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いつ話す?何を話す?子どもの言葉の育ちを年齢別に解説

目次
  1. 0〜1歳の言葉の発達の目安
  2. 1〜2歳の言葉の発達の目安
  3. 2〜3歳の言葉の発達の目安
  4. 3〜4歳の言葉の発達の目安
  5. 4〜5歳の言葉の発達の目安
  6. 5〜6歳の言葉の発達の目安
  7. 6歳以降の言語発達(学齢期)
  8. 【まとめ】言葉の発達は「伝え合い」の土台となる一生の力
もっと知りたい小児の知識

「ママ、だいすき」
ある日、そんな言葉をはじめて口にした我が子に、思わず涙がこぼれた——。
言葉の発達は、親子にとって日々の小さな感動の積み重ねです。

けれども同時に、「うちの子、まだあまり話さないけど大丈夫かな?」「周りの子と比べて、言葉が少ない気がする」と不安を感じる保護者の声も少なくありません。

実は、言葉の発達には「個人差」がある一方で、「年齢ごとにみられる典型的な発達の段階」も科学的に知られています。脳の成長と環境との相互作用の中で、子どもたちは「音」から「ことば」へ、そして「会話」や「思考」へと、少しずつ階段をのぼっていくのです。

本記事では、これまでの語彙発達や言語発達に関する解説を土台に、「年齢別にみた言葉の発達の目安」を、医学的・科学的な根拠に基づいてわかりやすくご紹介します。
言葉の発達を見守るヒントとして、また、気になるときの早期支援の目安として、ぜひお役立てください。

  1. 0〜1歳の言葉の発達の目安
    1. この時期に見られる主な発達のステップ:
    2. ● 喃語(ばぶばぶ期)は「練習」ではない、脳の準備
    3. 名前に反応する=言葉の「意味」が生まれはじめる
    4. 初語(first word)はいつ? どんな言葉?
    5. 科学的視点:なぜ個人差があるのか?
    6. この時期にできること:言葉の土台を育てる関わり方
  2. 1〜2歳の言葉の発達の目安
    1. この時期に見られる主な発達のステップ:
    2. 語彙の急増(語彙爆発)とは?
    3. なぜ語彙が急に増えるのか?
    4. 二語文の出現は「文法のはじまり」
    5. 個人差と注意すべきサイン
    6. この時期にできる言葉の支援
  3. 2〜3歳の言葉の発達の目安
    1. この時期に見られる主な発達のステップ:
    2. 主語+述語の文:文の「かたち」が整い始める
    3. 「なに?」「どこ?」──質問が増えるのは、思考の発達のあらわれ
    4. 簡単な会話が成り立つように
    5. 科学的視点:文法の獲得と脳の発達
    6. 個人差と注意すべきポイント
    7. この時期にできる言葉の支援
  4. 3〜4歳の言葉の発達の目安
    1. この時期に見られる主な発達のステップ:
    2. 助詞が使えるようになる=「関係性」を理解する力の発達
    3. 動詞の活用:過去形・否定形・丁寧形への展開
    4. 複文が出てくる:「だから」「けど」などの接続詞の使用
    5. 会話としての完成度が高まる時期
    6. 科学的視点:文法構造と脳の発達の関連
    7. 注意したいサインと個人差
    8. この時期にできる関わり方・支援方法
  5. 4〜5歳の言葉の発達の目安
    1. この時期に見られる主な発達のステップ:
    2. 「おはなし」ができるようになる:物語構成力の芽生え
    3. 論理的な説明ができるようになる
    4. 発音の完成度が高まり、大人に通じやすくなる
    5. 科学的視点:言語運用力と脳の発達
    6. 個人差と注意すべきサイン
    7. この時期にできる言葉の支援・関わり方
  6. 5〜6歳の言葉の発達の目安
    1. この時期に見られる主な発達のステップ:
    2. 語彙と文法の完成:正確で豊かな表現が可能に
    3. 比喩・冗談・言葉遊び:言葉に「裏の意味」があることの理解
    4. 学習言語への移行:論理的・抽象的な言葉を使い始める
    5. 科学的視点:抽象言語と脳の機能的結合
    6. 注意すべきサインと専門的支援の目安
    7. この時期にできる言葉の支援・関わり方
  7. 6歳以降の言語発達(学齢期)
    1. この時期に見られる主な発達のステップ:
    2. 「生活言語」から「学習言語」へ完全にシフト
    3. 語彙の拡大とカテゴリー的理解の深化
    4. 読む・書くスキルとの連携:リテラシーの確立
    5. 比喩やことわざ、抽象概念の理解の発達
    6. 論理的思考と話し言葉・書き言葉の融合
    7. 注意すべきサインと学齢期の言語発達障害
    8. 支援と関わり方のポイント
  8. 【まとめ】言葉の発達は「伝え合い」の土台となる一生の力
    1. ■ 言葉を育てる関わりのヒント

