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イライラの原因は感覚?見逃していた感覚と情動のつながり

 私たちは、日々の生活の中で何気なく感じている感覚が、どれほど自分の気分や行動に影響を与えているか、あまり意識していないかもしれません。たとえば、忙しい朝、シャワーの水が少しでも冷たいとイライラしてしまったり、混んだ電車で誰かに触れられるだけでストレスを感じたりしたことはありませんか?逆に、ふわふわの毛布に包まれた瞬間や、好きな音楽が流れてきたとき、自然と心が落ち着くような経験もあるでしょう。

 こうした日常の些細な瞬間は、実は感覚が私たちの感情に大きく影響している証拠です。もし、音や光、触感に対する反応が過敏すぎたり、鈍すぎたりすると、感情の波が大きく揺れ動き、普段の生活が一気にストレスフルになるかもしれません。たとえば、些細な音に過剰に反応してしまうと、頭がいっぱいになってしまい、冷静さを失うこともありますよね。

 私たちが毎日感じる感覚がどのように情動に影響を与え、生活を形作っているのか――それを少し意識するだけで、自分や周りの人たちの気持ちに寄り添うヒントが得られるかもしれません。

感覚と情動

感覚と情動(感情)の関係は、私たちが日常で体験していることの多くに影響を与えています。

 感覚と情動(感情)の関係は、私たちが日常で体験していることの多くに影響を与えています。簡単に言うと、感覚は私たちが世界をどのように感じるかに関わり、その感じ方が私たちの感情を動かすのです。

・感覚とは?
 感覚とは、目で見る、耳で聞く、肌で触れる、鼻で匂いを感じるなど、私たちが外の世界を知るための手段です。たとえば、明るい光を見る、強い音を聞く、冷たい水に触れるといった経験が感覚です。

・情動とは?
 情動(感情)とは、私たちが何かを感じたときに心に生じる反応のことです。例えば、うれしい、悲しい、イライラする、不安になるといった気持ちです。

 感覚と情動は密接につながっています。どのように感じるかによって、私たちの感情が変わるのです。たとえば、好きな音楽を聞くとリラックスできるけど、騒音が続くとイライラしてしまうことがあります。また、柔らかい毛布に触れると安心するけど、ザラザラした布に触れると不快になることもあります。このように、感覚によって私たちの気分や感情が変化するのです。

感覚処理にデコボコが生じると、情動にはどのような変化があるのでしょうか?

具体例を挙げて紐解いていきましょう。

感覚過敏と情動反応の調整

感覚過敏の子供は、通常の人が気にしないような騒音に対して、非常に強い反応を示すことがあります。

たとえば、騒がしい環境での感情の反応を考えてみましょう。

・調整が機能しない場合

 感覚過敏の子供は、通常の人が気にしないような騒音に対して、非常に強い反応を示すことがあります。例えば、教室内での話し声や廊下の足音が耐えがたいほど大きく感じる場合、子供は不安感やイライラを強く感じます。このとき、感覚入力の調整機能がうまく働いていないと、感情が過剰に反応し、子供はパニックになったり、怒りを爆発させることがあります。

・調整が機能する場合

 感覚入力の調整機能が適切に働いていると、過敏な反応が抑えられ、たとえ音が不快でも冷静に状況に対処できるようになります。例えば、耳栓を使用する、静かな場所に移動するなどの対策が取られ、情動的な反応(不安や怒り)が和らぎます。これにより、感覚刺激に対してバランスの取れた反応が可能となります。

感覚鈍麻と情動反応の調整

感覚入力の調整機能が働いていれば、たとえ鈍麻があっても、痛みや不快感に気づく能力が向上し、適切な情動反応が表れます

痛みへの反応について、例を挙げてみましょう。

・調整が機能しない場合

 感覚鈍麻の子供は、通常なら痛みや不快感を感じるような刺激に対して気づきにくいことがあります。例えば、転んで膝をすりむいたとしても、その痛みに気づかずに走り続けたり、怪我をしても適切な対処をしないことがあります。この場合、痛みや不快感に対する情動反応(痛みへの悲しみや恐怖)が遅れるか、ほとんど現れません。周囲からは感情が鈍い、または無関心に見えるかもしれません。

