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心配しすぎないで!子どもの内またを正しく理解するためのガイド

 「うちの子、歩き方がちょっと変かも…」
 ある日、公園で他の子どもたちと遊ぶ我が子を見て、ふと気になったことはありませんか?特に、つま先が内側を向いているように感じたり、歩くときに足がクロスするような動きをしていると、「これって成長の一環?それとも治療が必要なの?」と心配になる親御さんも多いでしょう。

 実は「内また」と呼ばれる歩き方は、幼少期にはよく見られる現象です。多くの場合は成長とともに改善しますが、場合によっては専門的なケアが必要になることもあります。

 今回の記事では、内またの原因や治療方法について、具体的かつわかりやすく解説していきます。お子さんの成長を見守る中での不安や疑問に寄り添いながら、必要な情報をお届けします。まずは、「なぜ内またになるのか」その背景から一緒に見ていきましょう!

内また(内股歩行)の原因は、主に以下のような医学的要因や身体的特徴に関連しています。これらについて、最新の医学的知見や論文に基づいて説明します。


1. 骨格および関節の要因

股関節の前捻角とは、大腿骨(太ももの骨)が骨盤と接する部分で、前方にねじれた角度を指します。この角度が普通より大きいと、つま先や膝が自然と内側に向きやすくなります。

股関節の過内旋(Femoral Anteversion)

 股関節の前捻角とは、大腿骨(太ももの骨)が骨盤と接する部分で、前方にねじれた角度を指します。この角度が普通より大きいと、つま先や膝が自然と内側に向きやすくなります。

どんな状態?
 たとえば、小さな子どもが立っているときや歩いているときに、膝や足先が「ハの字」に内向きになっているのを見たことがありませんか?これは股関節が内向きにねじれている状態が原因かもしれません。

・どうして起こるの?
 股関節のねじれ具合は、生まれつきや成長段階で変わることがあります。多くの子どもでは、成長に伴って骨の形が正常に近づき、この状態が自然と改善されます。ただし、一部の子どもでは成長しても内旋が強く残り、歩行や運動時に影響を与えることがあります。

参考文献: Fabry et al. (1973) による研究では、股関節の過内旋が子どもの内またの主要な原因として挙げられています。子どもによく見られる特徴のひとつです。

下腿骨の内旋

脛骨(すねの骨)が内側に回転していると、歩くときに足先が内側を向く「内また」の状態になることがあります。

  • どんな状態? 内またで歩くと、足先が内側を向いているため、外から見ると「足が交差しているような」歩き方に見えることがあります。特に歩行中に目立つことが多いです。
  • どうして起こるの? 生まれつき骨の形状や向きが少し内側に回転している場合、これが原因になることがあります。この場合も成長とともに自然に改善することが多いですが、状態が重い場合は、特別なサポートや矯正治療が必要になることがあります。

 子どもの内または成長の一環として見られることも多く、大半の場合、特別な治療をせずとも自然に改善することがあります。しかし、歩行に支障が出たり、成長しても改善が見られなかったりする場合は、整形外科医や理学療法士に相談することが大切です。


2. 筋肉および筋力の不均衡

股関節を内側に引き寄せる筋肉を**「内転筋」**といいます。この内転筋が強く働きすぎる一方で、外側に足を開く筋肉(外転筋)や足を外側に回す筋肉(外旋筋)が弱いと、つま先が内側に向きやすくなります。

股関節内転筋が強すぎる場合

股関節を内側に引き寄せる筋肉を**「内転筋」**といいます。この内転筋が強く働きすぎる一方で、外側に足を開く筋肉(外転筋)や足を外側に回す筋肉(外旋筋)が弱いと、つま先が内側に向きやすくなります。

  • どんな状態?
    子どもが歩いていると、足先が内向きになりやすい場合があります。たとえば、かかとをつけたまま足を「横に開く」動きが苦手な場合、内転筋が強すぎる可能性があります。
  • どうして起こるの?
    子どもの体は成長過程で筋力のバランスが変化するため、特定の筋肉が優位になりがちです。特に日常の動きや座り方(「W座り」など)がこのバランスに影響を与えることがあります。

体幹の筋力が弱い場合

体幹の筋肉は、背中やお腹周りにある筋肉で、身体全体の安定性を保つ役割を果たします。この筋肉が弱いと、体を安定させるために「内また」の姿勢をとることがあります。

  • どんな状態?
    内またの姿勢で歩くとき、全体的にふらつきやすかったり、片足立ちが難しかったりすることがあります。特に、バランスを取る運動(たとえば、ケンケンや片足ジャンプ)が苦手な場合、体幹の弱さが影響しているかもしれません。
  • どうして起こるの?
    運動不足や体幹を使わない姿勢(例えば長時間の椅子座りなど)が続くと、体幹筋力が弱まりやすくなります。これにより、姿勢を安定させるために「内また」の姿勢が自然と取られることがあります。

どうすれば改善できるの?

