もっと知りたい小児の知識

「うちの子、ちょっと不器用?」─家庭で気づくDCD(発達性協調運動障害)チェックシート

目次
  1. 発達性協調運動障害(DCD)とは?
  2. DCDの重複・鑑別診断における留意点
  3. 家庭で使える DCDスクリーニングチェックシート
  4. チェックしてみましょう
  5. 各項目の背景と医学的根拠(解説)
  6. 保護者のためのQ&A
  7. 実践ヒント集:家庭でできるDCDサポートの工夫
  8. まとめ

「靴ひもが結べない」「ボールを投げるのが極端に苦手」「字を書くのにとても時間がかかる」──こうした“ちょっとした不器用さ”に、周囲が気づかないまま「練習が足りないのでは?」「性格の問題かも」と受け止められてしまうことは少なくありません。
しかし、子ども自身が「一生懸命やっても、なぜかうまくいかない」と感じているとしたら、それは「発達性協調運動障害(DCD)」という神経発達の特性が背景にある可能性があります。

DCDは、年齢や知的発達に比べて運動の協調性に困難を抱え、日常生活や学習に影響を与える障害です。児童の5〜6%にみられる比較的よくある発達障害でありながら、見過ごされがちで、正しく理解されていない現状があります。

この記事では、DCDの定義や症状の特徴、他の発達障害との違い、家庭でできる具体的な支援方法について、医学的知見と最新の研究をもとにわかりやすく解説していきます。

  1. 発達性協調運動障害(DCD)とは?
    1. 子ども全体の5〜6%にみられる、けっしてまれではない障害
    2. DCDの子どもに見られる特徴(具体例)
    3. 「協調運動」ってなに?
      1. 📌 協調運動とは…
    4. 成長すればよくなる?──DCDは「努力不足」ではありません
    5. なぜ早く気づくことが大切なの?
    6. まとめ
  2. DCDの重複・鑑別診断における留意点
    1. 1. ADHD(注意欠如・多動症)との併存と鑑別
      1. ポイント:ADHD児の約30〜50%がDCDの特徴をもつ
      2. 鑑別のポイント
    2. 2. ASD(自閉スペクトラム症)との関連
      1. ポイント:ASDの子の約80%に運動のぎこちなさが見られるが、DCDとは限らない
      2. 鑑別のポイント
    3. 3. 知的障害・脳性麻痺との違い
      1. ポイント:DCDは知的遅れや明らかな脳の損傷がないにもかかわらず、不器用さが目立つ
      2. DCDの特徴的な点
    4. 鑑別診断で大切な視点
    5. まとめ
  3. 家庭で使える DCDスクリーニングチェックシート
  4. チェックしてみましょう
      1. 評価のしかた(スコア例)
    1. 粗大運動 5項目
    2. 微細運動 5項目
    3. 動作の計画・段取り・感覚の項目(5問)
    4. 注意事項と免責文
  5. 各項目の背景と医学的根拠(解説)
    1. 【A】粗大運動に関する項目(1〜5)
    2. 【B】微細運動に関する項目(6〜10)
    3. 【C】動作の計画・段取り・感覚の項目(11〜15)
  6. 保護者のためのQ&A
      1. Q1:チェック項目に複数当てはまったら、DCDだと確定するのでしょうか?
      2. Q2:子どもは運動が苦手ですが、普段の生活には問題ありません。それでも心配するべき?
      3. Q3:このチェックシートは何歳から使えますか?
      4. Q4:誰に相談すればいいですか?
      5. Q5:DCDと診断されたら、何か治療があるのですか?
  7. 実践ヒント集:家庭でできるDCDサポートの工夫
    1. ① 粗大運動の不器用さを支える
      1. よくある困りごと
      2. サポートのポイント
      3. 家庭でできる工夫
    2. ② 微細運動の不器用さへのサポート
      1. よくある困りごと
      2. サポートのポイント
      3. 家庭でできる工夫
    3. ③ 動作の段取り・順序が苦手な子への工夫
      1. よくある困りごと
      2. サポートのポイント
      3. 家庭でできる工夫
    4. ④ 疲れやすさ・集中の持続が難しい子への対応
      1. よくある困りごと
      2. サポートのポイント
      3. 家庭でできる工夫
    5. ⑤ 自信のなさ・失敗回避行動への関わり方
      1. よくある困りごと
      2. サポートのポイント
      3. 家庭でできる工夫
    6. まとめ:家庭でのキーワードは…
  8. まとめ

発達性協調運動障害(DCD)とは?