0〜1歳の言葉の発達の目安

──「音」から「意味」へと向かう、言葉の土台づくりの時期

この時期に見られる主な発達のステップ:

月齢発達の例
生後0〜2か月泣くことで基本的なニーズ(空腹、不快など)を伝える
生後2〜4か月クーイング(「あー」「うー」など喉の声)
生後4〜6か月喃語の始まり(「ばばば」「だだだ」など)
生後6〜9か月喃語の発達、音のパターンが豊かに、やりとりの始まり
生後9〜12か月名前への反応、意味の理解、初語(最初の意味のある言葉)の出現

● 喃語(ばぶばぶ期)は「練習」ではない、脳の準備

喃語(babbling)は、意味を持たない音の連なりですが、単なる「遊び」ではなく、言語発達の神経ネットワークが整ってきた証とされています。
MRI研究では、喃語が始まる時期に、言語関連領域(特にブローカ野ウェルニッケ野)と聴覚野の間での接続性が強まることが確認されています(Gervain & Mehler, 2010)。

また、喃語の発達は「口・舌・声帯をどう動かすか」の運動学習でもあり、発音の準備段階でもあります。このころから、母語の音の特徴が反映された喃語が出るようになります(Kuhl et al., 1997)。たとえば日本語の赤ちゃんは、英語圏の赤ちゃんと比べて「ん」「お」など日本語に特有の音を多く含む傾向が出てきます。


名前に反応する=言葉の「意味」が生まれはじめる

生後6〜9か月頃になると、音の認識だけでなく「意味を持つ音」を識別する力が育ってきます。その最初の例が「自分の名前」への反応です。

研究では、9か月前後になると、乳児が自分の名前とそれ以外の言葉を区別できることが示されています(Mandel et al., 1995)。これは、言葉の音の連なりを単なる音列としてではなく、「誰かが自分に呼びかけている」という社会的な意味を理解していることを意味します。


初語(first word)はいつ? どんな言葉?

生後10〜12か月ごろに、「ママ」「ワンワン」「ブーブー」など、意味のある言葉を自発的に発するようになることがあります。これが「初語」と呼ばれるものです。

初語の出現には個人差がありますが、平均的には12か月ごろが世界的な目安とされています(Rescorla, 1989)。初語には以下のような傾向があります:

  • 日常的にくり返し聞いている言葉(ママ、パパ、ワンワン)
  • 強い関心や欲求が関わる言葉(ミルク、抱っこ、バイバイ)
  • 音の構造が簡単で模倣しやすい(同じ音のくり返しなど)

これらは、子どもが音と意味をつなげる力、そして相手と「やりとり」する力が育ってきた証でもあります。


科学的視点:なぜ個人差があるのか?

