鉄棒のコツは様々なサイトや動画で解説が出ています。
逆上がりができなくても、大人になって困ることはありません。
でも、子どもには「できる」という達成感や、コツコツ努力することを学んでほしいのが親心。
できたという達成感は、子どもに大きな自信をあたえます。
うちの子は運動が苦手で…大丈夫です!
子どものリハビリを専門に行っている療法士が、逆上がりの練習法とコツを伝授します。
「実際の動画」と「イメージ」を使って解説していきます。
逆上がりを科学する!
さか上がりに必要な力は、なんでしょうか。
・鉄棒を持つ手の力
・鉄棒に体を引き付けるための腕の力
・ぐるっと回る姿勢を作るための腹筋力
・足でけりだす、足を高く上げるための脚力
実はこんな文献があります。
逆上がりに必要な体力として腕曲げ懸垂が5秒以上できること
持久懸垂が10秒以上できれば逆上がりはできる
一方で、こんな文献もあります。
懸垂が0回で、かつ上体おこしが0回の児童でも逆上がりができる
逆上がり特有の協応動作が身についていれば、筋力が極端に弱くても、逆上がりはできる
つまりは、筋力は必要であるけれども、逆上がりの動きと体の使い方がわかれば出来る可能性があるということを言っています。とっても重要なことです!
では、「逆上がり」にとって重要なポイントになる動きを順に解説していきます。
この動きを練習するだけで、逆上がりの成功に一歩近づくこと、間違いなし!!
①鉄棒をもって体を近づける
一番初めのこの段階がとても重要です。なぜかって?
ポイントは2つあります。
1. 重心が後ろから前に移動する
2. 鉄棒をからだに近づける
この鉄棒に近づくことができないと、逆上がりはできませんよ。
さて、この段階でタイミングを合わせる動きは、次の通りです。
・足で体を前に押す動き
・肘を曲げる動き
これによって、鉄棒が一気に自分に引き付けられます。
足でしっかり体を押してあげることで、次の動きがスムーズになります
②足を振り出す、体を後ろに倒す
勢いよく足でけりだすと、その勢いのまま足が前に振り出されます。
この足の振り出しによって、自然に頭の位置が下がってくるのです。つまり、体を後ろに倒して回転する前の姿勢を作ることができます。
タイミングを合わせる動きは、
・押し出す足を前に振り出す
・振り上げた足の股関節(足の付け根)は曲げる、足を上にあげる
・あたまの位置を下げる(体を倒す)
・肘はまげて鉄棒を引き付けておく
肩と腰が水平の位置になるまで上げるのがよいでしょう。また、足が伸び切ってしまうと、股関節(足の付け根)も伸びてしまいます。
これをふせぐには、足を上方向にあげること!自然に付け根の関節が曲がる方向に動きます。
この時、反対側の支えている足にはかなりの力が蓄えられています。
次の動きを出すための準備がもう始まっています。
③前足で地面を押して足を上に挙げる
いよいよ回転する瞬間です。
振り出した足が上がり、頭と体が倒れて水平に近い状態になったタイミングで、地面についている足でけりだします。
この時にタイミングを合わせるポイントは、
・足で地面を押す
・(体を丸めるように)腹筋に力を入れる
・首もまげる(おへそをみるように)
・肘を曲げて鉄棒を引き付けておく
・股関節(足の付け根)は曲げる
文献によると、けりだす足は「やや前下方向」に押すことが推奨されています。つまり、足で地面を押したときの反発力を利用して回転の力にしているわけですね。
体を硬直させすぎると、筋肉がこわばって、回転する方向とは逆方向に力が入りすぎてしまいます。リラックスしてタイミングを合わせましょう。
④回転する
鉄棒を回転中は勢いにまかせて、姿勢をキープしておきます。
・(体を丸めるように)腹筋に力を入れる
・首もまげる(おへそをみるように)
・肘を曲げて鉄棒を引き付けておく
・股関節(足の付け根)は曲げる
体を曲げる、まるくなるイメージをしておくと、くるっと回転するイメージにつながります。
さかさまになるのが怖くてまわれない場合
お子さんの中には、天と地が逆転する姿勢が怖くて、その恐怖心から回転につなげれない場合があります。
文献では、倒立の学習が逆上がりにつながったという報告もあり、天地が逆転する感覚を経験しておくとよいかもしれません。
倒立が難しいお子さんには、布団を干すような恰好で鉄棒にぶら下がることで、回転した姿勢を再現できます。
⑤スピードをおとして起き上がる
回転が終盤に差し掛かるところで、曲げていた体を今度は伸ばす方向に力を入れて減速し、着地します。この時にタイミングを合わせる動きは、
・背筋に力を入れて、体を伸ばす
・顔をあげる
丸まっている体を伸ばすことで、回転のスピードを押さえてゆっくりと着地する事が出来るようになります。
上手く逆上がりができましたか?