DCDの子どもは、運動や日常動作の不器用さを示すことがあります

DCD(Developmental Coordination Disorder)は、日本語で「発達性協調運動障害」と呼ばれる、子どもの発達に関わる障害のひとつです。

DSM-5(アメリカ精神医学会の診断基準)では、次のように定義されています。

「年齢や知的能力に見合わないほど、協調運動能力が遅れており、それによって日常生活や学業活動に著しい困難を生じている状態」

もう少しやさしく言うと、「体の動かし方が周りの子どもよりぎこちなく、生活の中でいろいろ困ることが多い状態」ということです。


子ども全体の5〜6%にみられる、けっしてまれではない障害

DCDは、小学校に通う子どもたちのおよそ20人に1人に見られるといわれており、決して珍しい障害ではありません。

  • 男の子にやや多く、気づかれにくいまま成長するケースもあります。
  • 注意欠如・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)と重なってあらわれることも多く、二次的な困りごと(自信のなさ、学校への苦手意識など)につながることもあります。

DCDの子どもに見られる特徴(具体例)

DCDの子どもは、次のような運動や日常動作の不器用さを示すことがあります

  • 靴ひもが結べない
  • 文字を書くのが極端にゆっくりで、形も整わない
  • 体育の時間が苦痛(ボールがうまく扱えない、縄跳びができない)
  • よく転ぶ、ぶつかる、物を落とす
  • お箸がうまく使えない、食べ物をこぼしやすい
  • 服の着脱、ボタン・ファスナーが苦手

こうしたことから、「不器用な子」「のんびり屋」「運動が苦手なだけ」と見なされてしまい、本人の困りごとが気づかれないままになることもあります。


「協調運動」ってなに?

DCDという言葉に出てくる「協調運動(きょうちょううんどう)」とは、ちょっと聞き慣れない言葉かもしれません。

📌 協調運動とは…

「目や体で感じた情報をもとに、体をスムーズに動かす力」のことです。

たとえば:

  • 見たボールをよける
  • 足元の段差に気づいて、タイミングよくジャンプする
  • 文字を書くときに、手の動きを調整する

こうした動作には、次の3つの感覚がうまく働いている必要があります。

感覚内容
視覚目で見て、空間や対象物を把握する力距離感をつかむ、ボールの位置を見る
前庭感覚バランスや体の傾きを感じる力体をまっすぐ保つ、姿勢を変える
体性感覚手足の位置や力加減を感じる力力を入れすぎずに鉛筆を握る、物をつかむ

DCDの子どもは、これらの感覚を組み合わせて運動をコントロールするのが苦手なため、動作がぎこちなくなったり、極端に疲れやすくなったりするのです。


成長すればよくなる?──DCDは「努力不足」ではありません

「そのうちできるようになるよ」と言われることもありますが、DCDの子どもにとっては、**「一生懸命やっても、なぜかうまくいかない」**という悩みが根っこにあります。

そのため、本人の気持ちを大切にしながら、

  • 苦手な動作を工夫して補う
  • 得意な活動や小さな成功体験を重ねる
    ことが支援の基本です。

「本人のせいではない」という理解が、何よりの支援の第一歩になります。


なぜ早く気づくことが大切なの?

