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発達モデル! 子どもは他者をいつどのように認識する?五つの段階

もっと知りたい小児の知識

これまでの記事で「他者とのかかわりを通して学習する」という話をしてきました。
専門解説! 必見!大人の役割はココにあり「発達の最近接領域」の話
必見の学習モデル「媒介学習体験」の話

では、子どもはどの段階で他者という存在をどのように認識するのでしょうか?
Rochatは5つの段階に分類しました。

第一段階 (生後6~8週)

子どもは自分と他者を区別できず、自己と外界が一体となった状態にあります。

自己の動きや感覚が環境とどう関係するかを理解していないため、ダブルタッチのような自分の身体を確かめるような行動を基盤として、他者と自分を区別しています。

第二段階 (生後2~3か月ころまで)

子どもは自己と環境の違いを認識し始めます。
自分の動きと外界の変化の関連性に気付き、自己の身体が環境とは異なる存在であることを理解し始めます。

このころは、他者とほほ笑みやその他の情動をともなったやり取りを通じて、他者を社会的な存在として認識していきます。

第三段階(生後2~7か月ころ)

他者のなかでも主に養育者とある種のパターン化したやり取りを経験していくことによって、他者との反応を予測するようになります。このころはあやすと笑うなど社会的微笑が出現するようになります。

第四段階(生後7~9か月頃まで)

子どもは自己を他者と区別し、他者が自分とは異なる存在であることを理解します。
鏡に映った自分を見て、その反射が自分自身であると認識し始めます。

このころは自分の行動のために他者の表情を利用する社会的参照行動、他者が見ているものを自分もみて注意を共有する「共同注視」ができるようになります。
この時期の共同注視は、他者の視線や行動に追従するという「応答的共同注視行動」と呼ばれています。

第五段階(9か月~1才半頃まで)

子どもは鏡像を自分と完全に同一視するようになります。
自分の行動が鏡に反映されることを理解し、自分の顔や身体の一部を指さして認識することができるようになります。

自ら積極的に他者を巻き込み経験しようとしたり、他者と協力するという感覚も出てきます。
自分から他者の行動をもとめていくということで「始発的共同注視行動」とよばれます。

大きな飛躍の時期「2か月」と「9か月」

Rochatは発達モデルのなかで大きく飛躍する時期を提唱しています。それは、生後2ヶ月と9か月です。

2か月の飛躍

「生後2か月の飛躍」の段階では、赤ちゃんが意志や計画を持って行動し始めます。この時期には、意図的に物事を考えたり、探したり、計画したりするようになります。赤ちゃんの笑顔も変わり、社会的な笑顔になることが増えます。他の人が自分と違う存在であることを理解し始め、刺激に対する反応が減ってきます。意図的で計画的な行動が増え、目標を達成するために行動を調整するようになります。

9か月の飛躍

「生後9か月の飛躍」の段階では、赤ちゃんが他の人に気づき、知らない人に会うと不安を感じ始めます。他の人を認識する力が高まり、他の人に対して反応する行動が出てきます。

複雑な予測をしたり、自分や物、他の人を理解する力が深まります。環境の中で他の人や物との関係を理解し、他の人を意図を持った存在として見ることができるようになります。

他の人と注意を共有したり、他の人を参考にしたりすることができるようになります。他の人と一緒に活動することで学ぶことが増えていく段階です。

上記の発達モデル以外にも、いくつかの発達モデルが提唱されています。

ものと人とのかかわり 7段階のモデル

また、子どもの発達初期における物や人との関わりを検討するために、7段階のモデルが提案されています。このモデルでは、子どもが生まれてから他者と話せるようになるまでの過程を次のステップで説明しています。

1.「混沌とした世界」
生まれて間もない頃は、自分と他者や物の区別がつかない混沌とした状態です。

2.「自己・他者・物のゆるやかな分化」
少しずつ自分と他者や物の区別ができるようになります。まず、自分とそれ以外を区別するようになり、自分の体を動かすことがこの分化に重要です。

3.「刺激的な他者(二項関係の形成)」
他者と物の区別がつき始め、他者と初期の関係を築く段階です。この時期はまだ「自己」や「他者」の意識が曖昧です。

4.「自分の自体の操作」
自分の体を動かすことに集中する段階です。目を動かして物を見る、自分の手をなめたり見つめたりすることで、自分の体を確かめます。このようにして、自分が体を動かす主体であることを理解し始めます。

5.「物の操作」
操作の対象が自分の体から外の物に広がる段階です。物を操作して、その結果に興味を持つようになります。外の世界を探る活動が活発になります。

6.「初期の三項関係」
物を介して他者と関わる段階です。他者が操作する物や、物を操作する他者に興味を持ちますが、まだ他者の意図や気持ちには気づいていません。これは、物を介した共同遊びの段階です。

7.「他者意図の理解」
他者に意図や思いがあることに気づく段階です。他者の指さしなどの行動にメッセージが含まれていることを理解し、自分の意図と他者の意図を重ね合わせたり反発したりすることができるようになります。

世界とのかかわり

次のモデルは、乳幼児が発達初期に外の世界の物や活動にどのように関わっていくかを示す一つの手がかりとして考えられます。

1.「遭遇(Encounter)」
この段階では、赤ちゃんは外の世界の刺激や活動に出会います。多くの場合、これに対して反射的に反応します。

2.「気づき(Awareness)」
赤ちゃんが外の物や活動に気づき、それに興味を持ち始める段階です。反射的に反応するのではなく、刺激を受け取り、注意を向けるようになります。

3.「応答(Response)」
赤ちゃんが外の物や活動に対して一貫した反応を示し始める段階です。この段階では、物に対する注意が続き、共同で行動する兆しが見られます。

4.「関与(Engagement)」
この段階では、他者とのやり取りが展開され、対応のパターンが形成されます。また、学習によって行動が変わることも示されます。

5.「参加(Participation)」
赤ちゃんがコミュニケーションを始め、他者の注意を引きつけるようになります。共同で行動したり、活動とその結果のつながりを理解したりする段階です。

6.「積極的関与・積極的取組み(Involvement)」
コミュニケーションが広がり、相互の関わりが深まります。ジェスチャーなどで選択ができるようになり、初期の体系的な問題解決も可能になる段階です。

このように、赤ちゃんは段階を追って外の世界や他者と関わり、コミュニケーションや問題解決能力を発達させていきます。

これらの発達モデルは、どれも子どもたちの土台となる部分です。

発達障害や障害を抱えているこどもたちは、この発達段階のどこかしらの学習が不十分であった可能性があります。土台作りができる支援も必要と考えられています。

まとめ

これらの段階を通じて、子どもは自己と他者の区別を学び、社会的な世界を理解していく能力を発達させていきます。

 子どもたちがどのような段階を踏んで他者とかかわりを持っていくのかを知ることは、両親はもちろん、支援をする大人にとっても重要です。大人と子どもが一緒に同じ場所、課題、注意、情動を共有していくことで、子どもたちは学び育っていきます。したがって、その子のレベルに応じた対応も必要になってくるのです。

お読みくださってありがとうございます。

文献
Rochat,P. The infant’s world. Harvard University Press, Cambridge, Massachusetts.2001 板倉昭二・開一夫監 訳.乳幼児の世界.ミネルヴァ書房.2004

徳永 豊.乳幼児の発達における共同注意関連注意行動について.重度・重複障害児のコミュニケーション行動における共同注意の実証的研究.平成11年度~平成14年度科学研究費補助金研究成果報告書.国立特別支援教育研究所.15-20.2003

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