小児リハビリにずっとかよっていたお子さんが「倒立」を披露してくれました。そしたら、おかあさんが大喜び!!地道に体の使い方を学んできたお子さんと、ずっと通い続けてくれているお母さんの努力のたまものです。
とてもきれいな倒立姿勢でした どうも、ゆーです。
親子で築き上げた結果ですね!掲載にあたりご家族の許可をいただいております。
さて、今回は病院では教えてくれない小児リハビリひみつの観察ポイントのその3です。
こちらも合わせて読みたい!
・病院では教えてくれない、小児リハビリひみつの観察ポイント①
(待合い~部屋移動まで)
・病院では教えてくれない、小児リハビリひみつの観察ポイント②
(部屋に入った瞬間)
その②では、部屋に入った瞬間をどう評価するのかというはなしでした。今回は、いよいよ「あそび」に着目していきたいと思います。では、どうぞ。
どのようなおもちゃを選択するのか?
部屋に入ったお子さんが、どんな遊具やおもちゃを選ぶのかを観察します。
どんなことを観察しようかな?
・遊具やおもちゃを大まかなカテゴリーに分けて考える
・第一に選択するおもちゃはなにか?
・自分で選択するのか、セラピストが選ぶのか?
お子さんが部屋に入ってどのようなおもちゃを選択するのか、どのように遊ぶかを観察することで、その子の好きな感覚や特性を知る手がかりにしていきます。
ここからは私の経験上のお話を含みます。
科学的なエビデンスが無い場合もありますので、それを踏まえたうえでお読みください。
遊具やおもちゃのカテゴリー分け
あそびの選択からお子さんの状態を知るには、遊具やおもちゃをカテゴリーに分けておく必要があります。
・大型遊具(トランポリンやジャングルジム、ブランコ等)
・音や視覚的変化を中心とした感覚系のおもちゃ(くるくるチャイム等)
・ごっこ遊びができるおもちゃ(レジごっこ、おままごと等)
・ルールや操作の理解が必要なおもちゃ(黒ひげ危機一発、野球盤、ガシャポン等)
・推論・思考を必要とするおもちゃ(カードゲーム、パズル系のおもちゃ)
・工作系のおもちゃ(ブロック、大工さんセット、折り紙等)
さらにくわしく解説していきましょう。
大型遊具
大型遊具は固有受容覚や前庭覚といった強めの感覚が入ります。ですから体を動かす感覚が好き、あるいは体をダイナミックに動かすことをもとめていることがわかります。ぎゃくに手元で遊べるようなおもちゃを選択して遊ぶ場合、もっというと大型の遊具に興味を示さない場合は、体の使い方がうまくイメージできないのかな?と推測したりします。
視覚・聴覚の変化を楽しむ感覚系おもちゃ
視覚あるいは聴覚の感覚が優位、つまりその感覚に反応を示しやすいということが推測できます。あまり体を動かさず、複雑な操作の理解が必要ないので動くことが苦手だったり、知的レベルが十分発達していない場合もにも、このおもちゃを好む傾向があるように感じます。また、比較的操作が単純で、手元で遊べるおもちゃが多いことから、大型遊具のように複雑な体の使い方を必要としません。つまり、体の使い方がまだ十分発達していない可能性が考えられます。もちろん、体の動きは発達していても、その感覚が好きでみたり聞いている場合がありますから、ほかの遊ぶ様子を観察して考える必要があります。
ごっこ遊び
ごっこ遊びは、象徴遊びとも言います。以前記事にもしましたが、他者の真似やその役割を演じることで、その人が感じていることの理解を深め、自分なりに設定や状況をつくりだしていくことで、新たな場面に柔軟に対応していくための練習の場になります。また、他者とのコミュニケーションや社会性を養う場でもありますから、これらの事を学ぶ段階にあると推測することができます。
ルールの理解や複雑な操作が必要なおもちゃ
簡単な仕組みのおもちゃと複雑な仕組みのおもちゃですと難易度が違いますから、知的なレベルもある程度わかってくるわけです。もちろん、使い方をよく知らないような難しいおもちゃを小さいお子さんが選択することもありえます。そのときは、使い方をみてもよいでしょう。たぶん、上手く扱えなくてすぐに飽きて違うおもちゃを選ぶか、もしくは自分がわかる範囲(たとえば、おもちゃそのものを投げて遊ぶなど)での遊びをするかもしれません。また、ルールや操作を覚えるということは、その結果が予測できるとも言えます。たとえば、黒ひげ危機一髪は、海賊が飛び出てビックリするという結果がわかるからスリルを楽しむことができるわけです。こういったことも知的な発達、物事の見通しがつくかなどの様子をみることができます。
推論・思考を必要とするおもちゃ
戦略建てやルールの理解、先読みする能力など、ある程度の知能を必要とします。ですので、知的発達の程度がある程度推測できます。また、どのように戦略を考えているのか、どのようにパズルをといたのかを言葉に表現してもらうことで、そのお子さんが頭の中で情報をどのように扱っているのかを知る手がかりになります。
