今回は小児リハビリの基本についてお話していきたいと思います。
小児リハビリを受けてみたいけど、どんなことをするところなんだろう。どんなことができるんだろう。そんな初めて小児リハビリを耳する方やこれから受けようと思っている方を含めて、すべての皆さんのご参考になればと思います。
リハビリテーションとはなんでしょう?
リハビリテーションという言葉の意味
リハビリテーションっていう意味を説明しますと、
(re 再び) (habilitation 能力を獲得する)
つまり、再び能力を獲得するとかそういった意味があります。
代表的なリハビリは、脳卒中(脳梗塞や脳出血)による手足のまひや骨折や外傷などのケガによって起きる運動機能の障害に対するリハビリです。歩行訓練や手の機能訓練などがこれにあたります。
運動機能だけではなく、障害によって日常生活動作(食事・排せつ・入浴・着替え等)に不自由が生じたとき、仕事や学校など社会参加に不自由が生じたときもリハビリが必要になります。
人々が自分らしい生活を再び取り戻し、自己実現を支援することがリハビリテーションの大きな目的となります。
子どもの場合はハビリテーション
リハビリテーションの「リ」は再びという意味を持っていますが、子どもの場合はまだ習得していない能力やスキルを発達させ、成長とともに身につけていくプロセスを指します。
つまり、、、
(habilitation ハビリテーション)
子どもの発達段階では、言語能力、運動能力、社会的なスキルなどが徐々に向上していきます。ハビリテーションは、発達の遅れや障害を持つ子どもたちが最大限に自己の潜在能力を発揮できるように支援するための手段として重要です。個々の子どものニーズに合わせたアプローチやプログラムが提供され、成長とともに新しい能力を獲得していくサポートが行われます。
真っ白いキャンバスに成長を描いていくようなものです!
小児リハビリテーションの基本
対象となる年齢
0歳から、およそ18歳程度の方を対象としています。しかしながら、成人となっても必要に応じて支援を行います。
対象となる病気、疾患
小児期に起こりうる病気や疾患を対象としています。代表例を記載します。
・脳性まひ
・脊髄性疾患(二分脊椎等)
・運動発達の遅れ
・ダウン症などの染色体異常
・頭部外傷による運動まひ
・自閉症スペクトラム
・ADHD(注意欠如多動症)
・学習障害
・知的障害
・言語発達の遅れ
・進行性疾患、難病
・スポーツによる障害
などなど
小児リハビリはどんなことをするの?
先天性疾患により現れた運動麻痺に対するリハビリのみでなく、何らかの原因で運動発達に遅れを来しているお子さんの歩行獲得や体の使い方のサポート、運動発達の促し、知的発達・認知機能の発達の促し、変形の予防、お子さんの生活環境に適した姿勢づくり、補装具・車椅子の作成、お子さんの生活環境を整えるお手伝いなどを行っています。
・運動発達の促進
運動発達の遅れがある子供たちに対して、歩行獲得や適切な体の使い方のサポートを行い、個々の発達段階に合わせたトレーニングを提供します。
・知的発達・認知機能の促進
子供たちの知的発達や認知機能の向上を促進するため、適切なプログラムやトレーニングを提供します。これには個別のニーズに応じた教育的なアプローチも含まれます。
・変形の予防
骨格や筋肉の変形を防ぐために、適切な姿勢づくりやトレーニングを行います。これにより、将来的な身体的な合併症を軽減します。
・補装具・車椅子の作成
必要な場合には、個別に合わせた補装具や車椅子の作成・提供を行い、子供たちの生活をサポートします。
・生活環境への適した姿勢づくり
家庭や学校などの生活環境に適した姿勢づくりをサポートし、子供たちが快適かつ機能的に生活できるようにします。
・生活面のサポート
食事や着替えなどの基本的な生活スキルの向上を支援し、学校や園での生活においても必要なサポートを提供します。
・学習・ソーシャルスキルトレーニング
学習面でのサポートや、社会性・コミュニケーションのトレーニングを通じて、子供たちが学校や社会で適応力を発揮できるように支援します。
・進学・就労のサポート
学業や職業訓練のサポートを通じて、将来の進学や就労に向けて子供たちを準備します。
これらのことを「あそび」という活動を通じて促していくのが小児リハビリの特徴です。
ほんとうに、遊ぶだけです!!
