感覚がにぶく受け身的な「低登録」のお子さんに対して、色々な感覚刺激によって「気づき」を与えることが重要となります。
今回は、着替えや整容などの身辺処理に焦点をあてて、鈍感なお子さんの支援方法を考えてみましょう!
着替えや整容など、身辺処理に関する支援
聴覚からの支援
タイマーやアラームを使う
身支度の各ステップに対してタイマーを設定し、時間が来ると音で知らせる。例えば、着替えに5分、歯磨きに3分といった具合に設定します。
タイマーの音が鳴ったら次のステップに進むことで、子どもが時間の感覚を持つ手助けになります。
音楽やリズムを取り入れる
音楽をかけながら身支度をしたり、身支度をリズムに合わせて行うことで、子どもが楽しく取り組むことができます。例えば、シャツを着るときに「1, 2, 3, 4、シャツを着る!」といったリズミカルな掛け声を使います。
音楽に合わせて動くことで、聴覚と運動感覚を結びつけることができます。
また、音楽ではありませんが聴覚を効果的に刺激する方法の一つとして、スマートフォンやタブレットに身支度の手順を音声で録音しておきます。例えば、「次は靴を履きます」「歯を磨きましょう」といった指示を録音し、必要に応じて再生することで、子どもが自分で確認しながら進めることができます。
視覚支援と併用する
音声指示と一緒に視覚的な手がかりを提供することで、理解を深めることができます。例えば、身支度の手順をイラストや写真で示したカードを使い、音声でその手順を説明します。
カードを一つ一つめくりながら、「次はこれをするよ」と音声で伝えることで、視覚と聴覚の両方から情報を得ることができます。
親子でのコミュニケーションを大切にする
身支度の過程を一緒に楽しむことで、子どもが積極的に参加する意欲を高めます。例えば、「一緒に靴を選ぼう」「今日はどの服を着たい?」といった質問を投げかけ、子どもの意見を取り入れながら進めます。
子どもが自分の選択をすることで、自主性が育まれ、身支度のプロセスが楽しいものとなります。
視覚からの支援
視覚的スケジュールを使用する
日常のルーティンや身支度の手順を図解したスケジュールを用意します。例えば、朝の身支度の流れをイラストや写真で示し、順番にチェックしていく形式です。
スケジュールを子どもの目の届く場所に掲示し、自分で確認しながら進められるようにします。
色分けされた収納
洋服や小物を色分けして収納することで、視覚的に区別しやすくします。例えば、シャツは青いボックスに、靴下は赤いボックスにといった具合です。
色分けにより、特定のアイテムを探しやすくなり、自立して身支度を進める手助けになります。
ピクチャーカードを使う
各ステップに対応するピクチャーカードを用意し、それを使って身支度を進めます。例えば、「歯磨き」「顔を洗う」「服を着る」といったカードを順番に並べて、視覚的に次のステップを確認できるようにします。
カードは見やすく、分かりやすいイラストや写真で作成します。
衣類のレイアウトを見せる
前夜に次の日の服装をセットアップして、ベッドや椅子の上にレイアウトしておきます。例えば、シャツ、ズボン、靴下を見やすい順に並べておくことで、子どもが朝になって迷わずに服を選べるようにします。
この方法は特に朝の時間にスムーズに身支度を進める助けになります。
鏡を活用する
鏡にステッカーやマークをつけて、子どもがどこを見るべきかを明確にします。例えば、顔を洗った後に顔をチェックするポイントや、髪を整える位置にマークをつけます。
子どもが自分の姿を確認しやすくすることで、自己評価能力を高めます。
動画やアニメーションを利用する
身支度の手順を説明する短い動画やアニメーションを見せることで、視覚的に理解を深めることができます。例えば、歯磨きの仕方や髪をとかす手順を動画で示します。
視覚的な動きがあると、子どもがより興味を持ちやすく、手順を理解しやすくなります。
運動・前庭覚の支援
運動を取り入れた身支度
身支度の間に軽い運動を取り入れることで、体を動かしながら行う。例えば、靴を履く前にジャンプをする、歯磨きの前にストレッチをするなど、身支度の一部として運動を組み込みます。
これにより、子どもが楽しみながら身支度を進めることができます。
身支度の手順に運動要素を組み込む