わが子で練習した結果は?
解説の動画にあったように、逆上がりができるようになりました。
毎日練習できなかったので、1~2か月ほどかかりましたが、コツをつかむまでの時間は速かったと思います。
最初のステップ①から順番にコツコツと練習を続けていった結果、ある日突然コツをつかんで出来るようになったとのこと。
我が家、4人のこどもすべて逆上がりができるようになりました。
さらに、上達を早めるポイントがあるんです。
これを実践すると、コツをつかむのがはやくなりますよ!もちろん、わが子でも同じように指導していました。
まずは鉄棒で実際の動きを確かめてみよう
練習のまえに実際に鉄棒で逆上がりをしてみましょう。
子どもがどの部分を苦手としているのか、さきにあげた5つのステップをつかって分析してみてください。
苦手なところだけを集中的にトレーニングするので、効率よく練習ができます。
分解した動きから練習する
逆上がりに必要な動きを合わせるタイミングは、分割して覚えていくとよいでしょう。
動きを切り取って、苦手なところを集中的に練習するのが効果的です!
ただし、回転の動きはその部分だけを切り取って再現することが難しいので、マットや布団の上で似たような姿勢をとる練習をするとgood!
部分的に覚えることができたら、一連の動きをつなげてやってみましょう!
意外にもすんなりできちゃうこともあります。
体のイメージを上手に活用する
動きを「頭の中でイメージする」とより効果的です。
上手にイメージするためには、実際にやっているところを見せたり、スローモーションの動画を見ても良いでしょう。
ちなみに私は、ウルトラマンの人形で子どもに教えたことがあります。
この時に、自分の動きとお手本の動きで、どこが違うのかを一緒に分析して、本人なりの言葉で表現できるとさらにイメージがじょうずにできるようになります。
協調性とは、体の各部分をタイミングよく合わせて使うこと
私たちの体にはたくさんの筋肉がついています。この筋肉をタイミングよく使いこなすことで、単体の力を補い、総合力として力を発揮することができます。
また、筋肉は対になっているものがあります。わかりやすい例を出しますと、
・肘を曲げる筋肉(上腕二頭筋:力こぶをつくる筋肉です)
・肘を伸ばす筋肉(上腕三頭筋)
・体を丸める筋肉(腹筋)
・体を伸ばす筋肉(背筋)
肘を曲げる筋肉が強く働くときは、伸ばす筋肉は力を抜きます。あるいは、曲げる力をコントロールするため、つまる曲げる力にブレーキをかけるために肘を伸ばす筋肉が働きます。
このバランスが崩れるとどうなるでしょう。
肘が強く曲がりすぎたり、力のコントロールがしにくくなります。あるいは、曲げる筋肉と伸ばす筋肉の両方に力が均等に入ると、筋肉同士で引っ張り合いが生じて、結果的に関節が動きにくくなります。
からだの使い方をうまくイメージできないと、変なところに力がはいったり、体を硬直させてしまいます。結果的に、スムーズな動きが邪魔されて、本来もっている力を発揮できないという悪循環がうまれてしまいます。
だからこそ、動きをパーツに分けて練習することで、力をいれるタイミングを学習することができるのです。
怖さや失敗したらどうしようという不安を取り除き、リラックスして運動できるように、こえかけやサポートをしましょう。
タイミングを合わせる声掛け
タイミングを合わせる練習をより効果的にするために掛け声があります。
「1.2.3!」
お好きな言葉で、なんでもいいです。この動きと声掛けを一緒に覚えると、思い出しやすくなりますよ!
まとめ
逆上がりのコツをつかむ瞬間は、体のイメージと実際の運動が一致した時におとずれます!
そのためには、動きを分解してひとつひとつイメージを作り上げて、実際の動きと照合させていくプロセスが必要です。
逆上がりができなくても、もちろん生活には困りません。でも、コツコツ練習することや、「できた」という達成感を経験することも、子どもにとっては自信につながる良き体験となります。
この記事があなたとお子さんのお役に立てれば幸いです!
引用文献
・三木伸吾:逆上がりの習得に関する発生運動学的研究~鉄棒を苦手とする児童の習得事例~
コメント