1から学ぶスポーツ医学リハビリ専門解説!

筋トレを科学的に学びたいあなたへ。効果的な筋トレと筋肥大の秘密!

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 突然ですが質問です。

 「あなたは科学的な根拠にもとづいた筋トレを行っていますか?」
 「簡単で、軽い負荷で効果的な筋トレを知っていますか?」
 「どうして筋トレをすると、筋肉は太く大きくなるのでしょうか?」
 「筋肉を大きくするためには、どんな筋肉を働かせればよいのでしょうか?」

 もしこの質問に答えられなければ、この記事があなたにとって良いヒントになるかもしれません。

 筋トレや筋肉について、きちんとした情報を知れば、

 より効果的に、より効率よく

 筋トレを行うことができるでしょう!

軽い負荷でも筋力アップ!効果的な筋力トレーニング

軽い負荷でも筋力アップ!効果的な筋力トレーニング

 筋トレって、重たいダンベルを持ち上げたり、強い負荷をかけて運動をするといった、大変なイメージがありませんか?

 もちろん、それらにはきちんとした意味があることです!

では、軽い負荷でも同じような効果があるトレーニング方法があるとしたらどうでしょう?

実は、いま注目を集めているトレーニング方法があるのです。

きわめてゆっくりとした動きで行う「スロートレーニング」

 スロートレーニングとは、軽い負荷の運動を、きわめてゆっくりとした動きで反復して行うトレーニング方法です。

 たとえば、自分の出せる最大力の30%程度を使う軽い負荷で、ゆっくり10秒かけて反復する運動を、疲れるまで繰り返し続けます。

 こちらの論文ほうこくをご覧ください。

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スロートレーニングの研究

 この2つのグループを比較したときに、次のような結果となりました。

低強度、低速度のスロートレーニング、高強度の通常速度のトレーニングのどちらも、

同じように筋肥大および筋力増加を認めた。

 つまり、軽い負荷でゆっくりと時間をかけて動かすことによって、強い負荷のトレーニングと同じような効果を出すことができるというわけです。

 ほかにも、様々な研究によって、軽い負荷の運動であっても、反復する回数を増やすことによって、同じように筋肥大や筋力を高め、持久力を高めることができることが分かっています。

軽負荷・ゆっくりでも、なぜ効果が出るのか?

 体を動かす骨格筋(手足や体幹の筋肉)を大きく太くするためには、タイプⅡ繊維(いわゆる、速筋)を活動させる必要があります。(筋肉のタイプとサイズの原理については後述)

 ゆっくりとした動きで何度も反復することによって、運動を持続している時間がとても長くなります。すると、その負荷に対抗できるように、大きな力を発揮できる「タイプⅡ繊維(速筋)」が活動するようになると考えられています。

ゆー
ゆー

 体に負担の少ない軽い負荷で繰り返し行うスロートレーニングは、子どもや高齢者にとって効果的なトレーニング方法のひとつと言えるでしょう。

筋肉を大きくするためには、速筋をきたえよ:サイズの原理

体を動かす骨格筋は、大きく2つのタイプに分かれます。
(ちなみに内臓をうごかす筋肉は、平滑筋という別の筋肉で出来ています。)

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筋肉のタイプ

筋肉を大きく太くするためには、「タイプⅡ」を十分に活動させる必要があります。

ただし!

筋肉は与えられた負荷の量(運動の強度)に応じて、次のような順番で働きます。

 タイプⅠ(遅筋) ➡ タイプⅡ(速筋)

 どうしてこのような順番なのでしょうか?

 じつは、運動を行うときの神経の働きによってこのような順番になるのです。

 筋肉に命令を出す神経は、まずタイプⅠを支配する神経から活動します。運動の負荷が増えてくると、次にタイプⅡを支配する神経が活動します。

この神経の働きの順番を「サイズの原理」といいます。

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サイズの原理

 筋トレでやや強めの負荷をかけるのは、このタイプⅡ繊維(速筋)を働かせるためなのです。
 
 前述の通り、軽い負荷の運動でもきわめてゆっくりとした動きで何度も反復することにより、タイプⅡ繊維の筋肉を働かせることができます。

筋肉が大きく太くなるのは、トレーニングから4~6週目

 筋トレをすると、すぐに筋肉が大きく太くなると思いがちですが、そうではありません。

 次のような順番があります。

時間経過トレーニング効果
初期筋肉に命令を出す神経の増加による筋力向アップ
4~6週間目筋肉が大きく太くなることによる筋力アップ
8週間目以降筋肉のなかの脂肪などが減少し、筋肉の質がアップする
トレーニングの経過と効果

 筋肉が太くなるためには、1か月程度はトレーニングを続ける必要があるということです。

 さらに言えば、自分のからだの使い方をじょうずにイメージできないと、初期の段階である神経を効果的に増やすことができません
 
 筋トレの前に、トレーニングしたい動きや獲得したい動きをしっかりとイメージできるようにする、じょうずに動かせるようにする必要があるのです。

ゆー
ゆー

筋トレを行う前に、きちんと獲得した動作を学習しておくことが、効率よく筋力アップを図るためのコツです!

