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互いの視点をつなぐ:相手の立場になって見る世界とヒミツ

もっと知りたい小児の知識

「相手の立場にたって、かんがえなさい」

「相手のことをもっと考えて行動してほしい」

相手の立場に立って考えるとはどういうことでしょうか?

今回は「相手の立場になる」ということ、そしてそれが発達障害とどう関係してくるのか、これについて解説していきたいと思います。

相手の立場に立って考えるコミュニケーションは、人間が社会生活をおくるうえで大変重要です。

それは言語、非言語に関わらず、これが何らかの原因でうまくいかないと、コミュニケーション障がいとなるわけです。

相手の立場にたって考えるとはどういうことでしょうか?

相手の立場になって考えることは、自分の視点や感情だけでなく、相手の立場や感情を理解しようとすることを指します。これは他者の視点や感情を尊重し、その人の立場から物事を考える能力です。

具体的には、以下のようなことが含まれます

・共感すること
 相手の状況や感情を理解し、その感情に共感すること。相手が喜んでいるときには喜び、悲しんでいるときには悲しみを共有することが重要です。

・他者の視点を考慮すること
 自分の視点だけでなく、相手の立場や視点を理解しようとすること。相手がどのように物事を見ているのかを考えることで、より深い理解が得られます。

・コミュニケーションを円滑にすること
 相手の立場や感情を理解することで、コミュニケーションを円滑にすることができます。相手の気持ちに配慮し、適切な言葉や行動を選択することが重要です。

・問題解決や意思決定に役立つこと
 相手の立場を考慮することで、より適切な問題解決や意思決定が可能になります。相手のニーズや関心を考慮に入れた上で、行動を選択することが大切です。

 総じて、相手の立場になって考えることは、他者との関係を構築し、コミュニケーションを円滑にするための重要なスキルです。これによって、より良い人間関係や協力関係を築くことができます。

ここでとあるの理論を紹介します。Mind-blindness理論です。

Mind-blindness理論とはなんですか?

 Mind-blindness理論は、相手の立場に立って相手の考えや感情を理解する能力の欠如に焦点を当てた心理学の理論です。この理論は、一般的に自閉症スペクトラム障害(ASD)や他の神経発達障害を持つ人々に関連していることが指摘されていますが、他の条件や一般的な人間関係の問題にも適用されることがあります。

 Mind-blindness理論によれば、人は相互作用やコミュニケーションにおいて、他者の視点や感情を理解する能力を持っています。しかし、一部の人々はこの能力に障害を持っており、他者の視点や感情を理解することが難しい、または不可能であるとされています。この状態がある場合、彼らは「心の盲目(mind-blindness)」になってしまい、他者とのコミュニケーションや相互作用において困難を抱える可能性が高くなります。

 Mind-blindness理論において重要なのは、他者の視点や感情を理解する能力が社会的な相互作用や人間関係において不可欠であるという考え方です。この能力が欠如している場合、個人は他者の行動を予測したり理解することが難しくなり、その結果、コミュニケーションの誤解や衝突が生じる可能性が高まります。


 この理論を理解するためには、自己と他者の視点や感情の違いについて考えることが重要です。人は自分の経験や視点から行動を理解しようとする傾向がありますが、他者の経験や視点を理解するためには、自分の視点を一時的に置き換え、相手の立場に立って考えることが必要です。

 例えば、ある人が特定の行動を取った理由を理解するためには、その人の背景や経験、感情、価値観などを考慮に入れる必要があります。自分の視点からだけではなく、相手の立場や視点からも物事を考えることで、より深い理解が得られるでしょう。

 Mind-blindness理論は、他者の視点や感情を理解する能力が個人の社会的な適応能力や人間関係の質に影響を与えることを強調しています。この理論を応用することで、コミュニケーションや相互作用においてより良い理解と対応が可能になり、より健全な人間関係の構築につながるでしょう。

つまり、相手の立場にたって、相手の考えや気持ちを想像する能力の獲得に問題があると、相手の考え方がわからないため、その人の行動を予測することができず、相手との交流によって混乱をきたし、恐怖感をかんじるようになるということです。
 相手の気持ちや行動を、相手の立場にたって考えることで、その行動の理由を理解したり、あるいは予測して行動することが可能となります。

他人の立場になって考えることについて、有名な実験があります。
それが、サリー・アン課題です!

