「一緒に遊ぼうとおもっても、どうやって遊んであげたらよいのかわからない」
「一緒にあそぶことがむずかしい」
じつはこれ最近、わたしの外来に訪れたご両親からの相談です。
あなたも「あそびにくい」と感じたことがありますか?
ちょっとしたコツさえあれば、一緒に遊ぶことができるようになります。
わたしが仕事で実際に行っている「コツ」と「遊び方」をコッソリ教えちゃいます!
言葉にたよらず、感覚にたよる
自閉症の子供とじょうずに遊ぶためにはコツがあります。それは…
▸ 「感覚」をつかったコミュニケーションをとる
感覚はさまざまあります。見る=視覚、聞く=聴覚、触る=触覚などなど。
これら「感覚」を使って遊ぶが自閉症の子供には効果的です。
具体的にどのような遊びをリハビリでは行っているのでしょうか。
ギューッとした「圧覚」
いちばんシンプルかつ手軽にあそべるのが、「ぎゅーっ」とした「圧覚」です。
なかでも、「抱っこ」はモノもいらず、あなたの体さえあればOK!
でも、嫌がる子どもがいるんです。その理由は…感覚が感じにくいからかもしれません。
そこで、「ちょっとつよめに」を意識して、ヒフから圧力を感じれるように「ぎゅーっ」としてあげると、あんがい上手に受け入れられることがあります。
ふとんやマットでサンドイッチ
小児のリハビリでは「抱っこ」は限定的です。
理由はいろいろありますが、スキンシップ自体があらぬ誤解を招く恐れもありますので…。
そんなときには、「布団」や「マット」を使って、子どもを挟み込み「ぎゅーっ」とした感覚をあたえます。マットで子どもをサンドイッチするのです。
柔らかいマットであれば、ちょっと強めに挟み込んでも痛くありません。
ただし、あまりにも過剰な力では「けが」や「窒息」の危険があるので、かならず子どもの表情を確認しながら行います!これは必須です。
挟み込んだマットから脱出するゲーム
マットをもって子どもを追いかけて挟み込む「追いかけっこ」
これもよく遊びに取り入れています。
見て楽しむ、乗って楽しむボール遊び
ボールにはスーパーボールやビー玉のような小さなものから、バランスボールのような大きなものまで様々あります。
ちいさなボール
転がす、はねることによって、「視覚」の変化を生み出すことができます。
つまり、「見る」楽しさです。
くるくるチャイムやころガッタン、あるいは厚紙や段ボールでスーパーボール・ビー玉を転がすコースを手作りしても良いでしょう。
視覚で楽しむ遊びをきっかけに、「ボールを手渡してあげる」、「一緒にボールを入れる」といったように子どもと関わることができます。
くるくるチャイムのような商品は色々なメーカーから出されています。
ころガッタンのようにハンマーでボールを叩いて遊ぶおもちゃもたくさん!
バランスボール
大きめのボールは乗ったり跳ねたり、全身をつかって投げたりすることによって、「固有受容覚」という体を動かす時に生まれる感覚が生じます。
この「体を動かす」という感覚を好む子供は多く、やや強めの感覚によって「楽しさ」を感じます。
また、この感覚をたくさん取り入れることによって、自分の体の気づきにもつながり、一石二鳥。
抱っこしながら一緒にボールにのる、はねる
おおきめのボールでキャッチボールする
このようにして一緒にあそぶことができます。
バランスボールは表面になにもついていないタイプがおススメです。
たまに「トゲトゲ」がついている物もあり、つよい刺激を求める子供におススメです。
感覚あそびの王道「ボールハウス」
子どもの手でも投げやすい大きさのボールがたくさん入ったテント。
ボールハウスのなかで、たくさんのボールと体が触れ合うことによって「触覚」をあたえることができます。また、カラフルなボールによる「視覚」の変化、テントのなかという刺激の少ない空間のなかで、楽しむことができる王道のおもちゃです。
ボールハウスは個室感もあって、よろこんで中に入る子が多い印象です。
おもしろいことに、ボールが中にたくさんあるのを見るだけで安心する子もいます。
一緒に入ってあそぶ
あるいは、一緒に入るのを嫌がる子どもには、外からボールを投げ入れたりして、一緒にあそぶことができます。
からだいっぱいダイナミックあそび
子どもたちの動きたい欲求を満たし、「体の動く感覚」をたくさんいれることで、子どもたちの動きたい欲求を満たします。
トランポリン
みんな大好きトランポリンです。私の担当した子どもたちの8割は良い反応です。
一方で、2割の子どもたちは「強めの刺激」がこわいと感じることがあり、あまり乗りたがりません。
そういった子どもたちでも、ほかの好きな遊び、例えばボールあそびとトランポリンを組み合わせると、楽しく遊ぶことができます。
室内用のトランポリンには、手すり付きやネット付きのほか、クッションタイプの物もあります。
クッションタイプは場所もあまりとらず、音も静かなのでおススメです!!