DCDは、早期に気づいて適切な支援をすれば、本人の「できること」「やってみようとする力」を伸ばしていける障害です。

逆に、気づかれずにいると:

  • 「失敗ばかりして自信をなくす」
  • 「運動や人との関わりを避けるようになる」

といった二次的な問題が起きやすくなります。


まとめ

ポイント内容
DCDとは協調運動が苦手で、生活に支障が出る発達障害
有病率小児の5〜6%、ASDやADHDと重なることも
症状転ぶ、運動が苦手、文字が書けない、手先が不器用など
特徴感覚を統合して体を動かす力(協調運動)に困難がある
支援苦手さを理解し、できる工夫や自信づけが大切

DCDの重複・鑑別診断における留意点

発達障害や神経疾患でも類似した運動の問題が見られるため、重複や鑑別診断がとても重要になります。

──「不器用さ」の背景を見極めるために


DCD(発達性協調運動障害)は、日常生活に支障をきたす「不器用さ」の背後にある神経発達障害です。しかし、他の発達障害や神経疾患でも類似した運動の問題が見られるため、重複や鑑別診断がとても重要になります。

ここでは、特に重なりやすいADHD・ASD・知的障害・脳性麻痺との違いについて、整理しておきましょう。


1. ADHD(注意欠如・多動症)との併存と鑑別

ポイント:ADHD児の約30〜50%がDCDの特徴をもつ

  • ADHDの子どもは、集中しにくく、落ち着きがない、順序立てて行動するのが苦手といった特徴があります。
  • こうした注意の問題が、**「運動の不正確さ」「ぎこちなさ」**に見えることがあります。

📖 研究報告:
Kadesjö & Gillberg(1999)によれば、ADHDの子どもの約30〜50%に、運動の協調に問題が見られています。


鑑別のポイント

項目ADHDの影響DCDの影響
運動ミスの理由注意力が途切れ、指示を聞き逃す/集中が続かない動きを頭で計画する力(運動計画)の弱さ
特徴的な行動落ち着きがなく、動きが多すぎる動きがぎこちない/遅い/不器用
支援の視点環境の調整(刺激の少ない場所、指示の工夫)運動の構造化(段階づけ、手順の見える化)

2. ASD(自閉スペクトラム症)との関連

ポイント:ASDの子の約80%に運動のぎこちなさが見られるが、DCDとは限らない

  • ASDの子どもにも、「ぎこちない動き」「ボールが取れない」「ジャンプが苦手」といった症状が見られます。
  • しかし、ASDでは**「人との関係」や「こだわり」など社会的な側面の困難が中心**であり、DCDとは障害の根本が異なります。

📖 研究報告:
ASDの約80%に運動機能の困難が報告されており(Green et al., 2009)、特に模倣・予測・協調性を伴う運動が苦手な傾向があります。


鑑別のポイント

項目ASDの運動障害DCDの運動障害
背景対人関係や感覚の特異性に起因する運動の計画・制御そのものの困難
特徴模倣や集団運動に極端な抵抗/感覚過敏が強く出やすい一人での作業や動作でもぎこちない・不器用
社会性対人関係やコミュニケーションにも困難がある対人関係は比較的良好なことが多い

3. 知的障害・脳性麻痺との違い

ポイント:DCDは知的遅れや明らかな脳の損傷がないにもかかわらず、不器用さが目立つ

  • 知的障害では、学習全体に影響があり、運動だけでなく言語や社会性など広範な領域に困難が見られます。
  • 脳性麻痺では、出生時や乳児期の脳の損傷により、筋緊張・姿勢・反射などに明確な神経学的異常があります。

DCDの特徴的な点

比較対象明確な神経学的異常MRI所見知的発達運動以外の影響
DCDなし原則正常(軽微な異常は報告あり)年齢相応〜軽度の差運動以外は比較的良好
知的障害なし〜あり様々な変化あり全般的に遅れ広範囲に影響
脳性麻痺あり(反射・筋緊張)はっきりと異常が見られる状況による姿勢・筋緊張・協調など多領域

📖 Zwicker et al. (2012) の研究では、DCD児に小脳・前頭前野の構造的・機能的な軽度異常が見られ、これが運動計画の困難に関係している可能性が示唆されています。


鑑別診断で大切な視点

  1. 「運動の不器用さ」はさまざまな発達障害で見られることがある
  2. どこに主な困難があるのか?(注意?社会性?知能?運動計画?)を見極めることが重要
  3. 重複している場合も多いため、単一の診断名で子どもを枠にはめすぎないことが大切

