我が家の愛犬が寒そうにしています。家の中には犬専用のスペースがあり、そこで片隅で丸まって寝ています。可哀そうだと思った私は、室内用の柔らかい犬用ハウスを購入しました。
でも、サイズが小さかったんですね。けっきょく、愛用のクッションの上で寝ています。
思ったよりも胴体長かった どうも、ゆーです。
犬種はミニチュアダックスフンドです。ちょっと目測を見誤りました。
子どもの箸の持ち方がどこか変。箸の持ち方を直したい。変な持ち方をしていたり、X箸(クロス箸)だったり、このまま変な持ち方が身についちゃったらどうしよう。
親としてはとても心配になりますね。そこでしつけ箸を使ってみたり、お箸の練習をしてみたり、色々な努力をしている方もいらっしゃると思います。
ちょっと待ってください。もしかすると、お箸が上手く扱えないのは、手の発達の成長過程の一つかもしれません。
無理やり練習すると、お箸が嫌になったり、変な癖がついて逆効果かも…。
あなたのお子さんは、いまどの段階ですか?かんたんにチェックしてみましょう!!
今回は、お箸の持ち方の発達にスポットライトを当てて、様々な論文をもとにお箸の持ち方と発達について紐解いていきます。お箸を練習する適切な時期や小児リハビリテーションでは、どのようなプログラムを考えるのか解説します。
こんな方におススメ!
✧٩(ˊωˋ*)و✧
・子どものお箸の持ち方が気になる
・持ち方を直したい
・どんな練習をしたらよいか知りたい
お箸の練習の注意ポイント
どのように進めたらよいのでしょうか、お箸を練習するときの注意ポイントは次の通りです。
・お箸への興味を持たせる
適切な時期になると、自然にお箸に興味を持つお子さんもしますし、遊びのなかで興味を持たせることもできます。
・とりあえず、持たせて使ってみる
もち方は気にせずに、まずはお箸を持たせて道具への興味を増やしていきます。
・しつけ箸は使わなくても良い
しつけ箸はうまく持てないお子さんにも持ちやすい工夫がされています。ですが、お箸の手の動きから見ると、普通のお箸とは少し違う動きがあります。まずは、普通の箸で練習しましょう。
・持ち方は、成長に合わせて指導する
もち方を気にする方も多いかと思いますが、手の成長に合わせて段階的に指導していきます。手の機能が整えば、持ち方も変化してきます。焦らず、叱らずに教えていきましょう。
・持ち方のクセは、動きを分解して練習する
手の発達がある程度成長した段階でクセがついている場合は、持ち方を分解して教えると直しやすくなります。
三男に指導してみました。
三男の持ち方を直してみました。
この写真をとった時点での年齢は11歳です。手の発達は問題なく成長しています。
練習前のお箸の持ち方です。きれいにX(クロス)していますね。
動かすほうの箸(遠箸)は、親指と人差し指をよこにスライドさせるようにして使っています。
逆に動かないほうの箸は、中指と薬指で支えています。
お箸の持ち方を分解します。
練習①はえんぴつの持ち方で箸を持ってもらいます。
親指、人差し指、中指でお箸を持ちます。
そのまま鉛筆を動かすように、指で上下に動かす練習をします。
どうして鉛筆なの?
理由は後の解説を見るとわかります。
練習②は、もう一つの箸を固定する練習です。
動かないほうの箸は、親指、人差し指の付け根(ずっと手のひらに近い部分)の部分、薬指を使って動かないように挟み込みます。
練習③は、分解した持ち方を合成します。
上手く持てないときは、練習①と②を繰り返し行います。
練習後は箸の持ち方が変化しました。
この状態で、箸を使うことができるようなりましたが、まだぎこちなさが残ります。
あとは日々の食事の中で気を付けながら使っていくことで、定着を図っていきます。
この写真の練習時間は15分程度です。
手の発達が順調であれば、短時間でクセを修正することが可能です
効果的にお箸の練習をするためには、発達を知る必要があります。
では、箸の発達について紐解いていきましょう。
標準的な箸の持ち方が決まるのは15歳以降
ここにとても興味深い報告があります。
箸の持ち方が標準型(いわゆる一般的な持ち方)にほぼ確立する時期は少なくとも15歳以降であることが示唆された。
この論文は、鉛筆の持ち方と箸の持ち方の関連について調査したものですが、その研究のなかで上記のようなことがわかりました。また、この論文のほかにも、似たような報告をする文献が存在します。
手の大きさ(中指先端から手首までの長さ)は 17 歳前後(短大 1 年生)で最大となり、箸での作業量もこの時期で最大となる。
こちらは手の大きさや手の発達から箸の持ち方が固定する時期を推測した報告です。
手の発達はおよそ17歳前後で固定し、ちょうどその時期に箸の作業量が最大に達することから、
箸の持ち方は、17歳ころに固定される。お箸の適切な練習をするのも、この時期まで!
