1から学ぶ発達障害や病気のきほんリハビリ専門解説!

子どものリハビリテーションは早いほうが良い!脳性まひの基本のき

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リハビリは早く始めたほうが良い!

 小児リハビリはとっても重要です。
 とくに早期から始めることが重要とされており、リハビリをした場合としていない場合とでは、機能的に差があると言われています。

 文献では、次のような報告があります。

最初の3年間は大きく改善し、その後就学するころ(6歳ころ)までは機能がゆるやかに改善していきますが、それ以降(6歳をすぎると)は機能面で大きな差がなかった

 できるだけ早い段階から、リハビリテーションを受けることをおススメします。

リハビリテーションの方法とそのエビデンス

 脳性麻痺の子どもたちへのリハビリは主に、次のようなものがあります。

脳性まひのリハビリ

 ただし!!

 小児リハビリを効果的に実施していきたいところではありますが、エビデンスという科学的根拠に基づいたリハビリテーションがあまりないというのも事実です。
 
 今後も方法やその効果について研究が続いていくことでしょう

小児リハビリは機能回復だけではない。

 小児リハビリは、機能回復だけが支援の方法ではありません。変形を防ぐための補装具を検討したり、成長に応じて作り直したり。あるいは、乳児、幼児、就学、成人などライフステージに合わせて起こりうる問題をご家族と一緒に解決していく。
 家庭での役割や活動、あるいは学校や地域など社会活動にいかに参加するのかといった支援もまた、リハビリの役割のひとつです。

脳性まひの運動機能は予後予測ができる

 リハビリテーションでは脳性まひのお子さんに対する治療の効果を、科学的な指標を使って把握するため、脳性まひ児の分野では、総運動機能測定法(Gross Motor Function Measure: GMFM)と総運動機能分類法(Gross Motor Function Classification System: GMFCS)が開発されました。

 重症度についてはお子さんによって、歩行できるレベルから寝たきりレベルまで様々ありますが、その予後予測(将来の成長具合や回復具合を推定すること)はGMFCSを用いることで、現在の年齢とその時に獲得されている機能によってある程度推測できるとされています。

3つのポイント


 この指標をもとに予測しますと、

・2歳までに首が座っていなければ、将来自力で移動することは難しい。

・2歳までにお座りのときに支えが必要としている場合、家具につかまってのつたい歩き,歩行補助具を使っての歩行などができる可能性がある。

・2歳で10歩程度、支えなしで歩ければ、将来的には制限なく歩くことができる。

 もちろん自力では移動が難しい場合でも、残っている運動能力によってはその子に調整した電動車いすなどで移動することができる場合もあります。その点は、お子さんの運動機能や知的能力によって異なってきます。

ゆー
ゆー

あくまでも参考のために記載しています。
しっかりとお子さんの様子を把握するためには、専門家による分析が必要です。

脳性まひとは?

「発生・発達しつつあう胎児または乳児の脳の中で起こった非進行性の障害に起因する運動と姿勢の異常であり、活動の制限を引き起こす」

 難しい言葉が並んでいますが、胎児や乳児のときに脳に何らかの原因があり、運動機能の異常を引き起こすのが脳性まひです。運動以外にも、認知面やコミュニケーション障害なども含まれます。
 この麻痺のほかにも、てんかん、知的障害、脱臼などの関節の異常など様々な合併症があり、複数の診療科にかかることも少なくありません。
 英語表記はCerebral palsyで省略されて「CP」と言われたりします。
 発生割合は1000人に2人ほどの頻度です。

脳性まひの種類

 脳性まひにはいろいろな状態があります。

・筋緊張が高まり、筋肉がこわばったり硬くなったりしてうまく動かせなくなる痙直型(80~90%)

・自分の意思とは関係なく、体の一部が動いてしまうジスキネジア型(4~7%)

・体の動きを制御できず、力の強弱をコントロールできなかったり制御が難しくなる失調型(4~6%)

・体の筋緊張が低下し、ぐにゃぐにゃした状態の低緊張型(2%)

 これを見ますと、痙直型(筋肉がこわばる)が全体の8割を占めています。

 どんなことがおきるのでしょうか?

 たとえば、筋肉がこわばって手が開きにくくなったりすると、上手におもちゃで遊ぶことができずに、手の使い方を学習できないばかりか、食べるための前段階となる口元に手を持っていくということがしにくくなります。
 また、足を過度に突っ張らせたり、体幹(お腹や背中回り)をつっぱらせてしまうことで、寝返りやハイハイといった基本的な動きが出にくくなってしまい、成長に必要な動きが学習しにくくなります。

ゆー
ゆー

成長に欠かせない様々な動作を学習することが、麻痺の影響で難しくなってしまいます。

リハビリでは、そういった経験ができるように訓練を行います。

まとめ

 リハビリはできる限り早めに始めることが重要であることが様々な文献から明らかになっています。
 お子さんの状態によってリハビリの方法は様々ですが、よりよい経験ができるように、あるいは将来どのような生活をしていくのかを予測しながら、訓練を行っていきます。

 また、リハビリだけでなくその他さまざまな専門職がお子さんとそのご家族に関わることで、障害があっても暮らしていける生活を支えることが支援の目的のひとつです。
 
 お読みくださってありがとうございました。

引用文献
・瀬下崇:脳性麻痺.総合リハ.第49巻7号.pp633-pp638.2021
・近藤和泉他:GMFCS – E & R粗大運動能力分類システム拡張・改訂されたもの(日本語版)
(http://www.fujita-hu.ac.jp/FMIP/GMFCS_%20ER_J.pdf)
・Bax M,et al:Proposed definition and classification of cerebral palsy.Dev Med Child Neuro 47:pp571-pp576.2005
・近藤和泉 他:GMFCS – E & R 粗大運動能力分類システム 拡張・改訂されたもの http://www.fujita-hu.ac.jp/FMIP/GMFCS_%20ER_J.pdf

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