言葉の発達にはさまざまな要因が影響します。例えば:

  • 聴覚の発達:音が適切に聞こえるか(軽度難聴でも影響することあり)
  • 社会的環境:語りかけの量・質、親の反応性(Hart & Risley, 1995)
  • 神経発達の特性:ASDや言語発達症(DLD)などによる影響
  • 生理的特性:早産、低出生体重児は言語の発達がやや遅れる傾向がある

したがって、「○歳で○語出ていない=異常」とは必ずしも言えませんが、全く発語がない、呼びかけに反応しない、やりとりの芽が見られないといった場合は、専門家による評価を受けることが勧められます。


この時期にできること:言葉の土台を育てる関わり方

  • 積極的に話しかける(実況中継のように:例「今おむつ替えてるよー」)
  • 表情やジェスチャーで応答する
  • 「まねっこ遊び」や音遊びをたくさんする
  • 絵本の読み聞かせをはじめる(視覚・聴覚・意味がリンクする)

この時期の言葉の発達は、「会話」よりも「関係性」の中で育まれます。赤ちゃんの声やしぐさに、どれだけ応答的に関われるかが、何よりの言葉の土台になります。


参考文献
Kuhl, P. K., et al. (1997). “Cross-language analysis of phonetic units in language input to infants: Native and non-native mothers.” Journal of Phonetics
Mandel, D. R., Jusczyk, P. W., & Pisoni, D. B. (1995). “Infants’ recognition of the sound patterns of their own names.” Psychological Science
Gervain, J., & Mehler, J. (2010). “Speech perception and language acquisition in the first year of life.” Annual Review of Psychology
Rescorla, L. (1989). “The Language Development Survey: A screening tool for delayed language in toddlers.” Journal of Speech and Hearing Disorders
Hart, B., & Risley, T. R. (1995). Meaningful Differences in the Everyday Experience of Young American Children

1〜2歳の言葉の発達の目安

──「意味のある言葉」が爆発的に増える時期


この時期に見られる主な発達のステップ:

月齢発達の例
12〜15か月身近な単語を10〜20語程度使い始める(ママ、ブーブー、まんま など)
15〜18か月単語の理解と言語模倣が増える、指差し+一語で欲求表現(例:「あ!」と指をさす)
18〜24か月語彙爆発(vocabulary spurt):1日に数語ずつ増えるように
24か月頃二語文(例:「ママ きた」「ブーブー ない」)が出現し始める

語彙の急増(語彙爆発)とは?

語彙爆発(vocabulary spurt)とは、1歳半ごろから見られる、子どもの語彙数の急激な増加を指す現象です。多くの子どもがこの時期に50語から200語以上の語彙を習得するようになります(Bates et al., 1994)。この変化は、「意味」と「音」を結びつける認知の発達、そして人とのやりとりの経験が土台となって起こります。

言葉を覚えるペースには個人差があるものの、多くの研究では18か月で約50語、24か月で200〜300語程度が平均的な目安とされています(Fenson et al., 1994)。


なぜ語彙が急に増えるのか?

この時期の語彙増加の背景には、脳の発達があります。特に以下の変化が注目されています:

  • カテゴリー化能力の発達:物の名前を分類・一般化できる(例:すべての車を「ブーブー」と呼ぶ)
  • 語とモノの対応づけ(fast mapping):わずか1〜2回の聞き取りでも新しい語を覚える能力(Carey & Bartlett, 1978)
  • 社会的参照(social referencing):大人の視線や指差しに注意を向け、それに合わせて言葉を学ぶ

また、言葉を「音」として真似るだけでなく、「意味ある道具」として使う力が育ってくるため、言葉が感情表現や要求、情報共有の手段として活用され始めます。


二語文の出現は「文法のはじまり」

2歳ごろになると、「ママ きた」「パン ちょうだい」など、単語を2つつなげて話す二語文が出始めます。これは言語学的に、子どもが「語と語の関係」を理解し始めたサインであり、初歩的な文法的構造の出現です。

たとえば:

