「自閉症で知的に遅れが目立つって言われたけど、ピッタリなおもちゃないかな」
「ちっちゃい子におススメのおもちゃないかな?」
子どものリハビリを専門に行う療法士が、色々なおもちゃを紹介、分析します。
楽しむことは、学びに直結する最短ルート
今回お話するおもちゃはコチラ
子供の成長を促すシンプルおもちゃ『トンころガッタン』
小さなお子さんから遊べるおもちゃで、ハンマーを使って上から玉を入れていきます。入った球は、中のレールを転がって、3個入るとししおどし的に玉が外に出てきます。
とってもシンプルなおもちゃですね。見た目も、華美な装飾もなくて良い。見た目がかわいいおもちゃもいいんですけど、あまりにも情報量が多くなると、注意がそれやすくなるので、リハビリや知育目的で使用するおもちゃはなるべくシンプルなほうがおすすめです。
どんな効果が得られるの?
具体的な例を挙げて、「トンころガッタン」が子供に与える効果をさらに詳しく説明します。
・視覚と聴覚の感覚を楽しむ・養う
・因果関係の理解
・道具を使うことを学ぶ
・手と目の協調動作
・数量の概念
視覚と聴覚の感覚を楽しむ・養う
「トンころガッタン」のおもちゃ内部のレールを転がる玉の動きを見ることで、子供は視覚的な刺激を受けます。また、ハンマーで叩くという動作により、強い手ごたえや音が聴覚的な刺激として体験されます。
例えば、子供がハンマーで玉を叩いた瞬間に「ガツン」という音が鳴ることで、聴覚との結びつきを体感することができます。さらに、玉が転がる音やレールの曲がり角での音の変化など、音によっても情報が伝えられます。
因果関係の理解
子供がハンマーで玉を叩くと、玉が転がり、おもちゃ内部のレールを通って外に出てくるという因果関係があります。子供はこの関係性を観察し、理解することができます。
また、子供は玉の転がりやおもちゃの動きを観察し、情報を処理する能力を養うことができます。曲がり角や障害物によって玉の動きが変わるため、予測力や物理的な法則の理解が求められます。
例えば、ハンマーを使わずに玉を入れるだけでは玉が動かないことを実験的に確認することができます。また、玉を転がす速さや力加減によって、玉の動きが変わることも経験的に学ぶことができます。
道具を使うことを学ぶ
ハンマーという道具を使用します。子供は道具を使うことを学び、手の運動と目の視覚情報を組み合わせて操作します。
例えば、子供はハンマーの持ち方や使い方を学ぶことがあります。最初はハンマーを正しく持てなかったり、力加減を調整することに苦労するかもしれませんが、徐々に上達していきます。
手と目の協調動作
「トンころガッタン」ではハンマーを使って玉を叩くことで、手と目の協調動作が必要です。子供はハンマーの位置やタイミングを目で捉え、手を正確に動かして玉を叩く必要があります。
例えば、子供がハンマーを玉の上に正確に位置させるためには、玉とハンマーの相対的な位置関係を視覚的に把握し、手を的確に動かす必要があります。これによって手と目の連携や運動能力が発展します。
数量の概念
おもちゃには3個の玉を入れることができるスペースがあります。この要素は数の概念を理解するための基礎的な練習となります。
子どものリハビリではどのように使うんですか?
いくつか例をあげてみましょう。
高いところにおいて、立位を取るきっかけにする
「トンころガッタン」を子供の背丈と同じ高さに置くことで、子供は自ら立とうとする動きを促されます。おもちゃを操作するためにハンマーで打つか、玉を入れるという目的動作をすることで、子供は頭の中で立つ動作をイメージし、それを実行しようとします。
子供が目標を達成するために、自分の頭でイメージした動きを実際に行うことは、運動学習を効果的に進める手段です。そのキッカケとして、「トンころガッタン」を利用することができます。
このおもちゃを使うと、子供は立ち上がるために必要な筋力やバランスを養うことができます。また、立位の姿勢を保つために必要な体幹の安定性や姿勢制御の向上にも寄与します。
具体的には、子供がハンマーを使って玉を叩く動作や玉を入れる動作をするために、身体を安定させる必要があります。バランスを取るために筋肉を使い、立つために必要な動作を身につけることで、立位の姿勢を保つ能力や立ち上がる動きを促進することができます。
「トンころガッタン」を活用することで、子供は楽しみながら立位の姿勢を学び、身体の発達や運動能力の向上を促すことができます。
注意がそれやすい、自閉傾向のある子ども
自閉傾向のある子どもの中には、注意がそれやすい、集中できないといったいわゆるADHDの症状を合併している子どもがいます。
このおもちゃは同じ工程が繰り返されるため、自閉傾向のある子供にとっては玉の動きも予測可能で、感覚情報が比較的安定しています。そのため、子どもはじっくりと楽しむことができます。
同時に、トンころガッタンを楽しむ過程で椅子に座って集中する時間や、玉の動きに注目する時間、手元の操作に集中する時間が生まれます。これにより、通常は注意散漫な彼らにとって、断片的な情報だけでなく、集中できる時間を通じて情報をしっかりと頭に入れることができます。
この集中できる時間を利用することで、彼らは自分の体の使い方やイメージをより具体化し、手先の動きの向上につなげることができます。また、落ち着いた環境で遊ぶことで、玉の受け渡しや他者への意識、コミュニケーションのキッカケを作ることもできます。
「トンころガッタン」は彼らにとって安定感のある環境を提供し、集中力を高めることで学習や発達を促進するおもちゃと言えます。
まとめ
「トンころガッタン」は道具の使い方の学習、手と目の協調動作の促進、因果関係の理解など、様々な効果を子供にもたらします。同時に、楽しみながら遊ぶことで子供の関心や興味を引きつけ、学びのモチベーションを高めることもできます。
シンプルでありながら子供の成長や発達に多くの効果をもたらすおもちゃです。その楽しさから、子供の興味や関心を引きつけ、遊びながら学ぶことができます。ぜひこのおもちゃを通じて子供の成長をサポートし、楽しい時間を過ごしてください。
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