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どう支援する?感覚が敏感な子どもたちへの感覚からの支援(身辺処理偏)

感覚過敏の子どもの対応方法,実例,感覚統合 もっと知りたい小児の知識

 感覚が敏感な子どもたち、「感覚過敏」の子どもたちに対して、どのような支援をしてあげたらいいのでしょうか?

 今回は、「身支度、日常生活」の工夫や支援方法について、感覚という側面から紐解いていきたいと思います。

身辺処理、日常生活を感覚からサポートする

聴覚からの支援

ノイズキャンセリングヘッドホンやイヤーマフの利用

ノイズキャンセリングヘッドホンやイヤーマフの利用

 特に音に敏感な子どもには、ノイズキャンセリングヘッドホンやイヤーマフを使うことで、周囲の音を遮断しやすくなります。たとえば、身支度の時以外にも外出時に持ち歩くことで、予期せぬ大きな音や騒がしい環境でも安心して過ごすことができます。

環境音をコントロールする

 例えば、家庭で身支度をするとき、静かな環境が必要な場合は、ドアを閉めたり、カーペットを敷くことで音の反響を減らす工夫ができます。また、窓を閉めて外の騒音をシャットアウトすることも効果的です。
 支度をする部屋では、一定の音をシャットダウンするようにオーディオやテレビは消すようにしましょう。

 ただし、無音は逆にストレスになる可能性があります。ほかの部屋で音楽をつけて周囲の音はつけておく、あるいはあまり大きな音ではない程度に好きな音楽をかけておくことも有効です。

伝えること以外は静かにする

 身支度や生活動作を行うときに、いまから何をしようとしているのか、何をするのかを静かに話ます。そして、それ以外は、あまり話さないように静かに見守ります。

 大きな声で指示を出さずに、子どもの近くで小さな声を使って伝えることも、効果的です。

視覚からの支援

注目を一か所に集めるために、ひとつのおもちゃやポスターなどを用意するのも効果的

視覚的なルーチン表やスケジュールの導入

 子どもの日常の流れを視覚的に理解しやすくするために、イラストや写真を使ったルーチン表やスケジュールを作成します。例えば、朝の身支度の流れを「着替え」「顔を洗う」「歯を磨く」といったステップに分け、順番に確認できるようにすることで、視覚的な刺激を整理しやすくなります。

活動のエリアを限定する

 子どもが集中して着替えを行えるように、特定の作業エリア(例えば、床に一枚のカーペットを敷いた部分)を設定し、その場所では必要最低限の物しか置かないようにします。視覚的なエリアを明確にすることで、子どもは自分が何をすべきか理解しやすくなります。

視線の誘導

 子どもが着替えやその他の身支度をする際、重要なステップや次に行うべきことを示すために、視線を誘導するための矢印や目印を使います。例えば、洋服の順番を決めるために、クローゼット内に「1」「2」「3」と番号付きのシールを貼り、視線を自然に順番通りに動かせるようにすることができます。

 あるいは、注目を一か所に集めるために、ひとつのおもちゃやポスターなどを用意するのも効果的です。

 また、身支度の際は、親や支援者のほうをみるようにさせることや、衣装棚やクローゼットを整理整頓し、物が見つけやすいようにするのも重要です。活動に必要なもの以外の視覚的な刺激を減らすとともに、物を重ならないように置きましょう。

視覚刺激の段階的な減少

 子どもが新しい環境に慣れるのに時間がかかる場合、初めは多くの視覚刺激がある場所から始めて、徐々に刺激を減らしていく方法も有効です。たとえば、初めは好きなキャラクターのポスターを貼っておいて、次第にシンプルな絵に変えていくことで、視覚的な過負荷を防ぎます。

運動感覚、前庭覚からの支援

子どもが身支度を行う環境を調整し、できるだけ負担の少ない位置や高さに道具を配置します

体幹をサポートするアイテムの使用

 子どもが安定した姿勢で身支度をできるように、背もたれ付きの椅子やクッションを使って体幹をサポートします。たとえば、椅子に座って靴を履く際、足をしっかり床につけられる高さの椅子を使い、背もたれに寄りかかることで体が安定します。

 体を動かすこと自体が感覚の刺激になり、過敏の子どもに対しては感覚が入りすぎてしまうことがあります。従って、体幹をサポートしたうえで、できる限り同じ姿勢で動作を行えるように支援します。

作業環境の変更

 子どもが身支度を行う環境を調整し、できるだけ負担の少ない位置や高さに道具を配置します。例えば、洗面所の鏡やタオルの位置を調整し、子どもが自然な姿勢で手が届くようにすることで、体の動きをスムーズにします。

 洋服をいれる棚や学校用品などをいれる棚、ほかにもよく使う棚は手が届きやすい高さに設定しておきます。しゃがむ、あるいは手を高く上げるといった、余計な動作をさけることで、過剰な運動感覚が体に入ることを防ぐのです。

