我が家は中学三年の長男がいます。そう、受験生です。受験とわかっていても、本人は案外あっけらかんとしています。ぎゃくに親のわたしがドキドキ不安になることのほうが多い。
なんせわが子はじめての受験なので、なにがなんだかわからないのが現状です。これを乗り越えていった先輩のお母さん、お父さん方を尊敬します。
自分が受けるわけじゃないのに。 どうも、ゆーです。
自分が受験だった時もこんな感じだったんですかね。親のほうが心配している構図。
さて、学校では支援が必要なお子さんに対して、ケース会議という会議が開かれます。私自身、担当するお子さんのケース会議に呼ばれて参加することがあります。ですが、参加するまでの道のりは大変でした。
じつは私は学校との接点が全くと言っていいほどありません。
そんな私がどうして学校のケース会議に呼ばれるようになったのでしょうか。それには、お母さんの力が必要不可欠なのです。
今回は、接点ゼロから学校のケース会議にどのようにかかわることができたのかを解説します。
今回の記事はこんな方におススメ
✧٩(ˊωˋ*)و✧
・子どもを対象としたリハビリをしている療法士
・学校と連携を取りたいと思っている療法士、支援者の方
・学校の先生
・医療機関で支援を受けているご両親
これを読んでいるあなたが、仕事として学校と関わることができる一歩になれば幸いです。
ケース会議とは学校生活の目標と具体的支援を話し合う場
ケース会議とは、
支援が必要な児童が安心して学校生活を送ることができるよう、学校の先生や支援員の先生、そして関係機関があつまって会議をし、情報共有や合理的な配慮に関して意見を交換します。
その情報をもとに、学校生活での目標や具体的な支援方法について話し合います。
関係者全員の参加が望ましいとされています。
このケース会議には、どのような職種が参加するのでしょうか。
学校の関係者
通級担当
在籍学級担任
特別支援教育コーディネーター
養護教諭
学年主任
管理職
保護者
本人
スクールカウンセラー
スクールソーシャルワーカー
その他のキーパーソン
関係機関
福祉施設(児童発達支援センター、放課後等デイサービス事業所など)
医療機関
相談支援機関
必要に応じてその他の関係機関 など
引用:文部科学省ホームページ
文部科学省は、関係者の全員が参加することが望ましいとしていますが、なかなか難しいのが現実です。まったく学校とつながりのない、あるいはつながりの少ない病院の療法士が、学校の門をくぐるなんてできません。
それを実現するにはお母さんが大きな役割を持っているのです。
お母さんの力で、学校のケース会議に参加
きっかけ
私が勤める病院では情報収集としてケース会議が行われたときに、その結果をお母さんから聞いています。
とあるリハビリの時間。その日もいつものようにケース会議の結果をお母さんから聞いていました。すると、お母さんの口から気になる言葉が出てきました。
放課後等デイサービスの職員さんも来てくれて、やっている支援の話をしてくれました。
え?放デイ(放課後等デイサービスの略)のスタッフも出ているんですか?
はいそうです。
私も支援をしている一人なんだけどなぁ。なんで呼ばれないんだろう
正直に言いますと、すごく悔しかったんです。それは学校やお母さんに対してではなく、自分自身に対してです。子どもの支援は、病院のリハビリだけが支援ではありません。家庭生活や学校生活が重要なのに、そこに関わろうと思っていても動かなかった自分にふがいなさを感じたのです。
越えなければならないハードルは3つ
けれども学校とのやり取りが全くない民間病院の療法士が学校に行くためには、いくつかのハードルを越えなければなりません。
超えるべきハードル
①お母さんの理解を得る
②学校側の理解を得る
③職場の理解を得る
お母さんの理解を得る
一番重要なポイントです。次のことがらをお母さんにわかりやすく伝える必要があります。
・ケース会議で療法士としてどのような話ができるのか
リハビリの視点からみたお子さんの様子(運動機能、心理面)、リハビリ中の様子、リハビリの目的や目標について、学校側が提案する具体案への適切な助言
・ケース会議に参加してどのようなメリットがあるのか
学校の先生、支援サービスの職員に顔を覚えてもらうことができる、学校での生活をより具体的に知ることができる、その他の支援サービスの情報を知ることができる、ケース会議で得られた情報や具体的な支援方法をもとにリハビリ内容を合わせて充実させることができる
次のステップに進むためには、お母さんから学校の先生に説明してもらわなければなりません。
そのために、お母さんに療法士が参加する意味や価値を十分理解していただけるようにお話しました。
学校側の理解を得る
