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パニック 基本のき(原因とその対処について)

1から学ぶ発達障害や病気のきほん
パニックの基本的知識

 私自身、パニック発作を起こしたことがあります。だからこそ、この記事を書いて調べることで自分にとってもよい情報となりました。

手足がジーンとしびれたよ どうも、ゆーです。
わたしがパニック発作を起こしたときの体の感覚です。手足がしびれて冷たくなる感じがしました。
こまったら自分ひとりで解決せずに、病院へいって相談しましょう!

パニック発作とはどんな症状か?

 パニック発作という症状があります。

・動悸、息苦しさ、過呼吸、めまい、震え、しびれ、吐き気など
・お子さんのばあい便秘なども起きることがある
・強い恐怖感

 もしかすると、皆さんがイメージしている症状や行動とは違うかもしれません。
 
 自分をたたく自傷行為、他者をたたいてしまう他害、物を壊す、大泣きが止まらないなどの暮らし影響を及ぼすような行動は、強度行動障害といいます。この行為をパニックと称することもあります。

ゆー
ゆー

同じパニックという言葉でも症状や意味合いが少し異なりますので注意が必要です。

パニック発作を引き起こす原因は脳にある

 ここでは、パニック発作を引き起こす要因と考えられている脳の変化について解説していきます。

パニック発作を引き起こす脳の領域で重要な扁桃体

 パニック発作を引き起こす脳の領域で重要な部分が扁桃体と言われる領域です。

偏桃体の図

 この扁桃体が過剰に興奮することで、交感神経を興奮させたり、僑という脳の活動を活性化させ、ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)を分泌させます。ノルアドレナリンは、交感神経を興奮させる物質で、アドレナリンと共に、闘争あるいは逃避反応を生じさせます。

扁桃体、海馬において、有意に血流増加が認められた

 扁桃体は古い脳とも言われ、生き物として生きていくために必要な脳の機能をつかさどっています。(逆に人間らしさを生んでいる大脳新皮質は新しい脳といわれます)
 研究では、実際に右扁桃体、海馬において、パニック症の患者は有意に血流増加が認められました。このことから、 扁桃体や海馬が過剰に働いていることが示唆されています。また扁桃体には、海馬、前頭前野・帯状回、視床から情報が入ってきます

海馬
前頭前野と帯状回
視床

 海馬、前頭前野・帯状回、視床からはどのような情報がくるのでしょうか。

・海馬からは、特定の状況における不安感やその状況の記憶情報
・前頭前野・帯状回は、認知・情動の入力
・視床からは、内部感覚(内臓感覚)に対する過敏な感覚情報

 つまり、パニックを起こした時の不安感や状況の記憶、不安や恐怖といった感情、内部感覚からの過敏な感覚情報、つまり空腹感、のどの渇き、吐き気、動悸などの感覚が過敏さを伴って入ってくるということになります。

 さらに、環境からの有害刺激に反応して働く中脳水道周囲灰白質の過剰な活動が認められています。色々な刺激に対して過敏に反応しやすく、時に記憶からのフラッシュバックもパニック発作を引き起こす刺激になる場合があるのです。

血流量が少ない脳の領域や体積が減少している脳の領域

 一方で、パニック症の患者では、血流量が少ない領域や体積が減少している領域があることもわかりました。
 左下前頭前野の血流量が、パニック症の患者では有意に小さいことが発見されています。いくつかの研究においても同じように、前頭前野の複数の部位に異常が示されています。
 また、右偏桃体、左右の前頭前野、左右の前後帯状回、右上側頭回、小脳などに有意な体積の減少が認められました。

前頭前野と帯状回は「気づき」の能力に関係している

 この部分は、自分と他人の思考や感情を客観的に認識する「気づき」の能力に関係していることが示唆されています。パニック症の患者は、この能力が低下しているため、自分の思考、感情、身体感覚を客観的に認識する能力が低下し、ちょっとした外的、内的な刺激を大げさに解釈して発作を引き起こしてしまう可能性が示唆されています。