  1. バランスの取れた筋トレ
    股関節外転筋や外旋筋を鍛えるトレーニング(足を横に開く運動や足を外に回す運動)が効果的です。また、体幹筋を鍛える運動(プランクや体幹を使った遊びなど)も取り入れるとよいでしょう。
  2. 姿勢や座り方の見直し
    「W座り」を避け、正しい姿勢で座るように指導することが大切です。椅子に座るときも、両足を床につけて背筋を伸ばす習慣をつけましょう。
  3. 専門家への相談
    理学療法士や整形外科医に相談し、子どもの歩行や筋力バランスを評価してもらうことで、適切なエクササイズや治療を受けられます。

筋力の不均衡が内またの原因になっている場合、早めのサポートで大きく改善する可能性があります。日常生活で気づいたら、小さな工夫から始めてみてください!


3. 神経系の影響

内また(内股歩行)は、神経系の働きが影響を及ぼすことがあります。

内また(内股歩行)は、神経系の働きが影響を及ぼすことがあります。特に中枢神経系の異常や運動の学び方が関係している場合、それが歩行や姿勢に影響を与えることがあります。以下にわかりやすく説明します。


1. 中枢神経系の異常による影響

中枢神経系(脳や脊髄)は、筋肉や身体全体の動きをコントロールしています。この神経系に問題があると、筋肉の緊張や姿勢制御に異常が生じ、内またになることがあります。

  • どんな状態?
    例えば、脳性麻痺やその他の神経疾患がある場合、足の筋肉が過剰に緊張したり、逆に緩みすぎたりして、歩行時につま先が内側を向く「内また」の状態が見られることがあります。
  • どうして起こるの?
    脳や脊髄から送られる信号が正しく筋肉に伝わらないため、動きがスムーズでなくなったり、バランスを取るために内またの歩行パターンをとることがあります。
  • 特徴的な例
    • 筋肉が硬く縮んでしまい、内またの姿勢が固定化している。
    • 歩行がぎこちなく、足先が内側を向く。

2. 運動学習の問題

子どもが成長する過程で、歩き方や身体の使い方を「学習」していく中で、適切でない運動パターンが習慣化することがあります。これが内またの原因になることもあります。

  • どんな状態?
    幼い子どもが初めて歩き始めたとき、バランスを取るために足先が内側を向くことがあります。この歩行パターンが定着すると、成長してもその癖が残ることがあります。
  • どうして起こるの?
    神経発達が未熟な時期に、うまくバランスを取れないまま特定の動き方を繰り返していると、その動きが「正しい」と脳に記憶されてしまいます。これが長期的に続くと、内またの歩き方が自然なものとして定着してしまいます。

内また改善のためにできること

  1. 専門家による評価
    中枢神経系の異常が疑われる場合、医師や理学療法士による評価を受けることが重要です。必要に応じて、適切な治療やリハビリテーションが行われます。
  2. 適切な運動サポート
    歩行訓練や運動パターンの再学習をサポートするための理学療法が効果的です。たとえば、正しい歩き方を意識的に練習することで、運動パターンを改善することができます。
  3. 早期対応が鍵
    運動学習の問題の場合、早い段階で改善を始めると効果が出やすいです。遊びを通じて体の使い方を学ぶプログラムなども役立ちます。

神経系の影響で起こる内または、筋肉や姿勢のコントロールが難しい場合や、運動パターンの学習が適切でない場合に見られます。早期に問題を発見し、適切なサポートを行うことで、多くの場合改善が期待できます。


4. 内またと遺伝:家族の影響で起こる可能性もある?

