まずはここから!小児リハを学ぶリハビリ専門解説!

日常のなかで見逃しがちな感覚のサイン:4つの特性とその対処法

感覚処理の4つの特性と対処方法 まずはここから!小児リハを学ぶ

「ある日のこと、子どもが突然耳をふさいで泣き出しました。原因は、私にはほんのわずかな音、隣の家のドアが閉まる音でした。でも、彼にはその音が耐え難いほど大きく感じられたのです。『どうしてこれくらいの音が辛いの?』という疑問を抱えながらも、彼の感覚が私と違うことに少しずつ気づき始めました。」

 感覚処理に課題を抱える子どもとの日々は、多くの驚きと発見の連続です。ちょっとした音、触感、光が、私たちには何でもないものでも、子どもにとってはその瞬間を乗り越えるために全力を必要とすることがあります。

 感覚過敏や感覚鈍麻、感覚探究や感覚回避といった特性は、ただの「こだわり」や「好き嫌い」ではなく、日々の生活の中で子どもが戦っている感覚との闘いなのです。

 私たちにとって、子どもが何に苦しんでいるのか、どうして突然パニックになるのか、そしてどうすればその苦しみを和らげられるのかを理解するのは簡単ではありません。それでも、子どもの感覚に耳を傾け、少しずつその違いを理解していくことで、私たちは新しい道を一緒に歩んでいけるのです。この道は決して平坦ではありませんが、少しの工夫や理解で子どもの世界を少しでも穏やかなものにできると信じています。

感覚処理のパターン

 感覚プロファイル(Sensory Profile, SP)を開発した Dunnは、感覚処理には4つの主要なパターンがあると説明しています。その理論によれば、感覚情報に対する反応や適応の仕方には個人差があり、それが行動や日常生活に影響を与えるというものです。この4つのパターンは、感覚処理が過敏または鈍麻か、そしてその人が感覚情報に対して能動的に反応するか受動的に反応するかによって分類されます。具体的には以下のようなパターンが存在します。

感覚処理の4つの特性(感覚過敏、感覚鈍麻、感覚追求、感覚回避)は、個人がどのように感覚刺激に反応するかを表しており、日常生活や行動に大きく影響を与えます

 感覚処理の4つの特性(感覚過敏、感覚鈍麻、感覚追求、感覚回避)は、個人がどのように感覚刺激に反応するかを表しており、日常生活や行動に大きく影響を与えます。ここでは、それぞれの特性について具体例を挙げながら、詳しく解説します。

低登録:感覚鈍麻(Low Registration)

低登録は、感覚刺激に対して反応が鈍く、気づきにくい状態です。このため、より強い刺激が必要になることが多いのが特徴です。

 低登録は、感覚刺激に対して反応が鈍く、気づきにくい状態です。このため、より強い刺激が必要になることが多いのが特徴です。

・聴覚の感覚鈍麻
 大きな音に気づかない、または反応が遅れることがあります。例えば、車のクラクションや他の人の話し声が聞こえていても、それに気づかないことがあります。また、学校のベルや警報音にすぐに反応できないこともあります。

・視覚の感覚鈍麻
 視覚的な変化や物事に気づくのが遅い場合があります。例えば、教室内で他の子どもが手を挙げていることに気づかず、周囲の状況を見逃してしまうことがあります。また、看板や標識など、周りにあるものにあまり注意を払わず、他人が気づくような細かい視覚情報を見逃すこともあります。

・触覚の感覚鈍麻
 身体に触れられても反応が鈍い、または気づかない場合があります。例えば、他の人が肩に軽く触れても気づかない、転んでも痛みを感じにくい、または気にしないという行動が見られることがあります。

・前庭覚の感覚鈍麻
 揺れや回転に鈍感で、体の動きに対して反応が遅れることがあります。例えば、強い揺れや回転の動きにあまり気づかず、ブランコやジャングルジムなどの遊具で他の子どもよりも無頓着に遊ぶことがあります。また、階段や高いところでもあまり恐怖を感じないことがあります。

・運動覚の感覚鈍麻
 自分の体がどこにあるかの感覚が鈍く、動きや体の位置に気づきにくいことがあります。例えば、座っているときに姿勢を崩しても気づかず、転倒してしまうことがよくあります。また、階段を上がるときに足元の感覚が鈍く、よろけたりつまずくことが多いです。

感覚探究(Sensation Seeking)

感覚探究は、感覚刺激を積極的に求める傾向がある状態です。感覚刺激を強く欲しがり、そのために独特の行動をとることがあります。

 感覚探究は、感覚刺激を積極的に求める傾向がある状態です。感覚刺激を強く欲しがり、そのために独特の行動をとることがあります。

・聴覚の感覚探究
 騒音や音楽を大きく聞きたいという欲求があります。例えば、ヘッドホンで非常に大きな音量で音楽を聞く、または騒がしい場所が好きで、静かな場所では集中できないという行動が見られることがあります。

・視覚の感覚探究
 視覚的な刺激が強い場所を好むことがあります。例えば、カラフルな光や明るいスクリーンに強く引き寄せられたり、閃光や動きの多い映像を見続けたくなることがあります。点滅する光や派手な色彩が好まれることもあります。