と結論づけられています。
つまり、幼児や小学生の段階で、なかなかお箸が上手に使えなくても焦ることはありません。
それは、まだ体や脳が発達段階であるからこそ、上手に扱うことができないのです。
嫌がるお子さんに無理に練習を進めると、発達が整った段階でいざ練習をしようと思っても「嫌がって、お箸の練習ができない」ということを招きかねません。
もう一度、お子さんの手の動き、発達の程度を見てみてください。もしかしたら、まだお箸を上手に使えるのは、もう少し後かもしれませんよ。
「お箸」や「食事」が嫌にならないよう、お子さんの成長に合わせて練習を進めていくことがポイントです。
鉛筆の持ち方が発達した後に、箸の持ち方は発達する
鉛筆の持ち方と箸の持ち方の関連について
鉛筆の持ち方と箸の持ち方の関連について調査した論文には、次のようなことが報告されています。
小中学生の箸の持ち方は、鉛筆の持ち方よりも遅く発達する。
さらに、この報告と似たような報告をする論文があります。
同一の手指を用いる鉛筆と遠箸(開閉する動くほうの箸)の把持については、鉛筆の3指把持が先行して現れ、描画機能の発達に続いて遠箸の3指把持がみられるようになる傾向がある。
幼児期における箸の扱い方と鉛筆を用いて描画を行った際の手指の巧緻性の発達には関連があり、児の年齢の増加にしたがい鉛筆の持ち方の成熟、描画機能の向上がみられその後に箸の持ち方に発達変化が生じるという発達過程を経る可能性が示唆された。
この論文では、□(四角)の模写を用いて、鉛筆の持ち方や描画機能をとらえ、X箸(クロス箸)の持ち方の変化や時期を比較しています。X箸(クロス箸)はお子さんによくみられる持ち方の一つですが、このX箸の持ち方が変化し始める時期はおよそ4歳ころで、調査の対象児全員が「□模写」で通過と判定されていたとのことです。
冒頭の三男のお箸の練習で、鉛筆の持ち方や動きを練習したのは、これをもとにしています。
標準的な箸の持ち方ができるのは5歳前後
では、標準的な持ち方ができる年齢は何歳ごろでしょうか?
近箸(固定するほうの箸)と遠箸(動くほうの箸)の把持には関連があり、近箸の把持に環指が、遠箸の把持に中指が用いられ、
標準的な持ち方が可能となる時期は5歳前後であると考えられた。
□の模写と箸の持ち方の関係
これらの文献から次のようにまとめることができます。
・標準的な持ち方において、特に開閉する側の遠箸には、親指、人差し指、そして中指の3指が用いられる。
・4歳前後のころには□の模写ができるようになり、そのころから箸の持つ位置も変化する。
・描画機能の発達に続いて、遠箸の3指把持がみられるようになる
・標準的な持ち方が可能となる時期は5歳前後
このことを踏まえ、わたしは次のような事を考えました。
もしかすると、「□の模写」がひとつの指標になるかもしれません。
お箸を持つ手の機能は、鉛筆や描写を行う手の機能の後に訪れることが、いくつかの文献から示唆されています。そして、標準的な箸の持ち方ができるのが5歳前後ということをふまえると、□の模写でまず鉛筆や描写を行う手の機能を把握することは、次の箸を持つ手の機能を促す時期のひとつの指標となりうる可能性があります。
実際に箸が上手く持てない小学校低学年のお子さんに、□を書いてもらいました。
結果は、うまく書けませんでした。観察から次のようなことが見られました。
・□を書くとき、肩や肘を主に使っている。
・親指、人差し指、中指をつかって持っているが、静的である(指の細かい動きがない)
つまり、鉛筆の操作もまだ未熟であるため、箸を上手に扱うための手の発達が追いついていないということになります。
先の論文の報告をふまえますと、このお子さんには、お箸の練習よりも、さきに字を書くことや鉛筆の持ち方の発達を促していくことが先決と考えることができます。
じつは、このお子さんの最近のブームは
「字を書くこと」「鉛筆やペンで描くこと」
やはり、本能的に必要なことがわかっているのでしょうか。不思議…。
上手く持てないのは、発達の途中かも。
脳の発達という視点から考える
お箸と脳の発達については、こんな報告があります。
人の脳の神経伝達繊維は3歳まで完成しないこと、神経伝達のスピードは11歳ころで成人と同等になることが知られている。
これらを考慮すると、7歳児でも成人と同じ程度の動作を行うことは難しく、箸の操作に必要と思われる手や指の運動は難易度の高いスキルとされる。
つまり、お箸を持つための運動スキルと、その命令を伝える神経の伝達スピードは、11歳ころにならないと大人と同じようにはならないということです。
ですから、幼児や小学校低学年のお子さん、あるいはどの年齢と同等の発達レベルである場合、大人と同じように箸を扱うことは難易度が高いことと言えます。
運動の発達という視点
箸を運動の発達という視点からみるといくつか似たような論文が見つかりました。
幼児の年齢が高くなり、手指の微細運動機能が成熟することで、箸の操作も段階的に向上する可能性が示唆された。