内また(内股歩行)は、遺伝的な要素が関係している場合があります。特に骨格や関節の形状、筋肉のバランスなどが親から子へと受け継がれることで、内またが起こりやすくなることがあります。

 内また(内股歩行)は、遺伝的な要素が関係している場合があります。特に骨格や関節の形状、筋肉のバランスなどが親から子へと受け継がれることで、内またが起こりやすくなることがあります。以下に詳しく説明します。


1. 家族の中に内またの人がいる場合

内または、家族歴(遺伝)に関連して見られることがあります。たとえば、親や兄弟姉妹の中に内またで歩く人がいる場合、子どもにも同じ特徴が見られることがあります。

  • どんな特徴?
    • 骨の形が親に似ている場合、股関節や下腿(すねの骨)の向きに影響し、内またが起こりやすくなることがあります。
    • 筋力バランスや関節の柔らかさ(関節過可動性)が遺伝している場合、特定の姿勢や歩き方が似ることがあります。

2. 遺伝が内またに与える影響の仕組み

内またの遺伝的な要素には、主に以下のようなものがあります:

  • 骨格や関節の形状
    大腿骨(太ももの骨)のねじれ具合や、股関節の向きが遺伝的に決まりやすいことがあります。これが内またの姿勢や歩行に影響することがあります。
  • 筋肉のバランス
    筋肉の強さやバランスも遺伝の影響を受けることがあります。たとえば、親が股関節内転筋が強い体質の場合、子どもも同様の特徴を持つ可能性があります。
  • 関節の柔軟性
    関節が柔らかい(過可動性がある)家系では、内またや特定の歩行パターンが現れやすい傾向があります。

3. 内またが遺伝で見られる場合、どうすればいい?

遺伝的な要因で内またが見られる場合でも、以下の方法で改善やサポートが可能です。

  1. 成長を見守る
    多くの子どもは成長とともに骨格や筋肉が発達し、内またが自然に改善することがあります。小さな子どもの場合は過度に心配せず、定期的に様子を見るのが良いでしょう。
  2. 適切な運動や姿勢指導
    骨や筋肉のバランスを整える運動や、正しい姿勢で立ったり歩いたりする練習が役立ちます。
  3. 専門家に相談する
    遺伝的な影響が疑われる場合でも、理学療法士や整形外科医による評価で適切なサポートを受けられます。

 家族の中に内またの人がいる場合、その傾向が子どもにも現れることがあります。ただし、遺伝的な要因があっても、適切なケアやサポートを行うことで改善する可能性が高いです。子どもの成長を見守りながら、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。


5.環境・生活習慣の関係:日常の影響を見直そう

内また(内股歩行)は、遺伝や身体的な要因だけでなく、環境や生活習慣が原因で起こることもあります。特に幼少期に身についた姿勢や歩き方、履いている靴の影響が大きいです。以下に具体的に説明します。


1. 幼少期の歩行パターンの習慣化

子どもは成長の過程で、さまざまな姿勢や歩き方を「習慣」として覚えていきます。このとき、特定の歩き方が定着すると、それが大人になっても続くことがあります。

  • どうして起こるの?
    • 小さい子どもはバランスを取るのが難しいため、足を内側に向けることで安定を図ることがあります。
    • この歩き方を繰り返すうちに「自然な歩き方」として体に記憶されてしまいます。
  • どんな場合に注意が必要?
    • 座るときに「正座」や「ぺたんこ座り」(いわゆるW座り)を長時間続ける場合、股関節の内旋が強くなり、内またが助長されることがあります。
    • 座り方や立ち方の癖が原因で、骨格や筋肉の使い方が偏る場合もあります。

2. 靴の影響

子どもが履く靴も内またに大きく影響します。靴の形やサポートの有無が、足の動き方や歩行パターンに影響を与えるからです。

  • どんな靴が問題になる?
    • サイズが合わない靴
      小さすぎる靴や大きすぎる靴を履くと、足の動きが制限され、不自然な歩き方になることがあります。
    • 柔らかすぎる靴
      足首や土踏まずをしっかり支えない靴は、足の安定性を損ない、内またを引き起こす可能性があります。
    • すり減った靴底
      靴底が偏ってすり減っている靴を履き続けると、体重のかけ方が偏り、歩行パターンが歪むことがあります。
  • どうすればいい?
    • 足の成長に合わせた正しいサイズの靴を選ぶことが重要です。
    • 土踏まずをサポートするインソールを使うことで、足のアーチを正しい位置に保つことができます。

