ひみつの観察ポイントシリーズも、第4弾まできました。
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(待合い~部屋移動まで)
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(遊びを選択する)
遊びを選択したらいよいよ遊んでいる様子を観察するんですが、一番ボリュームが多くなるところでもあります。無限にあるので書ききれない…。
ですので、厳選に厳選をかさねて、どのお子さんも必ず見ることをピックアップして解説していきたいとおもいます。では、どうぞ。
子どもの運動や姿勢をよく見る
子供たちが遊具やおもちゃで遊んでいる様子を細やかにみていきますが、まずは運動そのものや姿勢を見ていきます
運動や姿勢のわずかな変化を観察する
たとえば、トランポリンで飛んでいるときの様子ですと、ジャンプするときの姿勢、空中での姿勢、着地での姿勢、ジャンプする時の足の動き、手の動きなど、細部にわたって観察します。体の動きや運動を分解して、特徴的な部分をとらえていきます。
机の上で活動するときは、椅子に座っている姿勢やどんな風に足を床につけているかを確認したりします。そして手を使うときに、変な力が入っていないか、手先は細やかな動きができているか、そうでないかを確認します。
こういった運動や姿勢をみながら、ちょっと気になるところを見つけていきます。大きくバランスを崩すとかであればわかりやすいですが、さきのトランポリンで言えば、着地するときのほんの一瞬のタイミングのずれなどの、ほんの些細なことですと、ある程度ポイントを絞っておかないと観察することができません。
運動や姿勢を観察するには、まず自分自身がその運動や姿勢について分析しておく必要があります。
運動は連続している
そしてもう一つ大きなポイントが、動きを連結してみることです。
運動というのは連続していますから、本来は飛ぶとき・空中・着地というふうに、ぶつ切りに分かれてはいませんよね。連続してつながっています。説明するとき、便宜的に分けているだけです。
だからこそ、そのつなぎ目をよーく観察するわけです。
たとえば、ジャンプしたときに着地点がずれるとしましょう。着地点がずれるので、着地の部分にスポットを当てがちになります。
ですが動きを巻き戻してみますと、空中の姿勢が崩れている。さらに巻き戻しますと、ジャンプをするときの両足のタイミングがずれている。
だから、巡り巡って結果的に着地のポイントがずれてしまうわけです。そして、そのずれた着地点から再びジャンプを開始すれば、当然あとあとの動きはドンドンずれていきます。永遠に続く負のループが出来上がります。
運動のつながりの部分をしっかりと観察する、前後をつなげて観察することが重要なポイントになります。
感覚を把握する
感覚には、固有受容覚や触覚などの体性感覚、視覚、聴覚、前庭感覚などがあります。
合わせて読みたい!
・専門解説! 固有受容覚ってなぁに?感覚の話
あそびから感覚の特徴を把握する
子どもが持つ感覚の特徴を、「あそび」を通じて観察していきます。
例えば、トランポリンやブランコなどのダイナミックな遊具は、比較的つよめの固有受容覚や前庭覚がはいります。これら遊具に積極的か、消極的かで、その感覚が好きなのか、ちょっと苦手なのかがわかります。
それから音が鳴るおもちゃが好き、くるくる回るような見て楽しむおもちゃがすきといった、おもちゃの選択によっても感覚の好みを把握することができます。
小さな音にも敏感に反応する、目に入ったものにすぐ反応する、ちょっと触れただけでくすぐったがる、あるいはその逆もありますが、過敏さや鈍感さを把握することができます。
与える感覚に強弱をつける
この感覚の特徴をさらに明確にするために、とある工夫をしています。
それは、与える感覚に強弱をつけるということ。
どういうことかといいますと、たとえば、大きな音を立てた時と、小さな音を立てた時で反応の違いを見るということです。トランポリンでいえば、優しく揺らす時とはげしく揺らしたときで反応の違いをみます。様々な遊びのなかに、感覚の強弱、メリハリをつけていくわけです。
強弱をつけることで、その子にとって、最適な感覚の強さを把握することができます。
極端な例を紹介します。
注射が大好きなお子さんがいます。本来は痛いものですから、嫌ですよね。でも、強めの感覚が好きなお子さんは、その痛いくらいの刺激がたのしいと感じる場合があります。
コロ付きの椅子に座って、マットに突進する遊びがあります。怪我をするんじゃないかと思うくらい思いっきりマットにぶつかって、やっとたのしいと感じるお子さんがいます。
こういったお子さんは、いわゆる私たちが適度と感じる感覚では、脳が反応しません。
そうなると、強めの刺激をいれてあそぶことで、脳に情報をいれていくことが最適となるわけです。
感覚の特徴を知ることで、遊び方も変化していきますね!
