感覚が鈍感で気づきにくい子ども、低登録の子どもに対して、感覚を使ってどのように支援したらよいのでしょうか?
今回は、感覚を効果的に使った遊びの支援を具体的に考えていきます。
遊びを『感覚』から支援する
聴覚の支援
感覚が鈍感な子どもに対する聴覚の支援は、さまざまな方法で子どもの感覚刺激を増やし、環境とのやり取りを促進することが重要です。
音を活用する
子どもが好きな音楽やリズムのある音楽を流すことで、興味を引き、音に反応する機会を増やします。リズムに合わせて手を叩く、踊るなどの活動も促すことができます。
音の出るおもちゃで遊ぶことも、効果的です。
音の違いを体験させる
さまざまな音の出る楽器(マラカス、太鼓、鈴など)を提供し、異なる音の違いを楽しませます。異なる音量やピッチを試し、音の変化に気づかせることができます。
自然音を取り入れる
鳥のさえずり、波の音、風の音などの自然音を録音したものを再生し、リラックスした雰囲気を作りながら、音に対する敏感さを育てます。外で自然音を聞くための散歩も良い方法です。
また、意外かもしれませんが、テレビや動画の音をつけておくのも良いでしょう。
オーディオブックや読み聞かせ
オーディオブックや読み聞かせを通じて、ストーリーに合わせた音や声の変化を楽しませます。これにより、言葉のリズムや音声の抑揚に対する注意を引き出します。
音の探検ゲーム
部屋の中でさまざまな音を鳴らし、どこから音が出ているのかを探すゲームを行います。これにより、子どもが音の位置や方向を認識する力を養います。
バイブレーションを利用する
音と連動したバイブレーションの出るおもちゃを使うことで、音の振動を体感させます。これにより、音の存在を感じやすくします。
視覚からの支援
光を活用する
カラフルなライトやプロジェクターを使って、部屋の壁や天井に動く光や色の模様を映し出します。これにより、子どもが視覚的に興味を持ち、視線を追う練習ができます。
視覚と動きを組み合わせた遊び
視覚的に目立つボールや風船を使って、キャッチボールやバルーン遊びをします。視覚的に追う対象を動かしながら、反射神経や視覚の認識を促します。
視覚的な絵本やパズル
大きくて色鮮やかなイラストが描かれた絵本や、視覚的に目立つピースが含まれたパズルを使用します。視覚的な認識力を高めるために、絵本の中のキャラクターや物の名前を一緒に読み上げることも有効です。
視覚的な手がかりを利用する
日常の活動において、視覚的な手がかりを多く取り入れます。例えば、トイレのドアに大きな絵やマークを貼ることで、子どもが遊びながら楽しく視覚的に認識しやすくします。
カラフルな道具を使った運動
色とりどりのフープやロープを使って、障害物コースを作ります。視覚的に目立つ道具を使うことで、子どもが視覚的に認識しながら運動することができます。
階段などの段差の縁に、色のついたテープなどで目立たせるのも方法の一つです。
固有受容覚・前庭覚の支援
バランスボールやハンモック、トランポリンを使った遊び
バランスボールや不安定なクッションの上に座ったり、立ったりする遊びを取り入れます。これにより、前庭覚を刺激し、バランスを取る力を養います。
ブランコやハンモックに乗ることで、前庭覚を刺激します。特に、揺れる動きや回転する動きは、バランス感覚を向上させるのに効果的です。
小さなトランポリンを使ってジャンプする遊びを取り入れます。跳ねる動きは前庭覚を刺激し、筋力と協調性を高めます。
動きや行動のパターンを改善するためには、大きな力を発揮する動きや、強い固有感覚が必要です。
障害物コース、サーキットの設定
家の中や庭に、登る、這う、くぐるなどの動作を取り入れた障害物コースを作成します。これにより、子どもの運動覚と空間認識を鍛えます。
好きなおもちゃや興味があるものを、高いところや低いところにおいて、登ったり下りたりする、あるいはハイハイで取りに行くなど、場面を設定する工夫も考えられます。
四つん這いでのバランス遊びなど、体幹を鍛える活動を取り入れます。体幹が安定することで、全体的な運動機能が向上します。
重さの使用
適度な重さのおもちゃや砂袋を詰めたリュックサックを背負って歩くことで、筋力を使いながら前庭覚と運動覚を鍛えます。
おもりを運ぶのを手伝ってもらったり、あるいは重さのあるおもちゃを選択して遊ぶことも、同じ効果を得ることができます。
子どもが重い毛布や大きなぬいぐるみに包まれることで、深い圧迫感覚を感じることができます。これにより、安心感を得ながら運動覚の感覚が促進されます。
転がる、スライド、シーソー遊び
子どもが床に横たわり、左右に転がる遊びをさせます。この動きは前庭覚を刺激し、体の空間認識を向上させます。
公園のスライドやシーソーを利用して、上下や前後の動きを体験させます。これにより、運動覚と前庭覚を強化します。
安全な環境を整える
感覚が鈍い子は、足元に何かあっても気がつきにくいことがあります。通り道には物を置かないようにしたり、出っ張っている柱や手すりの角には、ゴムやスポンジを張り付ける等の保護を行いましょう。
また、危険だと思われる場所には目立つようにシールを貼るなども効果的です。
触覚・嗅覚の支援
感触の異なる素材での遊び
異なる感触の素材(布、フェルト、紙、ゴムなど)を使った手作りの触覚ボードを作り、子どもが手で触って感覚を確かめられるようにします。例えば、ザラザラした紙やフワフワのフェルトなど、触るたびに違う感覚を体験させます。
おもちゃの持ち手などに異なる感触の物を用意したり、気づきを促すため凹凸のある物(デコボコボール、トゲトゲボールなど)を使用するのも効果的です。
また、様々な床面で遊ばせる方法もあります。
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砂や泥、粘土遊び
砂場や泥遊び、粘土遊びなど、手で触れると形が変わる素材を使った遊びを取り入れます。これにより、触覚の感度が高まり、触ることで感じる感覚を楽しめます。
ただし、汚れを過度に気にしたり、感触自体が苦手な子もいるので注意が必要です。
触覚を活用した宝探しゲーム
異なる質感の小さなおもちゃやオブジェクトを箱や袋の中に入れ、手だけで探し出す「宝探しゲーム」をします。これにより、触覚を使って形や質感を認識する力を養います。
さまざまな質感の布や衣類での遊び
絹、ウール、コットン、デニムなど、異なる質感の布や衣類を使って触れる遊びを行います。子どもが自分で触って心地よいと感じるものを見つけることで、触覚の感度が高まります。
香り付きのクレヨンや粘土を使った創作活動
香り付きのクレヨンや粘土を使って絵を描いたり、物を作ったりすることで、創作活動と嗅覚を結びつけます。香りと色や形の組み合わせを楽しむことができます。
リラックスした環境でアロマディフューザーを使い、ラベンダーや柑橘系などの自然な香りを取り入れます。香りに敏感になることで、嗅覚が刺激されます。
におい付きのウェットティッシュで、おもちゃを洗浄しても良いでしょう。
まとめ
これらの方法を通じて、感覚の感度を高め、子どもがさまざまな感覚刺激を楽しめるように支援することができます。
遊びの中で自然に取り入れることで、子どもの感覚発達を促進しましょう。
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