ゆー
ゆー

パニック症は脳のなんらかの異常によって引き起こされる可能性があります。

発達障害とパニック症

 発達障害のお子さんは、自分の体を適切に感じ取ることが難しい場合があります。ちょっとした感覚の変化を大きくとらえ、それが大げさな刺激となって不安感や恐怖感がうまれることで、パニックにつながる可能性が考えられます。また、前頭葉という機能は不安感を安心感に変え、理性で感情をコントロールしていますが、この機能が低下することで、理性が聞かなくなったり、行動の抑制が難しくなってしまう可能性が考えられます。

ゆー
ゆー

パニック症や気になる行動の背景にも、脳の機能とお子さん特有の感覚的な特性が関与すると考えられます。

脳を変化させるマインドフルネス瞑想

 パニック発作が起こった際に経験する不安感や身体的な感覚を、なるべく客観的にとらえることが脳の機能を発達させる可能性が示唆されています。「マインドフルネス瞑想」という方法を長年続けた患者の脳を調べたところ、さきにのべた異常があるとされる前頭前野の脳体積が増えたという結果が出ています。

 マインドフルネス瞑想とは、今自分が感じている感覚、に注目して行う瞑想法のひとつで、一番オーソドックスな方法として、マインドフルネス呼吸瞑想があります。自分の呼吸に意識を向けながら瞑想を行うというものです。

・椅子に座って、深い呼吸ができるような姿勢になる
・肩の力の抜いてリラックスする
・ゆっくりと自然な鼻呼吸(できれば腹式呼吸)をする
・空気の出入りを感じる、お腹に空気が入る感覚など自分の呼吸に意識を向ける

ゆー
ゆー

落ち着くためのルーティンとして、呼吸法を学ぶことも良いかもしれません。

強度行動障害(いわゆるパニック)について

重度・最重度の知的障害、自閉症、思春期以降から成人期に起きやすく、人や場に対する嫌悪感や不信感の積み重ね、不安感など、そういったストレスによって行動化します。

パニックが起きたときの対処

行動が起きてしまった時は、次のような対処が効果的なことがあります。

・子どもの安全を確保する(倒れて危険なもの、ぶつかってけがをするものを近くにおかない)
・安全を確保したうえで、行動がおさまるのを待つ
・声掛け、押さえつける、なだめるなどは、逆に刺激になるため行わないほうがよい
・場所によっては、場所そのものが刺激になることがあるため、場所を変えると落ち着くときがある
・人が刺激になる場合があるため、対応する人を変えると落ち着くときがある

ゆー
ゆー

落ち着いて、子どもの安全を最優先に確保しましょう。

行動と要因を探る

 パニックを含む、お子さんの様々な行動の背景を探っていくことで、未然にそのストレスにさらされることを防いだり、行動にいたる前に対処することが可能になります。

・気になる行動をリストアップする
・好きな感覚、嫌いな感覚、行動面など本人の特性や特徴を把握する
・どのような場面で、行動が起きたのかを記録しておく
・気になる行動の前段階で、なんらかの特徴的な行動をしているかどうかを把握する
・気になる行動に影響を与えそうな施設や家の環境を把握する

 まずは、気になる行動をリストアップします。たいていは家族や支援者にとって問題となる行動が多いかと思います。それから、お子さんの特性や特徴を把握しておきます。(感覚に過敏さがあるとか、こだわりがある等)
 では、気になる行動はいったいどんな場面で起きるのでしょうか?なにか共通していることはありませんか?これを知るために、どのような場面でその行動が起きたのかを記録しておきます。また、気になる行動が起きる前に、前駆症状のような特徴的な行動はありませんでしたか?(ウロウロ落ち着きなく動き回っていた等) これも記録しておきます。
 把握することはお子さんだけではありません。自宅や施設の環境はどうでしょうか?お子さんの行動に影響しそうな環境はありませんか?(遮蔽する壁がない、人の声が多くがやがやしている等)