言葉の理解、指示理解を把握する
いろんな年齢(発達年齢)のお子さんがいますから、言語の遅れがあるお子さんも当然いるわけです。
どのようにコミュニケーションをとるかを把握することも重要な観察ポイントとなります。
言語を使うコミュニケーション
どのようにコミュニケーションをとるかを把握するため、まずは言葉をつかって話しかけます。年齢や生育状況を確認したうえで次のポイントを確認します。
・複雑な文章、抽象的な表現で理解できるか
・短文や簡単な文章で理解できるか
・単語で理解できるか
抽象的な表現は「代名詞」をつかったり、カテゴリー分けがわかるかどうかが見るポイントです。複数の指示が入った長い文章を言ってみての反応をみることもあります。
これで指示が入りにくい場合は、より具体的な表現をつかいます。あるいは、短い文章に変えて、指示の内容は一つだけにします。
さらに文の理解が難しい場合は、単語で伝えます。
段階をつけて反応を見ていくことが重要です。
非言語のコミュニケーション
単語で伝わりにくい時は、非言語のコミュニケーションをとっていきます。
・ジェスチャーができるかどうか
・目の前でやってみせて、真似をするかどうか
・「セラピストが片付けをしている」「お母さんが帰る支度をしている」という様子を見て、今の状況が理解できるかどうか
ジェスチャーはその意味と運動が結びついている、あるいは言葉の聴覚イメージ(耳から聞いた言葉)と運動のイメージが結びつけられるかどうかがポイントです。ゆえに、ジェスチャーができるということは、言葉での表出はできませんが、ある程度の言葉を聞いて理解していることがわかります。
真似や状況の理解ができれば、なにかやってほしいことをセラピストが先行して行うことでそれに従うことができます。
みんなの動きをみて、自分もうごくができれば集団生活もしやすくなりますね。
人への注目ができるかどうか
もうひとつ、コミュニケーションで大切なのが、人への注目です。これができないと、言語だろうと非言語だろうと指示そのものが入りません。
そのために、人に注目が出来るかどうか、あるいは音の刺激や目の前にいって声かけ、手を握ってなどどうやったら注目ができるのかを、把握することが極めて重要になってきます。
指示を出す時は、注目をしっかり集めましょう
ひみつの観察ポイント
やはりここでもみられている。お母さんたちです。
こどもと一緒にあそぶのか、それとも座ってみているだけなのか。遊んでいる様子をみて、口出しするのか、見守るのか、声かけするのか。それは、どんな言葉で声かけしているのか。
お母さんが子供に対してどのように接しているのかをセラピストはみていますよ!
おまけのはなし、おかあさんが部屋に入ってきたとたんに、態度を変えるお子さんもいます。
まとめ
運動・感覚・コミュニケーション
この3つは最低限、必ずみるポイントです。しかしながら、ここに書いたことはほんの一握り。基本中の基本と言っても過言ではありません。ここからさらに、この観察したことを頭の中で整理し、時に情報をつなぎ合わせてお子さんたちの理解を深めていきます。
ここまでお読みくださって、ありがとうございます。
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