どうして「筋肉」は大きく太くなるのか?

 それは「筋衛星細胞」という細胞のおかげです。

 この「筋衛星細胞」は、もともとは筋肉が傷ついたときに、それを修復、再生するときに働く細胞として注目されました。

 その後の研究によって、この「筋衛星細胞」が筋肉を太くする(肥大化)ときにも働くことがわかってきました。

 運動などにより筋肉に刺激が入ると、この細胞が活性化し増えます。そして、増えた「筋衛星細胞」がもともとある筋肉にくっつくことにより、筋肉が太く大きくなっていくのです。

 さらに、この細胞によって新しい筋肉の繊維がつくられることもわかっています。

筋肉を太くする刺激とはなにか?

 次の表をみてください。

筋肉を太くする刺激
運動
機械的刺激
疲労物質
温熱
筋肉の一時的な酸素不足(酸化ストレス)

機械的刺激

 機械的刺激とは、筋肉が伸びたり縮んだり、重さをかけたりといった刺激です。

疲労物質

 筋肉を動かすためのエネルギーは、そのもとになる物質を分解することで作り出します。

 この分解した時に生まれる物質が疲労物質です。

 通常は、すみやかに体内に再度吸収されて筋肉にたまることはありませんが、運動のように連続して筋肉を使った時には、この再吸収の速度が間に合わず、筋肉のなかに分解した物質が残ってしまいます。これによって、筋肉は疲労感を感じるのです。

温熱

 疲労物質でもお話しましたが、筋肉のエネルギーはもとになる物質を分解することによって作り出されます。しかし、そのすべてが筋肉のエネルギーになるわけではありません。

 およそ50%、半分ちかくが「熱」に代わってしまうと考えられています。

 寒い時に体ががたがたするのは、筋肉を動かして熱を生み出している現象なのです。
 このつくりだされた「温熱エネルギー」もまた、筋肉に刺激を与えているひとつの要素と考えられています。

筋肉の一時的な酸素不足(酸化ストレス)

 筋肉を動かすためには、酸素も必要です。しかし、連続した運動を行うと、一時的に筋肉が酸欠状態となります。この酸素不足も刺激の一つとして考えられています。


 これらの刺激を筋肉に与えることによって、筋肉が変化します。
 
 この理論から考えると、筋肉を大きく太くするためには、運動やトレーニングの刺激でなくても、温熱刺激やストレッチなどの刺激でも効果があると考えられます。

まとめ

 筋トレの方法は様々あります。あなたが健康な大人であれば、強い負荷をかけても大丈夫でしょう。

 ですが、子どもや高齢者においては、なるべく体への負担を少なくし、かつ効果的なトレーニングを行いたいものです。

 今回紹介したスロートレーニングは、わたし自身も子どもにもただいま実践中です!

 引用文献
・後藤勝正:筋トレの生化学:筋肥大のメカニズム. Journal of CLINICAL REHABILITATION, Vol.29, No.2 . p116-122.2020. Journal of CLINICAL REHABILITATION, Vol.29, No.2 . p123-130.2020
・池添冬芽:筋トレの生理学:筋委縮と筋肥大
・Tanimoto M et al: Effects of low-intensity resistance exercise with slow movement and tonic force generation on muscular function in young men. J Appl Physiol 100(4).p1150-1157.2006
・Mukaimoto T et al : Effects of low-intensity and low-velocity resistance training on lower limb muscular strength and body composition in elderly adults : Jpn J Phys Fitness Sports Med 55 Suppl S : p209-212.2006
・Ikezoe T et al : Effects of low-load, higher-repetition versus high-load, lower-repetition resistance training not performed to failure on muscle strength, mass, and echo intensity in healthy young men. A time-course study. J Strength Cond Res. Epub ahead print.2017
・Mauro A: Satellite cell of skeletal muscle fibers. J Biophys Biochem Cytol 9. p493-495.1961
・Egner IM et al : Satellite cell depletion prevents fiber hypertrophy in skeletal muscle. Development 143. p2896-2906.2016
・Goto K et al : Skeletal muscle hypertrophy induced by low-intensity exercise with heat-stress in healthy human subject . Jpn J Aerospace Environ Med 44 . p13-18.2007
・Goto K et al : Some aspects of heat stress on the plasticity of skeletal muscle cells. J Phys Fit Sports Med 1. p197-204.2012

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