おもちゃを検索していると、さわった感触を楽しむ「触覚系おもちゃ」を目にします。これらスクイーズとよばれる、さわったり、握ったり、伸ばしたり、つぶしたり、感覚をたのしむおもちゃって流行ったりしますよね。
手触り、柔らかさや手ごたえなどを楽しむ感覚系のおもちゃは、ときにストレス解消になったり、自閉症など発達障害のお子さんが持つと落ち着く効果があると言われているものがあります。
では、なぜそのような効果があるのでしょうか?
今回はおもちゃの紹介とその効果について紐解いていきます。
どうしてさわると落ち着くのか?
感覚が脳に入ると、脳は目を覚ます。
適度な感覚が脳に入ることで、脳自体の活動が活性化します。
たとえば、眠たいときにガムを噛みます。すると、あごの筋肉から適度に感覚が脳に入ってきます。刺激を受けた脳は目を覚まして眠気が少し改善します。
退屈な時、あるいは逆に集中力をあげたいときには、感覚を脳に適度に刺激を入れてあげると効果的です。
つまり、何かをさわっていることで集中力が増して、落ち着いて活動をすることができるわけです。
感覚を満たす
発達障害のお子さんのなかには、「動きたい」欲求が強い子がいます。
どうしてでしょうか?いくつか理由が考えられます。
・脳に刺激を入れて目を覚まさせるため
・集中力を高めるため
・自分の存在を知るため
脳が目覚める、集中力を高める点については上記に書いた通りです。
発達障害のお子さんは、自分自身で脳に刺激を入れることで、目を覚まして集中しようと試みます。
では、自分の存在を知るということはどういうことでしょうか?
感覚に偏りがあるお子さんは、自分の体をじょうずに認識することができません。わたしたちは、体から伝わってくる感覚によって、椅子に座っている自分自身や部屋のなかでどこに位置しているのかといったことを認識しています。これが、感覚の偏りによって不明瞭になると、身の置き場が無くなるようで、不安感を感じます。こういった時に、自分で刺激を自分に入れることで、自分を認識して安心感を得ようとします。
こういった背景から、動き回る感覚を得たいと思う子どもたちがいます。
しかし、授業中は自由に歩き回ることはできません。でも、動きたい、体を動かして感覚を得たいと思っています。
手いたずらや椅子をがたがたするのも、その一つの可能性があります。
これら行動は「椅子に座って授業をうける」ために、子どもたちが導き出した効果的な対処方法ととらえる事ができます。
刺激を感じにくい特性を持つ子どもたち
感覚の高閾値(刺激を感じにくい)を持つ子どもたちがスクイーズを好む理由は、彼らが「強めの圧力」や「しっかりした触覚」を感じやすくするためです。このタイプの子どもたちは、普段の生活の中で小さな刺激や軽いタッチでは十分に感覚が刺激されないため、もっと強い圧力や触覚の刺激を必要としています。スクイーズや抱きしめられるような動き、圧迫感のある触れ方は、こうした子どもたちにとって「満たされる感覚」になりやすく、リラックスや集中を助ける効果もあります。
具体的には、スクイーズによる圧迫感は「プロプリオセプション(固有受容感覚)」と呼ばれる感覚を刺激します。プロプリオセプションは、筋肉や関節の動きや位置を脳に伝える感覚で、自分の体の位置や動きの認識を助けます。この感覚が刺激されると、子どもたちは安心感や身体の境界をしっかりと感じやすくなるため、リラックスしたり、心が落ち着いたりするのです。
自分でコントロールできる安心感
実にいろいろな感覚情報の中で生活しています。感覚の情報量が多くなりすぎると、脳はその情報をコントロールしたり、処理したりするのに労力を使いますね。
自分にとって心地よいと思うものを触るというのは、脳の中の感覚情報を整理するのに役立つのではないかと思います。自らが触ることで、自分がイメージした感覚がそのままイメージ通りに入ってくることで、まさに自分の思い通りに情報をコントロールすることができる安心感、あるいは自信に近い感覚を得ることができます。また、心地よいという記憶やイメージが、触覚を通じて想起され情動に影響をあたえています。
ライナスの安心毛布
話は少しそれてしまいますが、「安心毛布」というものがあります。漫画「スヌーピー」で登場するライナスという子は、いつも毛布を手に持っています。
これ、赤ちゃんの時の絶対的な存在であるお母さんから成長するにつれて離れていくときに、精神的負担を軽減するためにその代わりのものをもつ、「移行対象」ともよばれます。
お母さんは絶対的な存在で、安心できる場所です。そこから一歩外に出ると、多くのストレスが待ち構えています。その不安感を和らげるためにも、お気に入りのものを触って安心感を得ているとも考えられます。
スクイーズ玩具といえば プッシュバブル
Go Pop!