サリー・アン課題とはなんですか?

サリー・アン課題は、発達心理学や社会認知の研究においてよく用いられる実験的手法の一つです。この課題は、他者の心的状態を理解する能力を測るために使われます。

実験は以下のように進行します。

①研究者が子供たちに小さなストーリーを読みます。ストーリーには主人公のサリーと彼女の友人アンが登場します。サリーが部屋に入れたボールをある場所に隠します。

②その後、ストーリーの中でアンが部屋を出て行くと、サリーはボールを新しい場所に移します。

③そして子供たちに尋ねられます。「アンが部屋に戻ってきたら、彼女はボールをどこで探すと思う?」

サリー・アン課題は、発達心理学や社会認知の研究においてよく用いられる実験的手法の一つです。この課題は、他者の心的状態を理解する能力を測るために使われます。

 この課題では、子供たちがアンの立場から考えるか、あるいは自分の知識や視点から考えるかを見ることができます。

 普通の発達をしている子供たちは、アンがボールを最後に見た場所を探すと予測することができます。つまり、他人の視点や知識を考慮して行動する能力があることを示します。

 しかし、自閉症スペクトラム障害の子供たちや他の発達障害を持つ子供たちなど、一部の子供たちはアンの視点を考慮せず、自分の知識からボールを探す場所を選択することがあります。これは、彼らの他者の視点を理解する能力に問題があることを示唆します。

 この課題は、他者の視点や心的状態を理解する能力、つまり「理論の心理学」と呼ばれる能力を評価するのに役立ちます。そして、この能力がどの程度発達しているか、あるいは障害があるかを理解するのに役立ちます。

「誤信念」とはなんですか?

画像をもう一度みてください。青君(青色のこ)が、ピンクちゃん(ピンクの子)の前で、ボールをかごに隠します。ピンクちゃんが退出したあと、青君はかごからボールをだして横の箱に隠します。

戻ってきたピンクちゃんはボールを探す時、どちらを探すでしょうか?

ピンクちゃんの立場にたってかんがえてみましょう。

答えは出ましたか?

そう、ピンクちゃんはかごを探しますよね。
だって、ピンクちゃんはいなくなる前にかごにいれるのを見ているんですから。当然、そのあとの箱に隠したことは知りません。ですから、自分が最後にボールをみたかご中をさがしますよね。

これを「誤信念」と呼びます。

 自閉症のお子さんは、他者の「誤信念」と呼ばれる考え方について理解するのが定型の子供よりも難しいとされています。

 通常、3歳から5歳の頃には誤信念に基づく問題に対処できると言われていますが、自閉症の子供たちは、言語発達が定型の子供の約2倍になるまでこの種の問題に適切に答えられないことがあります。

 このような特性が、自閉症スペクトラム障害の人々のコミュニケーションの困難さや苦手さの一因となることがあります。彼らが他者の視点や感情を理解するのが難しいため、適切なコミュニケーションや相互作用が困難になることがあります。

まとめ

 自閉症の人々の思考や感じ方を理解するためには、私たちが彼らの立場に立って考えることが重要です。彼らがどのように世界を捉え、他者との関わりをどのように感じているのかを理解することで、より良い支援や対応が可能になります。そして、その結果、より理解し合える社会が築かれることにつながるでしょう。

お読みくださってありがとうございました。

引用文献
・Baron-Cohen S. Autism: The Empathizing-Systemizing (E-S) Theory. Annals of the New York Academy of Sciences 2009.1156:pp68-pp80
・Happe FGE. The Role of Age and Verval Ability in the Theory of  mind task performance of subjects with Atism.Chid Dev 66.pp843-855.1995
・丹治和世:成人発達障害のコミュニケーション障がい.Japanese Journal of Neuropsy chology37.pp37-pp97.2021
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