工作系の遊び
工作や何かをつくるということは、ひとつの自分の表現方法でもあります。どのようなものを作るかを観察することで、お子さんの考えている事や心の動きなども推測することができます。また、工作を選択するお子さんのなかには、道具の使い方を覚えてそれを使うのが楽しいと感じている子もいます。道具の使い方をさらに深めるチャンスだったり、手指の使い方が整ってきたことの判断材料にする場合もあります。これもやはりほかの遊びを観察する必要があります。
一部遊び方の様子観察も含まれていますが、どの遊具やおもちゃを選択するのかを観察することで、お子さんの特性をつかんでいきます。
セラピストがあそびを選ぶ場合
子どもが自ら遊びを選ぶ場合の話をしましたが、子どもが自分で選べないときはどうでしょう。
・好きな遊びや、普段使っているおもちゃの情報をお母さんから聞く
・困りごとやお母さんがリハビリに希望することを聴取する
・お子さんの行動面、生活面の情報を聴取する
・年齢(実際の年齢、発達の年齢)からおおよそ遊びそうなおもちゃを推測する
ポイントにあるような情報収集を事前に行い、そこからお子さんが遊びそうなおもちゃを選択していきます。たとえば、動きが激しいお子さんであったら最初の選択に「大型遊具」がきます。手先が不器用という情報があれば、手先を使うようなおもちゃを年齢に合わせて選択します。つまり、セラピストはおもちゃや遊具についてある程度分析しておかなければなりません。ですから、先に述べたおもちゃのカテゴリー分けがたいへん役に立ちます。
遊具やおもちゃを選ぶことができたら、セラピストとしてお子さんにやってほしいことを、ガンガン与えます((笑))
ですが、本人の主張や意見も尊重してですので、いくつか候補となる遊びを提案して、選択できるように工夫します。それでも選べないお子さんは、本人の許可を得て、こちらがやってほしいことを提供します。
自由な選択からスケジュールへ
回数を重ねてくると、リハビリにもなれて流れが決まってくるお子さんがいたりします。あるいは、遊びたいことがあふれでて収拾がつかなくなるお子さんがいます。そういうときは、時間的な感覚を養う意味でも、スケジュールをたてていきます。
スケジュールを効果的に進めていくために、わたしは次のような手順で行います。
①最初は、セラピスト主導でスケジュールをたてる
②子どもと一緒にスケジュールを考える
③子どもが主体となってスケジュールを考えるが、セラピストのやってほしい遊びも入れてもらう
④ほとんど子ども自身でスケジュールをたてる
スケジュールや時間の見積もりは以前記事にかきましたインターバルタイマーという体内時計を使います。この遊びは何分くらいやるのか、決められた時間のなかでいくつ遊びができるのか。そうやって情報を整理して、時計を意識しながら遊びを時間内に収める練習をしていきます。
しかし遊びに集中しすぎると、時間への注意がおろそかになってしまうため、いつでも目で確認できるようにホワイトボードや紙面に書き残しておきます。
また遊びの順番にも注意をはらいます。よくあるパターンとして、テンションが上がるような激しい遊びで終わりにならないように、ご褒美的な遊びやクールダウンできる遊びを最後にもっていくようにセラピスト側で配慮します。
一緒にスケジュールを立てれるようになったら、セラピストのやってほしい内容をどこかに入れ込むようにお子さんに交渉します。このやり取りが生まれるというのもポイントです。
もっと慣れてくると、部屋に到着した瞬間あるいは待ち時間に紙と鉛筆をかりて、自分でスケジュールを書いて準備するおこさんもでてきます。さらには自分自身でスケジュールを立てることができ、さらにセラピストがいつもやってほしいこととしてあげる遊びを盛り込んだものまで作成してくるお子さんもいます。相手の立場に立って、自分のスケジュールを考えることができるということです。
もちろん、お子さんの知的レベルによっては、大きくなっても支援や配慮が必要なお子さんもいます。そこには、やはりお子さんの状態をきちんと把握する目が必要なのです。
秘密のポイント
これは観察ポイントではありませんが、回数をかさねて子どもの特性がわかってくると、さりげなくそのお子さんが目に付きそうなところや興味をもちそうなおもちゃのなかに、セラピストとしてやってほしいおもちゃをおいたり混ぜたりしています。
こちらの意図した通りにおこさんが遊んでくれると、心の中で「へへへ」と微笑んでいるのはナイショです。
まとめ
どのような遊びを選択するのかというだけでも、かなりの情報をお子さんから得ることができます。実は書ききれない部分もまだまだあります。奥が深いです…。あと秘密ポイントがあまりなかったな…。
お読みくださってありがとうございました!
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