環境の一貫性を維持する

 毎日同じ手順で身支度を行うことに加えて、可能であれば同じ環境(場所や配置)で行うことも重要です。例えば、いつも同じ場所で靴を履く、同じ場所で着替えるといった一貫性を持たせることで、子どもが安心して動作を行えるようにします。

 また、作業時間や手順を細かく分けてあげると、一度にたくさんの感覚がはいることを防ぐことができます。

触覚からの支援

化学繊維などの生地が刺激になる場合は、例えばコットンのような自然素材の服を選択

シームレスな服を選ぶ

 子どもが縫い目やシームに敏感な場合、シームレスな服や縫い目の少ない服を選ぶことで、肌への刺激を減らすことができます。例えば、ソックスや下着をシームレスのものにすることで、違和感を感じにくくします。また、服のタグは、外しておくとよいでしょう。

感触が心地よい生地を選ぶ

 子どもが特定の感触を好む場合、その感触に合わせた生地を選びます。たとえば、フリースやベルベットなど、柔らかく滑らかな生地を使った服を選ぶと、着用時の心地よさが向上します。

 もし化学繊維などの生地が刺激になる場合は、例えばコットンのような自然素材の服を選択しましょう。

服の重ね着を調整する

 子どもが特定の感触に対して敏感な場合、服の重ね着を工夫して調整することが有効です。例えば、肌に直接触れるインナーを柔らかい素材で選び、その上に重ねる服を調整することで、触覚的な違和感を軽減します。
 下着はピッタリとしていますが、しかしながら「キツさ」を感じさせない伸縮性がある素材を選ぶのも効果的です。

フィット感に注意

 ゴムの締め付け感を調整したり、しっかりと体にフィットするようにサイズを選ぶことが重要です。また、靴下の口ゴムが柔らかいものや、靴が適切なサイズであることを確認し、締め付け感や違和感を減らします。

重みのある服やブランケット等を使う

 重さのある服を着たり、服以外にも、重みのあるブランケットやクッションを使って、触覚的な安心感を提供することができます。例えば、リラックスする時間に重いブランケットを掛けることで、触覚を刺激しながらも安心感を得られるようにします。

洗濯回数を増やす

 新しい服が硬いと感じる子どもの場合、服を複数回洗濯して柔らかくすることで、着用時の快適さを高めることができます。たとえば、服を購入後に何度か洗濯し、素材が柔らかくなってから着用させると良いでしょう。

特定の感触を事前に確認させる

 子どもが特定の服や生地に敏感な場合、事前にその服の感触を確認させることが有効です。例えば、新しい服を購入する前に、サンプルの生地を触らせたり、短時間だけ試着させたりすることで、子どもが安心して着られるか確認できます。

嗅覚からの支援

部屋にこもった香りや匂いを防ぐために、定期的に換気を行います。

無香料の製品を使用する

 子どもの身の回りで使う製品は、可能な限り無香料のものを選びます。例えば、洗剤や柔軟剤、シャンプー、石鹸、ローションなどを無香料タイプに切り替えることで、子どもが強い香りに悩まされることを防ぎます。

 部屋の芳香剤は無香料のもの、もしくはおかないようにしましょう。

 また、子どもの身支度が終わってから、親は香りの出るものをつかいましょう。(化粧品や整髪料などもふくみます)

換気を徹底する

 部屋にこもった香りや匂いを防ぐために、定期的に換気を行います。例えば、子どもの身支度を行う部屋は、毎朝窓を開けて新鮮な空気を入れ、香りが残らないようにします。特に調理や掃除の後は、強い匂いが残りやすいため、念入りな換気が必要です。

食品や飲み物の匂いを抑える

 食事の際や食材の準備時に、強い匂いのある食品や飲み物は避けるか、別の部屋で準備することが有効です。例えば、コーヒーや魚、にんにくなどの強い香りがするものは、子どもの近くで調理しないようにすることで、嗅覚過敏による不快感を軽減します。

空間をシンプルに保つ

 部屋のインテリアや家具などに匂いを吸収しやすい素材を避け、シンプルな環境を整えます。例えば、布製のカーテンやソファーカバーは匂いを吸収しやすいため、取り外し可能なカバーを頻繁に洗濯したり、無臭の素材を選ぶようにします。

香りの強い場所を避ける

 外出時には、香りが強い場所(香水売り場やカフェの焙煎コーナーなど)を避けるようにします。例えば、ショッピングモールの中で、強い香りが漂うエリアには立ち寄らないようにすることで、子どもが不快に感じることを防ぎます。

まとめ

 感覚に敏感な「感覚過敏」の子どもたちに対して、これら支援策を組み合わせることで、敏感な子どもが快適に過ごせる環境を整えることができます。

 特に集中して行いたい「身支度」を行うときは、余分な感覚で邪魔されないように環境を整えることが、大変効果があります。

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