3. 内またの予防と改善に役立つ方法

環境や生活習慣が原因で内またが起きている場合、以下のような工夫が役立ちます。

  1. 歩き方や姿勢を意識する
    子どもの歩き方を観察し、内またの傾向がある場合は、バランスを取る練習や正しい歩行を教えるようにしましょう。
  2. 座り方を見直す
    長時間の「ぺたんこ座り」を避け、椅子に座る習慣をつけることで、股関節や骨盤への負担を減らせます。
  3. 適切な靴を選ぶ
    • 正しいサイズの靴を選ぶ。
    • 土踏まずを支えるインソールを活用する。
    • 靴底が均等にすり減っているか定期的にチェックする。
  4. 体を動かす遊びを取り入れる
    平均台やバランスボードを使った遊びを通して、体の軸をまっすぐ保つ感覚を養うことが効果的です。

 内または、幼少期に身についた歩き方の癖や、不適切な靴の使用が原因で起こることがあります。日常生活の中で環境を見直し、正しい姿勢や歩き方を意識することで、改善が期待できます。特に靴選びには注意し、成長に合わせた適切なサポートを行いましょう。


内またの治療と将来の見通し:どんな方法があるの?

内また(内股歩行)の治療は、その原因や重症度に応じてさまざまな方法があります。特に子どもの場合、成長による自然な改善が期待できるケースが多いですが、場合によっては専門的な治療が必要になることもあります。

内また(内股歩行)の治療は、その原因や重症度に応じてさまざまな方法があります。特に子どもの場合、成長による自然な改善が期待できるケースが多いですが、場合によっては専門的な治療が必要になることもあります。以下に、内またの治療方法と予後について詳しく説明します。


1. 自然経過観察:成長に任せる方法

幼少期の内または、骨や筋肉の成長とともに自然に改善することが多いです。

  • いつ改善するの?
    多くの子どもは7~10歳頃までに骨格が発達し、内またが目立たなくなる傾向があります。特に軽度の内または治療を必要としないことがほとんどです。
  • 経過観察が必要な場合
    内またが成長とともに改善しているかを確認するため、定期的に専門医の診察を受けると安心です。

2. 理学療法:筋力バランスを整えるトレーニング

内またの原因が筋肉の不均衡や弱さにある場合、理学療法が効果的です。理学療法士による指導で、正しい運動を取り入れることが重要です。

  • 主なトレーニング内容
    1. 股関節外旋筋の強化
      太ももを外側に回す筋肉を鍛えることで、足が内側に向きにくくなります。
      • 横向きに寝て脚を持ち上げる運動(ヒップアブダクション)などが効果的です。
    2. 体幹トレーニング
      体幹(お腹や背中の筋肉)を強化することで、姿勢が安定し、歩き方が改善します。
      • プランク(うつ伏せで体を支える運動)やバランスボールを使ったエクササイズが有効です。
  • 効果
    筋肉を鍛えることで、骨格にかかる負担が軽減され、内またの歩き方が徐々に改善します。

3. 装具の使用:必要に応じたサポート

内またの矯正をサポートするために、装具を使用することがあります。

  • どんな装具を使うの?
    1. 足底板(インソール)
      足のアーチを支えることで、正しい歩行を促します。
    2. 矯正装具
      膝や足首を固定するタイプの装具で、内またを防ぎながら歩行の改善を目指します。
  • 装具はどれくらい使うの?
    成長とともに必要性が変わるため、定期的に装具の調整や使用の見直しが行われます。

4. 手術:重度の場合の選択肢

内またの原因が骨の構造的な変形にある場合や、保存療法で改善が見られない場合は、手術が検討されることがあります。

  • 手術の対象
    • 骨のねじれが強い場合(大腿骨の過内旋や脛骨内旋)。
    • 内またが歩行や日常生活に支障をきたす場合。
  • どんな手術が行われるの?
    骨を切って向きを修正する「骨切り術」などが一般的です。
  • 手術後のケア
    手術後は理学療法を行い、骨が適切に回復するようサポートします。

5. 内またの将来の見通し

適切な治療やケアを行うことで、多くの場合、内または改善します。

  • 軽度の場合
    自然に改善することがほとんどで、特別な治療を必要としない場合が多いです。
  • 重度の場合
    理学療法や装具の使用、場合によっては手術を行うことで、症状が大幅に改善し、日常生活に支障がなくなることが期待されます。

まとめ

 内または、子どもの成長とともに自然に改善することが多いですが、必要に応じて理学療法や装具の使用、手術が行われます。

 内またの原因は多岐にわたり、成長段階や個人差によって異なります。具体的な診断や治療方針は、整形外科医や理学療法士による詳細な評価が必要です。

 早期に専門家の診察を受け、適切な治療法を選ぶことで、子どもの歩き方や姿勢をしっかりサポートできます。成長の一環として捉えつつ、必要なケアを進めていきましょう。

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