていると考えられます。工夫は次の通りです。

・目的色々な遊具を通じて、様々な世界(外部環境)を体験する
(ブランコ、色々な素材の床、高低差のあるジャングルジム、ボールハウス、傾斜等)
・子ども自身の把握できる世界が狭いので、狭いコース、小さなサーキットから始める
・しっかりとコースを見てもらう、支援者がやって見せる
・弱い刺激や感覚からスタートする

ゆー
ゆー

小さなサーキットから徐々に世界を広げるのです。

握る力が弱い、踏ん張る力が弱い等のお子さん

 力が弱いのは、筋力だけの問題ではない可能性があります。筋の張り(筋緊張)が弱いと、伸び切ったゴムのように収縮する力が弱くなったり、持続して力をこめることが苦手になってきます。

・ジャングルジム、はしご、肋木など握って上り下りする遊具を組み込む。
・一本橋、飛び石など不安定な足場を組み込んで、踏ん張る場所を作る
・好きなおもちゃやボールを壁などにはりつけ、不安定な場所からとってもらう。トランポリンを使って高所にあるものをとってもらってもよい。
・手すりなどをうまく使って、不安定な場所を移動する。これによって、踏ん張りと握ることの両方を促すことができる。

ゆー
ゆー

比較的固有受容覚(体を動かす感覚)がしっかりと入るような遊具を用いると、体を使っている感覚が子どもたちに伝わりやすくなります。

上を向きがち、または下を向きがち、姿勢が気になるお子さん

 姿勢が気になる、いつも上のほうばかり見ている、下のほうに視線を向けることが多いといったお子さんは、姿勢を保つための腹筋と背筋のアンバランスさが原因となっているかもしれません。

・上方向(のぼる、上に手を伸ばす等)と下方向(はいはい、トンネルをくぐる、下に手を伸ばす)をコースの中に組み込む。
・ジャングルジムはのぼる動きと、中をくぐる下の動きの両方を持っているので、上手に活用する。
・空間で姿勢を保つトランポリンのような遊びを組みこむ

ゆー
ゆー

不安定な場所で高いところにあるものを取る、下のほうにあるものを取るといった工夫をすると、難易度が高まります。

順番が待てない、衝動的に動く、動きが早いお子さん

 じっとしているのが苦手で、すぐに動き回ってしまったりするお子さんは固有受容覚(体を動かす感覚)を求めているために、動き回っている可能性があります。動くスピードが速いお子さんは、逆に考えるとゆっくりとした動きや弱い感覚刺激では自分の体を上手に把握できないために、ゆっくりとした動きが苦手である可能性があります。衝動的に動いてしまったり、順番を守れないお子さんは、頭の中でのセーブが効かない(抑制ができない)と考えられます。

・強い刺激と弱い刺激の強弱をつける
(トランポリンで強い刺激を入れた後に、ゆっくり一本橋をわたる等)
・止まる地点をコースの中に作る
(一か所にとまっておもちゃを取る、ボールを投げて的あてをする等)
・コースの順序、ルールを明確に設ける。集団を利用し、お友達が遊んでいるときは指定された場所いるための目的を持たせる。
(例えばスタート地点でお友達を応援する、「上手にボールを運ぼう」というコースであるならば、運ぶためのボールの準備をさせる等)

ゆー
ゆー

動きにメリハリをつける事と、ただ待つのではなく目的を持たせて待たせる工夫が必要です。さらに、できたことを認める声掛けが重要ですよ!

運動のイメージが上手にできない、計画が立てられないお子さん

 運動のイメージが上手にできないことで、運動を苦手に感じるお子さんがいます。自分がイメージする動きと実際の動きにズレがあったり、体から伝わる感覚情報と外部環境から得られる情報を、適切に照合することができないためにズレが生じている可能性があります。
 また、体のどこに注意を向ければよいのか、周囲の環境のどこに注目したらよいのかといった情報を適切に頭の中で使うことができないため、計画を立てることが苦手になるお子さんもいます。

・子どもと一緒に、遊具を選ぶ、コースを組み立てる
・ときに無謀なコースを作ったりすることもあるが、安全に配慮したうえで出来る限り実行してみる。
(あまりにも高所から飛び降りる、ブランコから遠くの目標地点まで飛び移るは危険なので、やめましょう。支援者がさりげなく調整してあげましょう)
・出来上がったコースを、子どもに説明してもらう

ゆー
ゆー

遊具から情報を読み取り、自分の体の動きに合わせてコースが作ることで、自分自身と物とを照合させていきます。また、計画を誤った場合は、どうしてうまくいかなかったのかを考える事、完成したコースを説明することは、頭の中での情報を整理するのに役立ちます。

支援者・見学する親の注意点

 サーキット遊びを見ている支援者、あるいは両親にも注意を払う必要があります。

・事前に目的を解説する
・「口出し」は子どもが考える、体験する機会を奪うことになるので、出来る限り口出ししないように説明する。
(「そんな高さじゃ無理だよ」「それちょっと遠くない?」など、子どもが考えたコースを否定しないで、見守るように)
・口だけでなく、手も出さないようにしてもらう。
(理由は一緒!)
・支援者の声掛け、対応を解説する。
(今後の生活の中に活かせるようにします)

ゆー
ゆー

親の協力もサーキット遊びには重要です。

まとめ

 小児リハビリの現場でも、サーキットは子どもたちが楽しくできるあそびの一つです。この楽しい体験が脳と体の発達には欠かせない感情です。
 子どもたちと一緒にサーキットを作ったりすることで、協力するということも学ぶことができます。
運動だけではない価値が、そこにはあるのです。

お読みくださって、ありがとうございました。

引用文献
・内田 智子:幼児期のラダー運動遊び,サーキット遊びおよび自由遊びが体力・運動能力向上に与える影響:内発的動機づけを重視した運動プログラムに注目して.発育発達研究.発育発達研究 (78), 1-12, 2018

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