・触覚の感覚探究
 強い触感や圧力を求める行動があります。例えば、強くハグされたり、重い物を持ったり、体を強く押されることを好むことがあります。また、砂や泥、粘土など触感のある素材を触るのを楽しんでいることが見られます。

・前庭覚の感覚探究
 回転や揺れを好み、常に体を動かしたり、揺れる感覚を楽しんでいることがあります。たとえば、ブランコに乗り続けたり、回転椅子でくるくると回り続けたりすることがよく見られます。また、階段を駆け上ったり、ジャンプを繰り返したりするなど、身体をダイナミックに動かすのを楽しむ行動が多いです。

・運動覚の感覚探究
 強い圧力や重い動きを好む傾向があります。例えば、重いものを持ったり押したりするのを好み、力強い抱っこやハグを求めることがあります。また、地面にゴロゴロ転がる、重い布団にくるまる、プロレスごっこのような身体をぶつけ合う遊びを好む子どもも多いです。

感覚過敏(Sensory Sensitivity)

感覚過敏は、特定の感覚刺激に対して過剰に反応する状態です。些細な刺激でも強く感じ、ストレスや不快感を引き起こすことがあります。

 感覚過敏は、特定の感覚刺激に対して過剰に反応する状態です。些細な刺激でも強く感じ、ストレスや不快感を引き起こすことがあります。

・聴覚の感覚過敏
 音に非常に敏感で、普通の人が気にしないような音が大きく感じられたり、耐えがたく感じられることがあります。例えば、カフェで人々が話している音や、冷蔵庫のモーター音、突然の車のクラクション音に強く反応し、耳をふさいだりその場を離れたくなる行動が見られる場合があります。

・視覚の感覚過敏
 強い光や色彩、視覚的な混雑に過敏になることがあります。たとえば、明るい蛍光灯の光に耐えられず、サングラスをかける必要がある、または複雑な模様やデザインの場所では視覚的に圧倒されて集中できないことがあります。

・触覚の感覚過敏
 特定の触覚刺激が非常に不快に感じる場合があります。例えば、洋服のタグやシーム(縫い目)、特定の生地の感触が嫌で、衣類を頻繁に脱ぎたくなったり、特定の素材を避ける行動が見られることがあります。

・前庭覚の感覚過敏
 回転や高低差に対して非常に敏感で、わずかな揺れや傾きにも不安を感じる場合があります。例えば、ブランコやシーソーに乗るのを怖がったり、エスカレーターやエレベーターに乗る際に強い不安を感じ、動けなくなることがあります。車に乗るとすぐに酔ってしまう子どもも、このタイプに該当することが多いです。

・運動覚の感覚過敏
 体にかかる圧力や、動きに対して過剰に敏感です。たとえば、軽く押されるだけでも痛みを感じる、バランスをとるのが不安で、ちょっとした体の動きでも安定感を失うように感じる場合があります。こうした子どもは、走ったりジャンプしたりするのを避けることが多く、動きに対して慎重になることがあります。

感覚回避(Sensation Avoiding)

感覚回避は、感覚刺激に対して嫌悪感を持ち、避ける傾向がある状態です。過度な刺激に対して強いストレスを感じ、その場を避けたり特定の行動をとります。

 感覚回避は、感覚刺激に対して嫌悪感を持ち、避ける傾向がある状態です。過度な刺激に対して強いストレスを感じ、その場を避けたり特定の行動をとります。

・聴覚の感覚回避
 音に敏感で、特定の音や騒音を避ける行動をとります。例えば、静かな場所を好み、騒がしい場所や大きな音を避けるために耳栓を使用したり、耳をふさいでしまうことがあります。また、パーティーや人混みなど騒がしい環境には行きたがらないことが見られます。

・視覚の感覚回避
 強い光や派手な色彩、視覚的な刺激を避ける行動があります。例えば、明るいライトや太陽の光が苦手で、常にサングラスをかけたり、スクリーンから距離を置きたがることがあります。また、派手なデザインや複雑なパターンのある空間を避けることもあります。

・触覚の感覚回避
 特定の触感に対して敏感で、触られることや特定の素材を避ける行動があります。例えば、毛糸やウールの服が嫌で、肌に合わないものを絶対に着たがらないことがあります。また、砂や粘土のようなものに触れるのを嫌がり、手を洗いたがることが頻繁に見られることもあります。

・前庭覚の感覚回避
  少しの揺れや回転でも不安や恐怖を感じ、動きを避けようとする傾向があります。例えば、ブランコや滑り台、エレベーターに乗るのを嫌がり、坂道や傾斜のある道を歩くのも不安がることがあります。回転する遊具や、バランスを取ることを必要とするアクティビティに強い抵抗を示すこともあります。

・運動覚の感覚回避
  動きや体のポジションに敏感で、体を動かすことを避けることがあります。例えば、ジャンプや走る動きに対して強い不安を感じ、身体を動かす遊びに消極的になることがあります。また、軽く触れられるだけで嫌がり、体にかかる圧力や接触を避ける行動が見られることがあります。

まとめ

 これらの感覚特性は、個々の人がどのように環境や感覚情報と関わるかを理解するための重要な要素です。感覚過敏の人には感覚刺激を減らすサポートが有効であり、感覚追求の人には安全に感覚刺激を楽しめる環境を提供することが役立ちます。それぞれの特性に応じた適切な対応や環境調整が、より良い生活や学習を支えることに繋がります。

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