こんな悩みがありますか?
対応方法は「情報の整理」がポイント!
多動や不注意といった特徴があるADHDのお子さんに対応するには次のような方法が考えられます。
・刺激の少ない環境をつくる
掲示物が無い、静か、物があまりない、ストレスが少ない
・与える情報の量を減らす、小分けにする
机の上にひとつひとつ出す、20問だったら5問ずつに小分け、してほしいことや物だけ出す
必要最低限の物品のみ机に出す、終わったものはしまう
・何かを伝えたいときは、子どもの近くで、注目をあつめる
軽いタッチ、あなたの手で子どもが見ているものをさえぎる、小声で声掛け
・見える化する
文字や写真の活用、情報を残せるようにして後でみかえせるようにしておく
では、ADHD特徴について、さらに詳しく見ていきましょう。
注意欠如多動症(attention-deficiency/hyperactivity disorder:ADHD)
ADHDは脳内の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンが不足したり、神経伝達の調節異常によって、注意力が落ちたりや衝動的で落ち着きのない行動といった症状があらわれるとされています。
・ノルアドレナリン
覚醒(脳が目覚めている状態)に関係するほか、感覚入力を調整したり、注意機能や記憶の働きに関係しているとされています。
・ドーパミン
ドーパミンは学習・記憶、注意、実行機能などの認知機能を調節することがしめされていて、特にワーキングメモリに関係が深いとされています。
よく見られる症状は以下の通りです。
・不注意
注意散漫だけでない、集中の度合いが強いと切り替えができない。ぼーっとする。無意識で行動する
・多動
そわそわ、もじもじ、走る、動く、離席
・衝動性
待てない、待たない、一番が好き
上記のような特徴がありますが、同じ診断名であっても、目に見える症状は多様で個人によって大きく異なります。
冒頭にあげた悩み事のように、「言うことを聞かない」「一斉指示が入らない」「集団で活動できない」「忘れ物が多い」「他人にちょっかいをだす」…。様々な訴えが聞かれます。
くわえて、場面や場所・ひとといった環境、本人の興味によっても行動は変わります。
おとなしいADHDもある!?
動き回るお子さん、いわゆる多動症状がADHDの代表例のように見られています。もちろん、そういったお子さんもいます。
しかし、「不注意が強い」お子さんは、注意をどこに向けているかわかりませんから、多動とは逆にぼーっとしてしまう、話を聞いていないというような状況が生まれてきます。
つまり、静かでおとなしいADHDのおこさんもいるんです!
これ、学校では「目立ちません」から、見過ごされてしまいます。
目立つお子さんは支援の手が入りやすいですが、おとなしめのお子さんは気づかれにくいため支援の手が入りにくくなります。
動き回るわけじゃないけど、ぼーっとしていることが多い、不注意が多い、忘れ物が毎回のように多いなど、すこしでも困っていると感じるならば相談することをおススメします。
ADHDは、脳の容量が問題となる
注意を向ける対象は、なにも現実世界の物ばかりではありません。頭の中で空想、妄想していることにも注意を振り分けます。
たとえば、こんなイメージはどうでしょう。
水晶玉の中にみえる桜が現実世界、そのまわりにぼやけた世界が空想の世界です。
現実世界は脳の中のごく一部にしか開かれていません。一方、あたまのなかでは空想の世界がひろがっているわけです。
脳のキャパシティというか、処理できる容量は決まっていると言われています。妄想や空想に、脳の容量を奪われると、現実世界の注意がどうしても落ちてしまいます。
これが、ぼーっとしている、話を聞いていないにつながっていると考えられます。また、目の前に学校にもっていく物があっても、それに注意が向いていなければ、忘れてしまいます。忘れ物の正体です。
注意のふり幅が大きいということが、ADHDの特徴だと私はとらえています。
極端な言い方すると、注意機能が0か100か。興味のあるものには、100いや時には200の注意機能を使うこともあるでしょう。過度な集中力です。
逆に、興味がないものは、まったく集中できずにすぐ飽きてしまいます。
自分の興味にピッタリはまるものがあると、非常に高い能力を発揮することができます。
先にお話しした対処方法が有効なのは、注意という脳の働きをじょうずにコントロールできるからです。どこに適切に注意を向ければわからないので、それを周囲の人がコントロールしてあげることで、生活しやすくなります。
ADHDのクスリ
ADHDにはお薬があります。代表的なお薬をあげてみましょう。
これらお薬は、ノルアドレナリンやドーパミンという脳の神経伝達物質の働きを増強する効果があります。
・コンサータ
メチルフェニデート製剤
・ストラテラ
アトモキセチン製剤
・インチュニブ
グアンファシン製剤
・ビバンセ
リスデキサンフェタミン製剤
副作用として、食欲減退、吐き気、嘔吐、腹痛などの症状があらわれる場合があります。特に食欲減退がみられる場合は、成長に必要なエネルギー量や栄養量がかたよらないように注意が必要です。
お薬は医師により適切な量が処方されます。
副作用の様子や、症状が改善したかどうかをみながら、量を調整していきます。
薬はけっして、こわいものではありません。きちんと用法を守って服用することと、医師ときちんと症状を相談しながらすすめていくことが重要です。
こまったら まずは相談してみましょう。
あなたが困っている事が自分では解決できなかったら、適切な支援をうけましょう。
こんなことで相談してよいの?と思っているあなた、いいんです。
それでも心配ならば、チェックリストを確認してみてください。
まとめ
ADHDは、多動や落ち着きがないという部分にスポットライトが当たりやすいですが、「注意」という脳の機能を考えると、そうでないお子さんもいます。
気がつかれず、忘れ物ばかりで本人もどうしてよいのかわからず困ってしまう。これが続くと、自分の価値観を下げてしまったり、ネガティブな気持ちになってしまい、結果的にこころにもダメージを負ってしまう可能性もあります。
なにか違うなと感じたら、まずはご相談を。
どうしても医療機関や相談サービスにいくことをためらうのであれば…
わたしたち(ゆー&moca)のユーチューブのライブにきてください!
チャンネルはこちらのボタンから➡
ライブはチャット機能がついています。ユーチューブのアカウントがあればコメントすることができます。匿名で構いませんので、なにか困っていることや聞いてみたいことがあれば、チャットでお話しましょう!!
引用文献
・河野政樹:発達障害コミュニケーション 初級指導者テキスト.一般社団法人日本医療福祉教育コミュニケーション協会.2016
・処方薬事典:ADHD 治療薬
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/drugdic/article/556e7e5c83815011bdcf827c.html
・脳科学辞典:ノルアドレナリン
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%8A%E3%83%AA%E3%83%B3
・脳科学辞典:ドーパミン
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%9F%E3%83%B3
コメント