シリコンで出来ており、表面にある凹凸(バブル)を指で押し込んで、その感触を楽しんだり、簡単なルールでゲームができるおもちゃです。
基本のあそびかたがあるようで、順番に1つの列のバブルを好きな数だけ押します。2人で交互にバブルを押して、相手に最後のバブルを押させたら勝ち。
自分たちでルールを考えて遊んでも楽しそうですね。
プッシュポップ 掛け算九九
人気のシリコンで出来たバブルを押すタイプのおもちゃの、九九がお勉強できるタイプです。
こちらは、手で押すだけで楽しく九九を覚えられる「シリコンバブル九九おもちゃ」です!見た目はポコポコ押せる普通のおもちゃに見えますが、実は中身は学びのヒントがたっぷり!バブルを押すときに、声に出して九九の問題と答えを読み上げれば、まるで遊びの延長で九九が身についていきます。
小さな手にもぴったりのやわらかいシリコン製で、持ち運びも簡単なので、外出先でも楽しくお勉強。九九を覚えた後も、復習やスピードアップに使えて、お友達や家族と一緒に「どれだけ早く答えられるかな?」といった競争も楽しめますよ。
お勉強がちょっと苦手なお子さんも、バブルをポコポコ押す楽しさで九九がだんだん好きになっていくはずです。親子で一緒に楽しみながら、遊びの中で九九の世界に飛び込んでみませんか?
スクイーズ玩具 テトリス プッシュポップバブル
有名なパズルゲームのように、ピースをはめ込んで遊ぶことができるプッシュバブルです。
感触を楽しむ以外に、パズルゲームとして遊ぶことができて、一石二鳥!
にぎって楽しむスクィーズ玩具
スクイーズボール
ボールタイプもあります。
このボールタイプであれば、握ったりするほかに、投げて遊ぶこともできますね。
日々のストレス解消にも、おひとつどうでしょうか?
おもちゃがもたらす効果とは?
・目と手の協調動作の促し
・指の身体図式、身体イメージを養うことができる。
・ルールを理解する、みんなで遊ぶ社会性を養う。
・触覚など感覚を楽しむ、リラックスする
指でバブルを押し込みますから、目と手の連携した動きや指先のトレーニングになります。また、指先から感覚が入ることから、注目を指先に集めることができ、より効果的に指の動きの認識を高めることができます。
ルールをみんなで決めて遊ぶことで、社会性やルールを理解し覚える記憶の部分も使います。
シンプルなおもちゃなので、遊びの自由度が高く
様々な目的や効果を持たせることができます。
まとめ
今回紹介したおもちゃでなくても、子ども自身が触って心地よいものであればOKです。長時間の移動や静かに過ごしてもらいたいときなどに使うととても便利です。子どもの特性によって合う合わないはもちろんありますので、ご注意ください。
さわってあそびながら、手先も気持ちも養うことができるスクイーズ玩具です。これらが流行るということは、子供も大人もストレスを抱えているからかもしれませんね。
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