まとめ

重複・鑑別留意点
ADHD注意力由来か運動計画由来かの見極め
ASD社会性や感覚特性を伴うかどうかで鑑別
知的障害運動以外の全般的な発達遅れがあるか
脳性麻痺神経学的異常やMRIでの明確な損傷

家庭で使える DCDスクリーニングチェックシート

(発達性協調運動障害の可能性を早期に見つけるために)

PDFでダウンロードしたい場合は、上記の「ダウンロード」のボタンからどうぞ。

チェックしてみましょう

以下のアンケートに答えてみてください。

粗大運動の5項目、微細運動の5項目、動作の計画・段取り・感覚の項目の5項目、合計15項目で評価を行います。

評価のしかた(スコア例)

  • 「はい」=2点、「ややはい」=1点、「それ以下」=0点
  • 合計点で以下のように評価
合計点判定対応の目安
20点以上高リスク専門機関へ相談を強く推奨
12〜19点中リスク観察+支援・相談を推奨
0〜11点低リスク現時点では大きな支援は不要。ただし継続観察を

粗大運動 5項目

No.質問はいややはいふつうややいいえいいえ
1階段を交互の足で上るのが難しい
2走る・ジャンプする動きがぎこちない
3ボールを投げたりキャッチするのが苦手
4縄跳びやスキップができない/極端に遅い
5運動中によく転んだり、つまずくことが多い

微細運動 5項目

No.質問はいややはいふつうややいいえいいえ
6鉛筆やお箸を正しく持てない
7字が極端に大きすぎる/小さすぎる/読みにくい
8ボタン・ファスナーが自分でできない
9食べ物をよくこぼす/スプーンがうまく使えない
10工作・ぬり絵などを好まず避けようとする

動作の計画・段取り・感覚の項目(5問)

No.質問はいややはいふつうややいいえいいえ
11動作の順序(着替え・準備など)をよく間違える
12自分の体の使い方をうまく把握できていないように見える(ぶつかる、ぶつける)
13動作を始めるのに時間がかかる(指示してもすぐに動けない)
14少しの運動でも疲れやすく、すぐに嫌がる
15感覚が過敏・鈍感で、動作に支障が出ている(音・手触り・姿勢など)

注意事項と免責文

※このスクリーニングチェックシートは、医学的な診断や治療を行うものではありません。
※内容は、既存の評価ツールや論文に基づき、作者の知見をもとに独自に作成されたものであり、正式な医学的検証は行われていません。
※あくまでも「保護者が子どもの様子に気づくための参考資料」としてご使用ください。
※結果に不安がある場合は、必ず専門家(小児科医、作業療法士など)にご相談ください。

各項目の背景と医学的根拠(解説)

【A】粗大運動に関する項目(1〜5)

1. 階段を交互の足で上るのが難しい

  • 根拠:粗大運動における下肢の協調性とバランス能力が必要。DCD児では空間認識と左右の交互運動の困難がみられる。
  • 出典:Henderson et al. (2007) MABC-2、Wilson et al. (2013)

2. 走る・ジャンプする動きがぎこちない

  • 根拠:連続運動と運動計画(motor planning)に障害があると、動きがスムーズでなくなる。
  • 関連脳領域:小脳・補足運動野・運動前野
  • 出典:Zwicker et al. (2012)

3. ボールを投げたりキャッチするのが苦手

  • 根拠:視覚・運動のタイミング調整(視覚運動協調)に問題があることが多い。
  • 出典:Brown-Lum & Zwicker (2015)、DCDQの代表項目でもある。

4. 縄跳びやスキップができない/極端に遅い

  • 根拠:リズム運動や身体のタイミング操作(internal modeling)が難しいことがDCDの特徴の一つ。
  • 出典:Adams et al. (2014)

5. 運動中によく転んだり、つまずくことが多い

  • 根拠:バランス機能・前庭系・体性感覚の統合障害が示唆される。
  • 出典:Fong et al. (2015)

【B】微細運動に関する項目(6〜10)

6. 鉛筆やお箸を正しく持てない

  • 根拠:微細運動スキル、特に手指の巧緻性と姿勢安定性に課題があるDCD児は多い。
  • 出典:Mandich et al. (2003)