手順の中に運動要素を取り入れることで、体を動かしながら身支度を行う。例えば、服を取りに行くために部屋を一周する、シャツを着る前に床にあるものを拾い上げるなどです。
これにより、子どもが自然に体を動かす習慣を身につけられます。
異なる質感のマットやカーペットを使用する
異なる質感のマットやカーペットを使って、身支度をする場所を変えることで感覚の刺激を与えます。例えば、バスルームには柔らかいマット、玄関には硬めのマットなどです。
また、滑り止めマットやすべり止めの靴などをつかって、床と足裏との摩擦力を高めることで、感覚が入りやすくなります。
これによって足の裏からの感覚入力が増え、運動覚が強化されます。
触覚の支援
ブラッシングやマッサージ
身支度の前にブラッシングやマッサージを行い、触覚を刺激します。例えば、柔らかいブラシで全身を軽くブラッシングすることで、皮膚の感覚を目覚めさせます。
マッサージオイルやローションを使って優しくマッサージすることで、リラックスしつつ触覚を活性化させます。
異なる質感のタオルや布を使用する
異なる質感のタオルや布を使って、触覚を刺激します。例えば、粗いタオルで拭いた後に柔らかいタオルで仕上げるなどです。
この方法で、子どもが様々な感触を経験し、触覚の敏感さを養うことができます。
感覚が分かりやすい質感のある服を選ぶ
凹凸の多い質感の靴下やシャツをえらぶことで、感覚をを提供します。子どもが明確に触覚を感じることで、身支度がスムーズになります。
気温や環境に応じた服装のアドバイス
子どもと一緒に天気予報を確認し、気温や天候に応じた服装を選ぶ手助けをします。例えば、寒い日はレイヤーを重ねる、暑い日は軽装を選ぶなどのアドバイスを行います。
これにより、子どもが自分で適切な服装を選べるようになります。
温度に関しては、ほかにもやけどを防止するために給湯器の温度は、低温に設定するなどの工夫が必要です。
味覚・嗅覚の支援
香り付きの服やシーツ
柔軟剤や香り付きのシーツスプレーを使用して、子どもが服やシーツに心地よい香りを感じられるようにします。例えば、ラベンダーやバニラの香りの柔軟剤を使うことで、リラックス効果も期待できます。
アロマディフューザーを使用する
身支度の時間にアロマディフューザーを使用して、心地よい香りを部屋に広げます。例えば、柑橘系の香りで朝のリフレッシュ感を、ラベンダーの香りで夜のリラックス感を提供します。
香り付きの文具を使う
子どもが身支度のリストを作成する際に、香り付きのペンやノートを使用します。例えば、チョコやベリーの香りがするペンでリストを書くことで、香りを楽しみながら身支度を進められます。
嗅覚を刺激する活動を取り入れる
身支度の前後に嗅覚を刺激する活動を行います。例えば、香りのあるキャンドルを嗅ぐ、アロマオイルを手に塗って香りを楽しむなどです。
これにより、嗅覚の感受性を高めることができます。
味覚を刺激するアイテムを用意する
身支度の前に味覚を刺激するアイテムを用意します。例えば、ミント味の歯磨き粉やフルーツフレーバーのリップバームを使うことで、味覚の刺激を感じられます。
特に朝の身支度の際に、フレッシュな感覚を味わうことで目覚めが良くなります。
香りのバリエーションを楽しむ
毎日の身支度に異なる香りを取り入れることで、嗅覚の多様性を楽しむことができます。例えば、月曜日はシトラス、火曜日はバニラ、水曜日はラベンダーといった具合に、日替わりで香りを変えます。
これにより、子どもが香りを楽しみながら身支度を行えるようになります。
嗅覚を刺激するゲームやアクティビティ
身支度の合間に嗅覚を刺激するゲームやアクティビティを取り入れます。例えば、目を閉じて香りを当てるゲームや、香り付きのシールを使った遊びなどです。
楽しみながら嗅覚を刺激することで、嗅覚の敏感さを養うことができます。
まとめ
低登録、感覚が鈍いお子さんに関しては、目立たないこともあり、その支援についてあまり意識されていません。
これらの方法を取り入れることで、様々な感覚を刺激しながら、子どもが楽しく身支度を行えるようになります。
どのような感覚に鈍さがあるのかを明確にしたうえで、必要な支援を取り入れてみましょう。
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