これらの情報を踏まえたうえで、気になる行動を引き起こしている要因を探していきます。

ゆー
ゆー

落ち着いてその時の状況を把握しましょう。

対応方法を考える

 気になる行動の要因が把握出来たら、対応を考えます。

・環境の工夫
・活動の工夫
・ストレスへの対応方法
・好む感覚、好きな遊び

 行動を引き起こしている要因が環境面にあった場合は、その環境を改善していきます。(静かで落ち着ける場所を作る、部屋を分けるなど)
 行動の特徴を踏まえて、お子さんが活動しやすいように工夫することで、そのストレスを軽減させます。(イラストなど視覚支援、手順をわかりやすくする等)
 ストレスにさらされたとき、あるいは気になる行動の前段階となりうる行動が起きたときの対応方法を事前に決めておきます。(部屋を移動する、好きな遊びを取り入れる)そうすることで、気になる行動が起きる前に対処することができます。
 好きな遊びや好きな感覚を活動の中に盛り込むことで、ストレスを軽減します。あるいは、行動が起きそうなときにそれを活用することができます。

ゆー
ゆー

家族同士、職員同士でこの情報を共有しておくことも重要です!

落ち着いて過ごせるセンソリーエリアの設置

 子ども自身が落ち着いて一人で安心して過ごせる、ある程度プライバシーが守られた空間です。ここには、本人が好む感覚グッズ(ビーズクッション、バイブレーション、色が変化するライト、音楽等)を置き、逆に本人が嫌いな感覚はシャットアウト(イヤーマフ、遮蔽できる壁など)できるように工夫します。

ただし適切に使うためにいくつかのルールを設定することもあるようです。

・滞在時間を決める(約三分等)
・自分から活動を切り替えられるように、必要に応じてタイマーを使用する
・すぐに活動を再開しやすいように、座って過ごす

 出来る限りストレスを減らし、かつ自分自身で活動の切り替えができるよう空間を設定する。環境面を整えることも良いかもしれません。

ゆー
ゆー

こういったエリアで過ごす方法を、本人が自身が身に着けていくことが大切です。

まとめ

 パニック症や行動障害は、脳の異常や特性から引き起こされていますが、ストレスに対してどのように対応していけばよいのかということを、周りの大人や本人自身が学んでいく必要があります。
 特に支援が必要なお子さんには、生活に必要な能力だけでなく、リラックスする方法や余暇の過ごし方についても支援する必要がありそうです。

お読みくださって、ありがとうございました。
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引用文献・参考文献
・Gorman JM,Liebowitz MR,Fyer AJ,et al: A neuroanatomical hypothesis for panic disorder.Am J Psychiatry146.pp148-pp161.1989
・Nishimura Y,Tanii HFukuda Met al: Frontal dysfunction during a cognitive task in drug-naïve patients with panic disorder as investigated by multi-channel near-infrared spectros-copy imaging.Neurosci Res59.pp107-pp112.2007
・熊野宏昭:パニック障害の脳機序.第49回日本新進医学会総会.シンポジウム脳科学による心身症の解明.2008
・齋藤宇開:発達障害のある人へのライフステージを考えた支援②リスクに備え、お子さんを理解することから始める、発達障害のある人の支援.OTジャーナル52(8).pp890-pp894.2018
・髙橋知義他:知的障害者の生活を地域・家庭でどう支えるか?.OTジャーナル55(11).pp1250-pp1256.2021
・谷口弘一:集団マインドフルネス瞑想訓練のストレス低減効果.日本パーソナリティ心理学会.2018
(アクセス:https://www.jstage.jst.go.jp/article/personality/27/2/27_27.2.5/_article/-char/ja/)
・志賀 利一:強度行動障害支援の原則
(アクセス:http://www.rehab.go.jp/application/files/9115/8458/8868/42.pdf)
・五十嵐猛:強度行動障害への対応についての考察
(アクセス:https://moeginosato.net/pdf/ronbun2.pdf)
・ストレス軽減、心を整える。マインドフルネス瞑想の効果とやり方
(アクセス:https://eonet.jp/health/article/_4104670.html#anchor03)

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