7. 字が極端に大きすぎる/小さすぎる/読みにくい

  • 根拠:視覚運動統合の困難、および筆記姿勢の保持に関連する。
  • 出典:Prunty et al. (2014)

8. ボタン・ファスナーが自分でできない

  • 根拠:両手の協調(bimanual coordination)や指の分化運動が難しいことが原因。
  • 出典:Missiuna et al. (2008)

9. 食べ物をよくこぼす/スプーンがうまく使えない

  • 根拠:スプーン操作には手の力加減、タイミング、角度調整が必要。DCDでは動作制御の予測困難が影響する。
  • 出典:Schoemaker & Kalverboer (1994)

10. 工作・ぬり絵などを好まず避けようとする

  • 根拠:失敗経験の積み重ねにより、自己効力感が低下して回避行動につながる。
  • 出典:Rodger & Ziviani (2006)

【C】動作の計画・段取り・感覚の項目(11〜15)

11. 動作の順序(着替え・準備など)をよく間違える

  • 根拠:実行機能(executive function)の一部である動作系列化の困難が影響。
  • 出典:Wilson et al. (2009)

12. 自分の体の使い方をうまく把握できていないように見える(ぶつかる、ぶつける)

  • 根拠:体性感覚フィードバックや空間認知の統合不全による。
  • 出典:Tsai et al. (2008)

13. 動作を始めるのに時間がかかる(指示してもすぐに動けない)

  • 根拠:動作の内部モデル生成が不十分で、運動イメージと運動計画に遅れがあるとされる。
  • 出典:Adams et al. (2014)

14. 少しの運動でも疲れやすく、すぐに嫌がる

  • 根拠:運動効率が悪いため、同じ運動でもエネルギー消費が大きいことがある。
  • 出典:Cairney et al. (2005)

15. 感覚が過敏・鈍感で、動作に支障が出ている(音・手触り・姿勢など)

  • 根拠:DCDは感覚処理障害(SPD)との重なりがあり、前庭感覚や固有感覚の統合困難が関係していることがある。
  • 出典:Cummins et al. (2005), Piek & Dyck (2004)

ご注意
※このスクリーニングチェックシートは、医学的な診断や治療を行うものではありません。
※内容は、既存の評価ツールや論文に基づき、作者の知見をもとに独自に作成されたものであり、正式な医学的検証は行われていません。
※あくまでも「保護者が子どもの様子に気づくための参考資料」としてご使用ください。
※結果に不安がある場合は、必ず専門家(小児科医、作業療法士など)にご相談ください。

保護者のためのQ&A

~DCDスクリーニングシートをご活用いただく方へ~

Q1:チェック項目に複数当てはまったら、DCDだと確定するのでしょうか?

A:いいえ。
このシートはあくまで「気づきのための参考資料」です。DCDかどうかの診断は、医師や専門家(作業療法士など)が、標準化された評価や問診を通して総合的に行います。


Q2:子どもは運動が苦手ですが、普段の生活には問題ありません。それでも心配するべき?

A:運動が苦手なこと自体は個性の範囲かもしれません。
ただし、「本人が困っているかどうか」「周囲との比較で著しくできないことがあるか」は見極めのポイントです。気になる場合は、記録を取りながら様子を見ましょう。


Q3:このチェックシートは何歳から使えますか?

A:概ね4歳〜小学校中学年ごろを想定しています。
ただし、個人差があるため、3歳後半から様子をみて使用することも可能です。


Q4:誰に相談すればいいですか?

A:地域の小児科医、発達外来、作業療法士、保健センターの相談窓口が適しています。
園や学校の先生に相談するのも、第一歩として有効です。


Q5:DCDと診断されたら、何か治療があるのですか?

