まずはここから!小児リハを学ぶリハビリ専門解説!

数は生活の中にある!年代別でわかる数の発達と発達を促す実践方法

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 あなたは子どもの頃、こんな経験をしませんでしたか?

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お風呂で数える親子

 なにげない日常の風景です。じつはこれ、子どもの数の認識を発達させるとても大切な時間だったのです。

 発達障害や学習障害、知的障害など数や計算に問題を抱えるお子さんがいます。こういったお子さんにとって、数の問題を解決するために重要な内容です。

 数や数量の発達に関して書ききれないほどの情報が文献から読み取ることができます。その中から、重要な部分だけを抜粋してお伝えします。

年代別の計算能力

 ここで述べる計算能力には「3つ」の要素に分けられています。

・実際のものをつかった計算
 子どもに実際のものを見せて計算させる能力です。

・数詞をつかった計算
 数詞とは数を表す言葉のことを言います。具体的には、「いち」、「にい」、「さん」、「ひとつ」、「ふたつ」などです。

・数字をつかった計算
 数字(1や2など)をそのまま使って計算させる能力です。つまり、5-3=?という勉強で行うような計算の仕方です。

 この3つの計算要素について、年代別に一覧にしたので見てみましょう。

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実物をつかった計算
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数詞をつかった計算
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数字をつかった計算

 実際のものを使えば、4歳から5歳にかけて計算を出来ることがわかります。一方で3歳児は、その計算方法も大きな差はないことから、4歳から5歳にかけてが計算能力を発達させるうえで、ひとつのポイントとなると考えることができます。

 では、そのように数の認識や数字を覚えていくのでしょうか?
 具体例や効果的な実践方法をまじえながら、年代別に見ていきましょう!

0歳

 見たり、聞いたり、経験した物、イメージの回数や数の変化に注目するようになります。
 4か月ころから、3個以下の個数の異なる集合を区別できるようになり、またその集合体をイメージして、操作することができるようになります。

ちなみに、「集合体」という言葉がこれ以降も頻繁に出てくるので解説します。

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集合体とは?

 いくつかの要素がまとまった物を「集合体」もしくは「集合」といいます。集合の中には、2個だったり、3個だったり「要素の数」が入っています。

効果的な実践方法

・園庭、着替え、食事場面など様々な場所で乳幼児が目にする物について語りかける

・乳幼児が好むような小さな物を箱に入れて遊べるように用意する。1個、2個、3個など集合体を意識できるように小物を準備する。

1歳

 1歳半ころには集合の要素が4つ以下の場合、多い少ないという関係を理解することができるようになります。また、言葉をしゃべりだすと数に関する言葉(「いち にい さん」などの数詞)を無作為に話すようになります。

効果的な実践方法

・日常生活の中で数に関連した言葉を積極的に使ったり、歌を通して、楽しみながら数を覚えられるよう工夫をする

・リズムに合わせ足踏みや拍手などをするよう促す(手遊びうた)

・「多い」「少ない」など数量を表現する言葉を使う

2歳

 2歳前後になると「いっぱい、ちょっと、もっと」などの数量を限定する副詞を使い始めます。さらに、数唱(いち にい さんと順番に数えること)を聞きなれている子どもは、直線状に並ぶものをみて数唱しはじめます。
 また、2から3歳ころになると、集合体の中に含まれる要素の数(2個と3個まで)を一目で把握できるようになります。

効果的な実践方法

・リズムに合わせ足踏みや手拍子などをするよう促す(手遊びうた)

・遊びの中で、数を使って認識を高めていく。

・組み合わせてまとまりを作ったり、組み合わせて完成する物を使って遊ぶ

3歳

 3歳前後では、数唱を集合体に含まれる要素の数とを確実に1対1に対応付けることができます。つまり、数を数える能力を獲得していくのです。

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要素の数と数詞が結びつく

 また、3歳児期に数を数える範囲が「10」を超えます。さらに「5」以下の数で、数字から数詞に確実に変換できるようになります。

効果的な実践方法

・集合のなかに「いくつある?」「○○はいくつほしい?」など、生活のなかで数を数える、数を意識する声掛けを行う。

・数に関する認識やとらえ方を学習できる環境をつくる。(車のナンバープレート、番地、時計、電話など)

・シンボルやマークがどのように数や数量を表しているのか伝える

4歳

 4歳児では「10」以下の数字を数詞にほぼ確実に変換できるようになります。このころは「1~9」の数字を4つのグループに分けていると考えられています。1つ目は「9.8.7.6」、2つ目は「4と5」、3つ目は「2と3」、そして4つ目は「1」です。


 これにより、「10未満」の2つの数の多い少ないの比較において、小さな数同士の比較(1と2)、差の大きい数の比較(9と3)ができるようになります。
 わかりやすくするためにイメージ画像を作ってみました。

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数をまとまりで考えている

  また、50%の子どもが、集合に含まれる要素の数の4つを一目で判断できるようになります。さらに、10進法の初歩的知識が生まれるのもこのころです。
(10進法とは、1~10まで進んだら、つぎは11~20というように、10ずつ増えていく数の考え方をいいます。日本語は、この10進法の理解がしやすい言葉と言われています。)

効果的な実践方法

・いろいろな場面で「数えてみよう!」と促す。

・番号のラベルを使う(ものに番号をつけ、同じ番号の棚に入れるなど)

・数に関わる判断力を養う(○○するには、何個必要かな? / 何個あれば足りるかな?)