幼児期の箸の操作に関連する手指の動きは、成人の動作と異なるものではあるが、これは手指の分離運動(手指をバラバラに動かすことができる)が未成熟であることが関与すると思われ、発達過程の一段階である可能性が示唆された。
ようするに、上手に箸が持てない幼児期は、当然ながら発達の過程であると捉える事ができます。
もう一度話を整理しましょう。
ここまでの論文の報告をまとめると、箸が上手に持てないのは、
手の発達の過程であり、発展の途中である
これは、幼児期に限ったことではなく、箸の持ち方が固定する15~17歳前後までは、変化させることができると推測できます。
運動の発達に遅れがあるお子さんの場合、実際の年齢で比較することはできません。あくまでも、運動や脳の発達年齢で見るべきです。
うまく箸が持てないと心配になってしまいますが、発達の年齢が上がってくることで、段階的に箸を上手に扱えるようになる可能性があります。
手の機能が整って箸が普通に持てる段階において、持ち方に変な癖がある場合は、持ち方を教えてあげるとよいでしょう。
ベースとなる手の発達を促そう
箸を持つためには、手指の発達を促していく、とくに鉛筆などの持ち方や操作の発達を促しながら、箸を持つための指先の動きを促していくのが良いと考えられます。
重要なのは、親指、人差し指、中指を上手に使うことです。
わたしならこんな感じでプログラムを考えます。
・お箸の練習は、手の動きが整うまで行わない。
ただし、お箸に興味を持っている場合は、好きに持たせて遊ばせる。
・お絵描き、文字などの書く遊びを積極的に行う。
紙に自由に書いてもらっても良いですし、下のようなおもちゃをつかって興味をもたせると効果的です。
・楽しみながら手の操作を学ぶ遊びを行う。
ブロックやアイロンビーズなど手先の細かい動きを促すことができます。ブロックなどが難しいお子さんは、シンプルにペットボトルにストローを入れる、玉を穴に入れるといった単純でわかりやすいおもちゃを選択します。
・お手伝いの推奨
お手伝いの中には、手を使うものがたくさんあります。たとえば、洗濯を干すときに洗濯ばさみを指を使って開く、お洗濯をたたむときに洋服をつまむ、スポンジをしっかり握って洗い物をする等。さらに手の動きだけでなく、家での役割もできてほめられるから、一石二鳥です。
これらのあそびを行って、手の発達が十分整ったところで、箸の練習を開始します。冒頭に紹介した注意ポイントに気を付けながら進めていきます。
それでも手先の発達が伸びないお子さんもいる
発達に遅れがあるお子さんの場合、成長の程度は個人差があります。現実的には、知的面や運動面が伸びにくいお子さんや箸が持てる程度の発達まで到達しないお子さんもいます。
そういった場合でも箸が使いたいとなれば、道具の工夫をするという手段が考えられます。
気を付けたいのが、いわゆるしつけ箸は、普通の箸の持ち方や手の運動が異なりますので、ご注意ください。
練習用のお箸というより、今持っている手の機能を上手に活かして、箸で食べることを実現させる道具です。
まとめ
手先の運動からさらに箸にスポットライトを当ててみました。
箸が上手に持てることもとても大事ですが、それにこだわりすぎてしまうと、もっと大事な「楽しくご飯を食べる」という根本が揺らいでしまいます。
箸が上手く扱えないのは、成長の途中であると思って、すこし長い目で子どもの成長をみてみましょう。機能が整ったところで練習すると、ぐんぐん上達しますよ!
また、発達の遅れによって箸がうまく扱えないとしても、今は性能の良い補助箸がたくさんあります。こういった道具を上手に利用して、一緒に楽しくご飯を食べることが、お子さんにとって一番良いのではないでしょうか。
引用文献
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・大岡貴史:幼児期における箸の操作方法および捕捉機能の発達変化について.小児歯科学雑誌44(5).713-719. 2006
・大岡貴史:幼児期における箸を用いた食べ方の発達過程-手指の微細運動発達と食物捕捉時の箸の動きについての縦断観察-.小児保健研究 第65巻 第4号. 569-576.2006
・大岡貴史:幼児期における箸を用いた食べ方の発達過程-箸を持つ手指運動の変化についての縦断観察-.小児保健研究 第66巻 第3号. 435-441.2007
・立屋敷かおる:小中学生における箸の持ち方と鉛筆の持ち方との関連.日本調理科学会誌38(4).355-361.2005
・上原正子:箸の持ち方・使い方の発達段階別の差異. 瀬木学園紀要 (8) 7. 7-15 .2014
・大岡貴史:箸の操作時の手指運動についての三次元的観察. 小児保健研究 第68巻 第4号. 446-453. 2009
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