A:薬で治すというよりは、作業療法・理学療法・発達支援などで「できることを増やす」支援が中心になります。
「苦手でも、自分なりにできるようになる」ことを目指します。

実践ヒント集:家庭でできるDCDサポートの工夫

家庭でできるDCDサポートの工夫

① 粗大運動の不器用さを支える

よくある困りごと

  • 走る・跳ぶ・ボールを投げるなどの全身運動が苦手
  • 転びやすい、姿勢が崩れる、動きがぎこちない

サポートのポイント

  • 小さな動きから段階的に
  • 動きを「遊び」の中で練習
  • 苦手な運動を強制せず、「できた!」を重ねる

家庭でできる工夫

  • 風船バレーや新聞紙ボール投げ(ゆっくり飛ぶ物で動作を調整)
  • クッションの上でバランスをとる/線の上を歩く遊び(低負荷なバランス遊び)
  • けんけんぱ、フープジャンプ、ゆるい縄跳び(ジャンプ動作を楽しく)

② 微細運動の不器用さへのサポート

よくある困りごと

  • お箸や鉛筆の持ち方が不安定
  • ぬり絵・はさみ・折り紙がうまくできない
  • 食事でこぼす、ボタンができない

サポートのポイント

  • 指先の感覚と動きを育てる
  • 成功体験が得やすい「作業系あそび」から始める

家庭でできる工夫

  • 指先を使う遊び:スライム・粘土・小さなビーズ遊び
  • 「洗濯ばさみをたくさんはさむ」「ペットボトルのキャップを回す」など日常動作を遊びに
  • 食事ではスプーンの先に印をつける、滑り止めのマットを敷くなどの簡単な補助も効果的

③ 動作の段取り・順序が苦手な子への工夫

よくある困りごと

  • 着替えや準備がうまくできない
  • 作業に時間がかかる/忘れ物が多い

サポートのポイント

  • 順序を「目で見える形」にする
  • 一つひとつ区切って、焦らずに進める

家庭でできる工夫

  • 「着替えリスト」「朝の支度チェック表」などを絵や写真で掲示
  • 「次は何するんだっけ?」と声かけして一緒に考える時間を作る
  • ゲームのようにタイマーを使って「着替えタイムチャレンジ!」など、楽しみながら

④ 疲れやすさ・集中の持続が難しい子への対応

よくある困りごと

  • 少しの運動や作業で「もう疲れた」と言う
  • やり始めてもすぐ飽きる/集中が続かない

サポートのポイント

  • 「休憩を取りながら」「短時間で達成できる工夫」を
  • 疲れを責めず、本人のペースを尊重

家庭でできる工夫

  • 「3分運動→1分休憩」など活動と休息を交互に
  • 「5分だけ集中タイム」→「ごほうびタイム」で小さな成功体験を積み重ねる
  • 疲れている時は体の位置をリセットできる「ゴロゴロ」「ハンモック」「抱っこ」もおすすめ

⑤ 自信のなさ・失敗回避行動への関わり方

よくある困りごと

  • 「やらない」「できない」とすぐに諦めてしまう
  • 苦手な活動を避けようとする

サポートのポイント

  • 小さな「できた!」を見つけて言葉にする
  • できなくても否定せず、「やってみたね」と努力を認める

家庭でできる工夫

  • 「今日は1つでもやれたらすごいね!」と目標をゆるく設定
  • 「お母さんも練習中だよ」と共感する姿勢で寄り添う
  • お手伝い成功スタンプカードなどで達成感を可視化

まとめ:家庭でのキーワードは…

🎯 「楽しく・短く・少しずつ」
🌟 「苦手」より「できること」に目を向ける
❤️ 「その子なりの成長」を喜び合う関係づくり

まとめ

「できないこと」ばかりに目を向けるのではなく、「できる方法」を一緒に探し、本人のペースで成長を支えること

発達性協調運動障害(DCD)は、「単なる不器用さ」ではなく、脳の運動計画や協調機能に関連する発達の特性です。ADHDやASD、知的障害など他の神経発達症と重なって見えることも多く、丁寧な観察と鑑別が必要です。

しかし、DCDの子どもたちは、適切な支援や理解があれば、日常生活に必要なスキルを身につけることができ、成功体験を積み重ねることが可能です。大切なのは、「できないこと」ばかりに目を向けるのではなく、「できる方法」を一緒に探し、本人のペースで成長を支えること。

まずは、子どもの小さな「つまずき」に気づき、「もしかしたらDCDかもしれない」という視点をもつこと。それが、支援への第一歩となるのです。

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