  • 主語+動詞:「ぼく ねる」
  • 所有の表現:「ママ くるま」
  • 否定の表現:「パン ない」

この二語文は、単に言葉を2つ並べているだけに見えても、**子どもなりの文法規則(telegraphic speech)**に基づいており、脳の言語中枢(特にブローカ野と前頭前野)の統合機能が働いているとされています。


個人差と注意すべきサイン

言葉の出始めや語彙の増え方にはかなりの個人差があります。
とはいえ、以下のような兆候がある場合は、専門家への相談が推奨されます

  • 18か月時点で発語がほとんどない
  • 名前を呼んでも反応しない、アイコンタクトが少ない
  • 二語文が2歳半以降も見られない
  • 親の言うことが伝わっていない印象が続く

これらは、言語発達症(DLD)自閉スペクトラム症(ASD)聴覚障害などの可能性も含めた評価が必要となることがあります。


この時期にできる言葉の支援

  • 子どもの発語をすぐに「言い直す」のでなく、正しい言葉で言い換えて返す(例:「まんま!」→「そうだね、ごはん食べたいんだね」)
  • 指差し+言葉でやりとりする時間をたくさんつくる
  • 生活の中で「実況中継」するように話す(例:「今お靴はいてるよ」)
  • 子どもが発した言葉をすぐに応答して拾う(「共感語り」)
  • 絵本の読み聞かせの際、語りかけと対話を交えながら読む

特に、言葉のやりとりが楽しい体験になることが、語彙の定着と発話の動機づけにつながります。


参考文献
Bates, E., et al. (1994). Developmental and neuropsychological perspectives on early language development.
Fenson, L., et al. (1994). Variability in early communicative development. Monographs of the Society for Research in Child Development
Carey, S., & Bartlett, E. (1978). “Acquiring a single new word.” Papers and Reports on Child Language Development
Tomasello, M. (2003). Constructing a Language: A Usage-Based Theory of Language Acquisition
Rowe, M. L. (2012). “A longitudinal investigation of the role of quantity and quality of child-directed speech in vocabulary development.” Child Development

2〜3歳の言葉の発達の目安

──「ことばで考え、やりとりする力」が芽生える時期


この時期に見られる主な発達のステップ:

月齢発達の例
24〜30か月単語の組み合わせが3語以上に、主語+述語の文が増える
30〜36か月質問が活発に(「なに?」「どこ?」など)、簡単な会話のキャッチボールが可能に
36か月文法的構造(助詞や時制など)が自然に使われ始め、話し言葉が「会話らしく」なる

主語+述語の文:文の「かたち」が整い始める

2歳を過ぎると、「ママ くる」「ぼく ねる」「アンパンマン いた」など、主語と述語の基本構文を使うようになります。これにより、相手に「何が」「どうする(した)」かを正確に伝える力が育ち始めます。

これは単に単語数が増えるだけではなく、統語構造(syntax)=文のしくみが脳内で形成されてきた証です。前頭前野の発達が進み、文法ルールの自動化が始まっている段階だと考えられています(Friederici, 2006)。

また、日本語ではこの頃から**助詞(「が」「を」「に」など)**の使用が始まることもありますが、不完全なことも多く、「ぼく バナナ たべる」→「ぼくが バナナを たべる」へと自然に発達していきます。


「なに?」「どこ?」──質問が増えるのは、思考の発達のあらわれ

2歳半ごろから、「これなに?」「どこいった?」「だれの?」といった疑問詞を使った質問が急増します。この現象は、言葉だけでなく、認知能力(思考・記憶・想像)の発達と深く関係しています。

質問は、「わからないことを知ろうとする力」の現れであり、子どもが世界を言葉で理解しようとしているサインです(Chouinard, 2007)。特に「なに?」「どこ?」は空間的・概念的な整理が始まった証であり、対人コミュニケーションの意欲とも関係します。