学校側の許可が無ければ参加することができません。お母さんを通じて学校の先生にお願いしてもらいました。今回の例では幸運なことに学校側の理解はよく、すぐに参加の許可をもらうことができました。
ちなみに、学校によってはすぐに許可が得られない場合もあります。その都度、丁寧な説明が必要だと考えます。
職場の理解を得る
お母さんと学校の許可が得られれば、あとは職場の理解を得るのみです。
しかし、民間病院は一定の利益を出さなければなりません。ケース会議の参加は基本的に無償のサービスです。サービスの仕事を業務のひとつとして行うためには、いかに参加することの意味やメリットを上司に伝えるかが重要となってきます。
そのために、一番最初は企画書を作って上司に相談しました。
企画書にはこれを書く
・具体的な日付、時間
・今までの実績
この場合の実績とは、新しい患者(患児)がどのような紹介で病院にきたのかを明らかにします。特に学校側(支援員)からの紹介がどの程度あるのかを明らかにしました。
・参加する事でのメリット
学校側との連携、ならびに地域サービスとの連携を深めることによって病院の認知度を上げる
認知度が上がることで、新規患者(患児)の獲得につなげる
(ちなみに、実績が少ない場合は「連携を深めて実績をふやしたい」、実績がそこそこある場合は「さらに連携を深めて確実な新規獲得を図っていく」とどのようなデータにせよ理由付けができます)
・丁寧なお願い文章
上司の理解を得たことで、無事にケース会議に参加する許可を得ることができました。
実際に参加して感じたメリット
わたしが実際にケース会議に参加して、次のようなメリットを感じました。
・学校の先生、支援の先生、地域サービスの職員と顔見知りになれる
・学習面や行動面、友人関係などについて、よりリアルな学校生活を知ることができる
・学校生活面でのお母さんの困り感を知ることができる
・学校における具体的な支援方法や目標を知ることで、リハビリに反映させることができる
・目標や方針を統一することができる
お子さんを支援するにあたって、その方針や方向性を統一させることができるのが重要ですが、そのための情報をより多く集めることができるのは、生活の場に入ったからこそと言えるでしょう。
一人の子どもに多職種が関わるほんとうの意味
それは、まぎれもなくお母さんのためです。もちろん子どものため、よりよく学校生活を送れるようにするため、子どもに関わる職種が同じ方向を向いて支援できるよう情報を交遊するという大きな目的があります。
ですが、同時にお母さん自身に対して支援の目を向けているのです。子育ての中心はお母さんです。(もちろん、父親の場合もあります。我が家のように)そのお母さんが潰れてしまっては、子供の支援どころではなくなります。子どもに関わる職種はそのことを知っています。
だからこそ、会議の場でお母さんの困り感、今の感情、そして家庭環境にまで踏み込んで話を聞いていきます。たとえば、わが家と同じように家族の中に受験生がいたとしましょう。すると、家の中の空気に緊張感が漂うこともあります。そういった時は、お母さんもピリピリしていて不安定です。それが、子どもに影響することも考えられます。
「こんなにたくさんの人が、わが子一人のために考えてくれるなんてうれしい」
ケース会議に参加させてもらったお子さんのお母さんがこのように言ったことが、私は強く印象に残っています。
多職種の連携によってお母さんの不安感が和らいだからこそ、このような言葉が出たのではないかと思います。
今後の課題は、療法士の役割を知ってもらうこと
今後の課題は、もっと参加できる体制を作っていくことです。そのために、まずは療法士がどんな仕事をしているのか、どんなことができるのかを知ってもらわなければなりません。それを学校側に説明するのはお母さんです。お母さんにもわかりやすく自分たちの役割を伝える必要があると考えられます。
まとめ
多職種連携と言葉にすると簡単ですが、それを実現するにはいくつかのステップが必要になる場合があります。いかに自分が関わることでどのようなメリットがあるのかを明らかにし、わかりやすく説明することが重要になります。
また、これを読んでいる方の中で学校関係者のかたがいましたら、ぜひ療法士を学校に呼んでください!一緒に子どもたちとお母さんのために、支援を考えていきたいのです。
お読みくださって、ありがとうございました。
引用文献
・文部科学省ホームページ:もし、ケース会議の進行役をすることになったら?
https://www.mext.go.jp/tsukyu-guide/facilitation/index.html(2021.12.2アクセス)
コメント
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