一緒に飛び跳ねる(大型のトランポリンであれば)
大人と手をつないでジャンプする
大人がゆらしてあげる
このようなかかわりによって一緒に遊ぶことができます。
ジャングルジム
立体的な空間で体をつかうことによって、「体が動く感覚」をたくさんとりこむことができます。
ただ、室内用のジャングルジムはちょっと置き場所を選びますね…あんがい大物ですので。
プラスチック製や、木製のものもあれば、ブランコ付きやドーム型のものまで様々あります。
ドーム型は、療育の現場でも欲しい遊具のひとつです。
おもいっきり遊ぶならば、公園や学校の遊具にあるジャングルジムを使うのもよいでしょう。
こわがる子どもには手を差し伸べてあげる!
すると、安心してジャングルジムに乗ることができます。
手を差し伸べてくれた人は「安心できる人」という印象がつき、より一緒に遊びやすくなります。
他には、ジャングルジムに布をかけたり、障害物をおいて出てくるのをちょっと邪魔したりして、関わることができます。
スクーターボード
スクーターボードはキャスターがついている板で、乗って遊ぶおもちゃ(遊具)です。
このスクーターボードも6割ほどの子どもから良い反応が得られています。
スピード感やバランスの感覚、体を動かす感覚や重力(G)をからだ全体から感じます。
ハンドル付きであれば、それにつかまることができるので、安全に楽しく遊ぶことができます。
ペダルをこいで進むこのおもちゃは、療育の現場でも大人気の乗り物です!
ロープをつけてひっぱってあげる
後ろから押す
このように関わることで一緒に遊ぶことができます。
また、強めの感覚を好む子どもには、柔らかいクッションやマットを立てて、そこにいきおいよくぶつかりにいくといった、激しめの遊びをすることもあります。
自閉症の特徴といえば
▸相手を意識しない
▸目をあわせることが少ない
▸だれかと一緒に遊ぶことをしない
ほかにも色々とありますが、行動や遊びの特徴というと、経験上は上記のような様子が観察されます。
このような行動を「コミュニケーションの質的な低下」と言ったりします。
コミュニケーションは言葉だけではありません。
言葉以外のコミュニケーション、つまり相手の態度や様子をうかがうといったことが苦手になるわけです。
それに加えて、「ことばの遅れ」があったら、いったいどのようにして一緒にあそべばよいのでしょうか…。 なぜ、遊びにくいと感じるのでしょうか?
その答えは
「ことば」
にたよったコミュニケーションをとろうとしているからです!
だから!
感覚をじょうずに活かすことで、やり取りが苦手な自閉症の子どもと一緒に遊ぶことができます。
「わたし」を意識させる関わり
自閉症の子供と遊ぶときに、もうひとつ重要なポイントがあります。
とある自閉症の子供をもつママの会話です。
パパがしつこいくらい、あそびたがるんです。
本人はあまりその気じゃないですけどね。
とにかくパパがしつこいw
パパさん!ある意味、正解です。
自閉症の子供と関わる重要なポイントは「自分以外の誰かを意識させること」
つまり「わたし」の存在をアピールすることです!
遊ぶかたはいろいろありますが、積極的にかかわっていく姿勢がとても大事になってきます。だから、さきほどの会話にあったパパさんは正解!!
でも、あまり「嫌がること」「こわいこと」をすると、逆に「トラウマ」になってしまい、一緒に遊ぶどころか、遠ざけてしまう場合がありますので、「たのしい」をベースに関わりましょう。
「わたし」のマネをする
遊んでほしいと誘われる
コレが子どもからではじめたらこっちのものです!
こんな声掛けをしています
リハビリの現場では、私自身声掛けを多くします
そのなかで代表的かつもっとも良くしている声掛けはこんな感じです。
特に上の2つは、めちゃくちゃ良く使います。
カンタンな声掛けですので、経験上でことばの遅れがあっても「理解」できることが多いです。
声掛けをして子どもからの反応を待つ!
コレによって、子どもが「わたし」を意識できているかわかります。
声掛けが定着してくると、「わたし」のほうをみて声掛けを待ったりするようになります。
こうやって一緒に遊ぶ関係性がどんどん深まっていきます。
実際の現場で、どのように遊ぶかのコツとポイントを具体的なあそびを紹介しながら解説しました。
もっと詳しく知りたい人 専門的な話を知りたい人は、こちらの記事を読んでみて!
コレであなたも「感覚あそびマイスター」
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