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必要な情報を取り出して使う脳のはたらき。注意機能とその役割

子ども,注意機能,ADHD まずはここから!小児リハを学ぶ

 「注意」とはそもそもどんな意味でしょうか?

1.気をつけること。気をくばること。
 「細心の―を払う」
2.用心すること。警戒。
 「車に―する」

 検索すると、注意という言葉はこのような意味でつかわれています。

 ですが、医療の現場やリハビリテーションや療育の場面で「注意」というと、「注意機能という脳の働き」を意味します。

 リハビリテーションで使われる「注意」とは、あなたの周りにあるいろいろな情報から、必要な情報だけを取り出して使う脳の機能や仕組みのことです。注意が向けられた情報は、素早く脳に認識されることがわかっています。

 この注意機能の話は療育やリハビリテーションに携わるあたなにとって、特に重要な知識になるでしょう。

4つの注意機能

 注意機能は4つの要素で構成されています。その4つがこちらです。

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4つの注意機能

さらにこの4つの分類について、具体例を挙げて説明していきましょう。

「持続性」

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持続性注意

 集中力と考えるとわかりやすいと思います。
 
 いま、あなたはスマホあるいは、PCの画面をみていますね。画面に注意を向け続けているのです。テストでも勉強でも、何か物事にグーっと注意を向け続ける注意機能が持続です。

「選択性」

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選択性注意

 あなたにとって今必要としている感覚情報を選択して、注意を向けることです。
 たとえば、家の中で電話していたとしますね。家族の話声、テレビの音、洗濯機の音、いろいろな情報が耳から入ってきますが、その中で電話の声だけを聴き分けることができます。
 これが、情報を選択する選択性注意です。

「転換性,転動性」

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転換性注意

 たとえば、お皿を洗っているときに、子どもが話しかけてきました。あなたは、お皿を洗っている手をとめて、子どもの話に耳を傾けます。
 つまり、今やっていることから、違うことに注目を切り替えることが注意の転換です。

「配分性」

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配分性注意

 たとえば…電話しながら、お料理もするといったことができます。お料理の手は止めないけれども、電話の会話にも対応できます。
 同時進行でいくつもの事柄に注意を向けていなければなりません。それが、注意を振り分けるということです。

注意は人の認識をもコントロールする

 ときに注意機能は、脳の認識する力さえもコントロールします。こんな経験はありませんか?

「集中しすぎて周りの音さえ気がつかなかった」

 つまり、感覚の情報に注意を向ける、向けないによって、脳がその情報を受け取る、受け取らないということが生まれてきます。

もっと具体例を見ていきましょう。

虫メガネ越しに見る風景

 この虫メガネのなかにうつるヒマワリを見てください。
 するとどうでしょう、虫メガネのフレームは見えているけれども、気になりません。

 では、虫メガネのフレームに注目をうつしてみましょう。
 今度は、なかのヒマワリを気にしなくなりました。

 このようにどこに注意を向けるかによって、情報の強弱が生まれてきます。あるいは、情報そのものを脳が読み取らないということも起こりうるわけです。

テレビを見るとき気にしているのは?

 テレビを見ているときに、あなたは何に注目していますか?
 もちろん、テレビの中の映像に注目しています。その時、テレビのフレームや大きさには、さほど注目をしていません。
 今度は、家電量販店でテレビを買うときはどうでしょうか?画面のなかの映像よりも、テレビのフレームや形、大きさに注目するでしょう。

テレビをみるとき、買うときの差

 何に注意を向けるかによって、認識する情報がちがってくるわけです。

注意欠如多動症と注意機能の関係

 注意をどのように向けるかによって、脳が認識する感覚情報がちがってくることを説明しました。この注意機能のかたよりが強く出るのが、注意欠如多動症(ADHD)です。

 注意がかたよることによって、今自分にとって必要な感覚情報に注意を向けることができません。
たとえば、学校に提出する重要な書類が目の前にあったとします。目の前にあるので、目から感覚情報は脳に入っています。しかし、そこに注意をむけずほかのことに注意を向けていた場合、目からの感覚情報は脳の中で「無視」されてしまいます。
 つまり、見えているのに、見ていないと同じ状況が頭の中で起こります。

 その結果、目の前にある重要な書類を忘れてしまう。「忘れ物」につながってしまうのです。

注意によって脳の領域「感覚野」の活動が増強される

 注意によって、脳の感覚をつかさどる領域「感覚野」の活動が増強されることが、研究によって明らかになりました。そして、さらに興味深いことがわかりました。

右か左いずれかの視覚刺激に注意を向けたときに、それと同じ側に提示された触覚刺激に対する脳の応答が増強した。

 つまり、ある位置から提示される目からの刺激(視覚刺激)に注意を向けているにもかかわらず、触覚という別の感覚にも注意の効果が及んでいるということです。
 この現象は「クロスモーダルリンク」とよばれています。

 異なる感覚の間に、双方向のつながりが脳の中で存在している証拠として、近年研究が進んでいます。

まとめ

人間は、この注意機能を上手につかって、今自分にとって必要な情報を集めることで、効率よく行動できるようにしています。

子どもたちに話しかけても、話を聞いていない。さっき伝えたのにもう忘れている。コレ、もしかすると、あなたの声に注意が向いていない可能性があります。

 あなたの声は鼓膜は震わせることはできても、脳までは届いていないかもしれません。

 そういう時は、こどもの目の前に言って、子どもと目線を合わせて、しっかりと注目をあつめてください。そして、穏やかな声で「勉強しなさい。」って言ってあげてください。重要なのでもう一度言います。 あくまでも、近くで穏やかな声で、笑顔で…

「勉強しなさいっ。」

引用文献
・Sohlberg, M. M., Johnson, L., Paule, L., et al.:The Manual for Attention Process Training ─Ⅱ. A Program to Address Attentional Deficits for Persons with Mild Cognitive Dysfunction. AFNRD,Puyallup, 1993.
・豊倉 穣:注意障害の臨床.高次脳機能研究 第 28 巻第 3 号 pp320-pp328.2008
・「注意」という認知機能の脳内メカニズムを解明する 木田哲夫 助教 (2012年7月当時)https://www.waseda.jp/inst/wias/news/2012/07/11/2989/

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