私たちは日々様々な情報を、生きている世界から受け取り、脳の中で統合して活動しています。過去の記憶といま感じた感覚情報を統合させて、今の行動を作ります。それがまた経験となり、未来につながります。
「あそび」の積み重ねが、未来を作るのです。
小児リハビリは両親のサポートも重要です
そしてなにより大切なことが、「子育てをするご両親へのサポート」です。
子育ては個々のペースで進むものであり、全ての子供が異なる成長スピードを持っています。この事実を理解し、ご両親にはそのペースを尊重し、子供たちが自分のペースで成長していくことを受け入れることが重要です。経験上、すべての子供が同じように成長するわけではなく、個々の発達段階を尊重することが大切です。
しかしながら、子供を育てるご両親がストレスや課題に直面している場合、育児は一人で悩むことが難しくなります。このような時に小児リハビリテーションが提供するサポートが重要です。小児リハビリは、ご両親が子供の発達や健康に関する疑問や不安を専門家と共有できる場であり、適切なアドバイスや情報提供を受けることができます。
また、小児リハビリは家族全体をサポートすることも考慮されています。リハビリテーション専門家は、ご両親に子供の成長やケアに関するスキルを教え、育児における自己効力感を高めるお手伝いをします。これにより、ご両親はより自信を持って子供たちと向き合い、適切なサポートを提供できるようになります。
総合的なサポート体制が整っていることで、子供たちが適切なリハビリテーションを受け、ご両親が心身ともに健康で安心して育児に取り組むことができます。
よりよく成長できる環境を整えるために、ご両親のサポートは必須です。
小児リハビリを利用するきっかけとなった実際の相談例
皆さんはどのようなきっかけで利用したのでしょうか。実際にご相談いただいた例を紹介します。
・運動や知的な発達の遅れを指摘された
・言葉が出ない、しゃべり方がなにかおかしい
・運動機能を伸ばしたい
・子どもの可能性をひろげたい
・こだわりが強くてこまっている
・手先が不器用でなんとかしたい
・体育が苦手でなんとかしたい
・体の使い方が不器用で、なにをするにも時間がかかる
・集団生活になじめない
・先生の一斉指示がはいらない
・漢字が書けない
・なわとびや鉄棒が苦手
・体幹が弱いと言われた、体幹をきたえたい
・病院で医師から勧められた
・人からリハビリがいいよと勧められた
こんなことで相談してよいのかしら?と思っているのであれば、ぜひ相談してみてください。
どんなあそびをするの?
小児リハビリの遊びは、子供たちの発達や機能向上を促進するために工夫された楽しい活動です。これらの遊びは子供たちにとっては遊びの一環でありながら、リハビリテーション専門家によって構築され、個々のニーズに合わせています。
・粗大遊び
運動発達を促進するために、子供たちには様々な動作遊びが提供されます。例えば、障害がある子供たちには、バランス感覚を養うためのボールを使ったゲームや、階段を上り下りするトレーニングが含まれます。
・感覚遊び
感覚統合を促進するために、触覚、視覚、聴覚などの感覚を活かした遊びが行われます。砂遊びや水遊びなど、感覚的な刺激を含むアクティビティが取り入れられます。
・認知遊び
認知機能の向上を図るため、パズルや形を認識するゲーム、数字やアルファベットを学ぶ活動があります。これらのゲームは楽しさと同時に、認識能力の向上をサポートします。
・コミュニケーション遊び
ソーシャルスキルやコミュニケーション能力を高めるために、グループでの遊びや対話の促進が行われます。ボードゲームや協力型のアクティビティが含まれます。
・日常生活の模倣遊び
子供たちが日常生活で必要なスキルを練習するため、シミュレーションゲームや人形遊びが取り入れられます。食事の模倣、着替えのトレーニングなどがこれに該当します。
・アートとクラフト
手指の動きや協調性を向上させるために、アートやクラフト活動が行われます。絵を描く、粘土をこねる、紙を切るなどが含まれます。
これらの遊びは、子供たちが楽しみながら様々な能力を向上させるのに役立ちます。小児リハビリの遊びは、専門的な指導のもとで行われ、子供たちが成長する過程をサポートします。
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