・順番についての認識を促す(一番、二番、三番など)

・指を使った計算や絵や写真を指さしながら数える

5歳

 5歳児になると、「10」以下の数字を数詞に完全に変換できるようになります。
 集合の中に含まれる数の把握については、「3つ」までは一目で確実に把握することができます。「4つ」は80%の子どもが一目で把握できます。
 この集合体に含まれる要素の数4つを一目で把握できるようになると、「2と2で4」といった数の合成や数の分解ができるようになります。つまり、計算の基礎が出来上がります。これは、幼児期の数能力の一指標になります。
くわえて、5歳児は「5」をひとつのまとまり、基準として考え、計算を行うとされています。

効果的な実践方法

・遊びながら数を数える教材や素材をあたえ、数に対する認識を高めていく

・簡単な数字を使ったゲームを行う

・絵本を読んでいる時など、数に関する質問をする

・子どもたちの好きな数字、誕生日、電話番号などにまつわる絵本や展示物、カード等を作り、さらに数字に興味を持てるようにする

6歳

 就学前の幼児は、足し算や引き算を行う手立てとして、2つある集合のうちの大きい集合数を基準の数として、小さい集合数を数え足す方法を獲得します。また、指などを使って計算できるようになります。

効果的な実践方法

・簡単な算数の教材で、数を数える、計算を学習する

・日常生活のなかで、数に関するいろいろな問題に取り組ませる。(「ここから○個取ったら
いくつ残るか?」、「8つのクレヨンを4人に2つずつ配ってみよう」)

・身の回りで起こることを培った数的アイデアや方法を使い、解決する

日常の経験を通して学ぶ数の知識「インフォーマル算数」

 子どもが日常の生活や遊びの日常経験を通じて獲得する数量に関する知識をインフォーマル算数の知識といいます。集合をみて、数を把握したり、お風呂で「いち にい さん」と数詞を言うこと、あるいは多い少ないや実際のものを使って数を足したり引いたりすることを指します。

 インフォーマル算数の基礎となる知識は、大人が子供に豊かな経験の場を与え、その状況と子どものココロの動きを適切に表現する言葉を使用することで獲得されていきます。

まとめ

 数字や計算というと、どこか難しい印象や勉強という印象を受けてしまいますが、発達の過程をみてみると、意外にも「生活のなかで」自然に養われていくものが多いと感じます。

 もちろん難しい計算などは勉強が必要になります。その土台となる数の概念や数への興味は認識は、0歳のときから、すでに始まっていることにも驚きます。

 そして、もっとも大切な事は、

大人が子供に豊かな経験の場を与える事

 冒頭に紹介したお風呂で数を数える事、日常生活のなかで数を意識させる会話をすること、幼児教育の教材をつかってもよいでしょう。「あなた」の働きかけが、重要になるのです!

知育教材の王道「こどもチャレンジ」

 正直に言います。私の子どもたちは「こどもチャレンジ」を小さい時にやっていました。
 その目的はズバリ

知的に満たされるという経験をさせるため

 「わかることがうれしい」「知りたいことが増える」
 こういった知的な好奇心を満たすことを経験させたかったのです。

 効果は?
  確実に「勉強」に良い影響を与えています。(個人の感想です)

 幼少期の教材として、考え抜かれたベネッセの教材です。ほんと、良くできていると感心しちゃいます。

引用文献
・森知子,中川香子:子どもの数量・図形の理解に関する研究:保育内容の指導法考案に向けた発達過程表の作成.聖和短期大学紀要(4).56-63.2018
・横井一之他:領域「環境」における日英比較-幼稚園での数量や図形指導に注目して-.7-28
・吉田甫:子どもは数をどのように理解しているのか:数えることから分数まで.東京.新曜社.1991
・岩淵悦太郎 他:ことばの習得.ことばの誕生:うぶ声から5才まで.日本放送出版協会.109-177.1968
・丸山良平:幼児の数字使用力の獲得の過程について.上越大学研究紀要.10(2).105-118.1991
・丸山良平:幼児の数量の多少等判断力の発達について.上越大学研究紀要.12(1).299-312.1992
・丸山良平:幼児の数転換能力の獲得における数詞の役割.発達心理学研究4.34-41.1993
・丸山良平 他:幼児のインフォーマル算数について.発達心理学研究 第8巻.第2号.98-110.1997
・Antell, S. E. et al : Perception of numerical invariance in neonates. Child Development.54.695-701.1983
・Strauss,M. S. et al : Development of numerical concepts in infancy. In C. Sophian (Ed.).Origins of cognitive skills.Hi;;sdale. NJ : Erlbaum.131-155.1984

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