「発達障害の行動、症状を改善させるために、なにかできることないかな・・・?」
「薬に頼らないで、改善できる良い方法ないかな?」
腸内の環境を整えることで、自閉症にみられる症状が改善したという報告があります。
腸内環境とは?
腸内環境とは、腸内に存在する微生物(腸内細菌や他の微生物)のバランスや状態を指します。これらの微生物は、消化や免疫機能に重要な役割を果たすだけでなく、全身の健康や精神的な状態にも影響を与えます。
腸内細菌の種類
腸内には、数百兆もの細菌が存在し、これらは主に以下の3つのグループに分けられます。
善玉菌
・健康に良い影響を与える細菌。
・乳酸菌やビフィズス菌などが含まれる。
・消化を助け、病原菌の繁殖を抑制する。
悪玉菌
・過剰になると健康に悪影響を及ぼす細菌。
・大腸菌やウェルシュ菌などが含まれる。
・有害物質を生成し、腸内環境を悪化させる。
日和見菌
・状況によって善玉菌にも悪玉菌にもなる細菌。
・健康な状態では善玉菌の働きを助けるが、腸内環境が悪化すると悪玉菌のように振る舞う。
腸内環境の重要性
腸内環境が健康にどのような影響を与えるかについて、以下のポイントがあります。
消化と吸収
・食べ物の消化と栄養素の吸収を助ける。
・食物繊維を分解して短鎖脂肪酸を生成し、エネルギー源として利用する。
免疫機能
・免疫細胞の約70%が腸に存在するため、免疫機能に重要な役割を果たす。
・病原菌の侵入を防ぎ、感染を抑制する。
そして、もう一つ重要な機能が「精神的な健康」を保つということです!
精神的な健康を保つ機能「腸内相関」とはなんですか?
腸と脳は「腸脳相関(ガット・ブレイン・アクシス)」と呼ばれる密接な関係にあります。
腸内環境が乱れると、脳の機能や気分に影響を与えることが知られています。例えば、ストレスが腸の動きを変えたり、逆に腸の不調が気分や行動に影響を与えたりします。
腸脳相関のメカニズム
腸と脳がどのように相互作用するかについて、いくつかの主要な経路があります。
・神経経路
迷走神経 脳と腸を直接つなぐ主要な神経経路で、双方向の情報伝達が行われる。
腸神経系 「第二の脳」とも呼ばれ、腸内に独自の神経系が存在し、独立して機能するが、脳とも連携している。
・免疫経路
腸内細菌が免疫系を刺激し、炎症反応を調節する。
免疫系が脳に影響を及ぼし、精神的な健康に関与する。
・内分泌経路
腸内細菌がホルモン(例えば、セロトニンなど)を生成し、これが血流を通じて脳に影響を与える
・代謝産物
腸内細菌が食物を分解して生成する代謝産物(例えば、短鎖脂肪酸)が脳機能に影響を与える。
自閉症と腸内環境の研究はどんなものがありますか?
お通じ(排便)がなかなかこない、でない。いわゆる「便秘」ですが、自閉症など発達障害のお子さんの中には「便秘」に悩むお子さんも少なくありません。
私の恩師である脳科学者の大井医師は、この排便と脳の関係性に着目しました。そして、自閉症のおこさんに対し、腸を整える食事や乳酸菌(FK-23)を摂取してもらい、そのお子さんの症状について独自の評価を行いました。
どのような研究をおこなったのですか?
研究は次のように行われました。
・対象: 自閉症の子ども
・方法: 腸を整える食事や乳酸菌(FK-23)の摂取
・期間: 100日間
どのような結果が得られましたか?
自閉症の症状に改善が見られた!!
具体的な改善点は以下のようなことがありました。
・相手の目を見られるようになる
・楽しさなどの感情を共有できる
・こだわり行動が減少する
・落ち着きのない行動が減少する
・排便も安定して出るようになり、睡眠状態も改善した
これら結果に関しては、適切な医師の指示のもと診療を踏まえた結果です。ですが、腸内環境を整えることによって、症状を改善させる可能性があることが示唆された、大変興味深い研究結果だと言えます。
腸内環境を整えるにはどうしたらよいでしょうか?
腸内環境を良好に保つためには、以下の方法が有効です。
1.バランスの取れた食事
食物繊維が豊富な野菜、果物、全粒穀物を摂る。
発酵食品(ヨーグルト、味噌、キムチなど)を摂る。
2.プロバイオティクス
善玉菌を含むサプリメントや食品を摂取する。
3.プレバイオティクス
善玉菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を摂取する。
4.ストレス管理
ストレスが腸内環境に悪影響を与えるため、適度な運動やリラクゼーションを行う。
腸内環境を整えることで、消化や免疫機能の向上だけでなく、精神的な健康や全身の健康にも良い影響を与えることが期待されます。
まとめ
便秘や下痢など胃腸の状態が悪くなれば、精神的にもすっきりしないですから、症状が目立ってしまう可能性が大いに考えられますね。腸の環境を整えることは、心にも体にも、そして脳にも良い影響を与えると考えられます。
葉酸のところでも、話しましたが、何かを摂取したから劇的な効果があるということではなく、栄養のバランスや規則正しい生活リズム、排便のリズムが大切になってきます。
もちろん、適切な支援も!
参考文献
大井静雄:FK-23摂取で自閉症が改善された:DAILY HEALTH .vol.3.pp5-pp6.2019
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