・調整が機能する場合

 感覚入力の調整機能が働いていれば、たとえ鈍麻があっても、痛みや不快感に気づく能力が向上し、適切な情動反応が表れます。例えば、痛みを感じるタイミングが改善され、怪我の手当てや休息が適切に行われるようになります。このように、身体的な感覚への反応とそれに伴う情動的な反応がより適切になります。

感覚追求と情動反応の調整

感覚追求型の子供は、強い感覚刺激を好みます。

強い刺激を求める行動について、考えてみましょう。

・調整が機能しない場合

 感覚追求型の子供は、強い感覚刺激を好みます。例えば、激しい音楽を聴いたり、体を激しく動かしたり、しばしば感覚的な興奮を求める行動を取ります。この場合、強い感覚刺激を得られないと不安や落ち着きのなさを感じ、行動が衝動的になることがあります。情動のコントロールが難しくなり、不安感やイライラが表に出やすくなります。

・調整が機能する場合

 調整機能がうまく働くと、感覚追求型の子供は、必要以上に刺激を求めず、安定した情動反応を保てるようになります。たとえば、適度な感覚刺激を提供することで、過度な不安感や衝動的な行動を防ぎ、情動的な安定を保つことができます。トランポリンやブランコといった安全な刺激を与えることで、バランスを取り戻すことが可能です。

感覚回避と情動反応の調整

感覚回避型の子供は、特定の刺激を極度に避けようとします。たとえば、食事中に特定の食べ物の触感や味を嫌がり、その食事を避けることがあります。

特定の感覚刺激の回避について、情動反応を考えてみましょう。

・調整が機能しない場合

 感覚回避型の子供は、特定の刺激を極度に避けようとします。たとえば、食事中に特定の食べ物の触感や味を嫌がり、その食事を避けることがあります。特定の食感に対する恐怖や不安が強くなり、食事そのものが大きなストレスになる場合もあります。このような場合、感覚刺激への過剰な情動反応(不安やパニック)が起こり、日常生活に支障をきたします。

・調整が機能する場合

 調整機能が適切に働くと、感覚回避型の子供は、感覚刺激に対して適度な反応を示すことができます。たとえば、苦手な食感に対する恐怖や不安が和らぎ、少しずつその食べ物に慣れていくことができるようになります。新しい感覚刺激に対する耐性が徐々に向上し、過剰な情動反応が減少することで、日常生活においてより穏やかな情緒的安定を保つことができます。

環境の調整による情動反応のサポート

感覚調整機能がうまく働いていない子供に対しては、環境の調整が重要です。

感覚のバランスが大事
普通は、私たちはさまざまな感覚をうまく調整して受け取っています。しかし、一部の人は、感覚が強すぎたり、弱すぎたりして、それにより感情が不安定になりやすいことがあります。たとえば、音に敏感な人は、ちょっとした音でもイライラしたり、不安になったりします。また、逆に、強い感覚を求める人は、感覚が足りないと落ち着かず、不安定になってしまうこともあります。

 感覚調整機能がうまく働いていない子供に対しては、環境の調整が重要です。例えば、音に敏感な子供には静かな環境を提供したり、触覚が過敏な子供には柔らかい素材の衣類を選んだりすることが有効です。これにより、過剰な情動反応を避け、感覚刺激に対する過剰な反応を防ぐことができます。

まとめ

感覚入力の調整機能が適切に働くことで、感覚刺激に対する情動的な反応をコントロールし、日常生活におけるストレスや不安を軽減します。これにより、感覚過敏や鈍麻、感覚追求や回避といった特徴を持つ子供たちが、より安定した情動反応を保ち、健全な社会生活を送るための助けとなります。

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