この時期の質問攻めに根気よく付き合うことは、語彙や表現力の発達にとても効果的です。


簡単な会話が成り立つように

3歳近くになると、子どもは**相手の言葉に応じて、自分の言葉を返す力(応答性)**がぐんと高まります。

例:
大人「今日はなにして遊んだの?」
子ども「すべりだいした!」
大人「たのしかった?」
子ども「うん、たのしかった!」

このようなやりとりは、「相手の発言を聞く → 理解する → 自分の返事を考えて話す」という一連のプロセスで成り立っています。**社会的認知能力(社会脳)**の成熟が進み、**視点の共有(joint attention)**も安定してきたことを示しています。


科学的視点:文法の獲得と脳の発達

この時期の言語発達には、左側頭葉の**ウェルニッケ野(言葉の理解)と、左前頭葉のブローカ野(言葉の生成)**の連携がより密接になることが関与しています。

特に、構文の理解に必要な**前頭前野(dorsolateral prefrontal cortex)**の発達は、3歳以降にかけて加速するとされており(Skeide & Friederici, 2016)、この時期の「語順」「助詞」「活用」などの理解に影響します。

また、周囲の大人との「自然な会話」が、これらの神経ネットワークの発達を促すという研究結果もあります(Romeo et al., 2018)。


個人差と注意すべきポイント

3歳ごろには、話し言葉で簡単なやりとりができるようになるのが一般的ですが、以下のような特徴がみられる場合は、専門機関での相談が推奨されます

  • 二語文がほとんど出ないまま3歳を迎える
  • 質問への応答や相互的なやりとりが極端に乏しい
  • 「ママ くる」「パン たべる」などの語順が崩れている
  • 話し言葉よりもジェスチャーや泣くことで意思表示することが多い

これらは、**言語発達症(DLD)自閉スペクトラム症(ASD)**の初期徴候のひとつである可能性もあります。ただし、言葉の発達には個人差も大きいため、気になる場合は医師・言語聴覚士などの専門家に相談してみるとよいでしょう。


この時期にできる言葉の支援

  • 子どもの話を途中で遮らず、最後まで聴いてあげる
  • 「オウム返し」+αで返す(例:「バス のった」→「そっか、バスに乗ったんだね!どこに行ったの?」)
  • 子どもの質問には、丁寧に返しながら、言葉を補ってあげる
  • 絵本を一方的に読むのではなく、会話を楽しむように読む
  • ごっこ遊びやおままごとなど、言葉を使う遊びをたくさん取り入れる

「ちゃんと話させる」よりも、「一緒に話す時間を増やす」ことが、言葉の力を伸ばす近道です。


参考文献
Friederici, A. D. (2006). “The neural basis of language development and its impairment.” Neuron
Chouinard, M. M. (2007). “Children’s questions: A mechanism for cognitive development.” Monographs of the Society for Research in Child Development
Skeide, M. A., & Friederici, A. D. (2016). “The ontogeny of the cortical language network.” Nature Reviews Neuroscience
Romeo, R. R., et al. (2018). “Language exposure relates to structural neural connectivity in childhood.” Journal of Neuroscience
Tomasello, M. (2003). Constructing a Language

3〜4歳の言葉の発達の目安

──文のしくみが整い、より豊かな表現ができるようになる時期


この時期に見られる主な発達のステップ:

年齢発達の例
3歳助詞(「が」「を」「に」「で」など)を使って文章を組み立てる
3歳半ごろ動詞の活用(過去形「〜た」、否定形「〜ない」など)を使い始める
4歳前後文法的に正しい文を使う割合が高まり、複文(接続詞「だから」「でも」など)も出現

助詞が使えるようになる=「関係性」を理解する力の発達

日本語は助詞によって「主語」「目的語」「場所」「手段」などを明示します。たとえば:

  • 「ぼく パン こうえん たべた」

このように助詞を使うことで、誰が、何を、どこで、どうしたのかがはっきり伝えられるようになります。3〜4歳になると、こうした助詞の役割を少しずつ理解し、使えるようになります。

この発達の背景には、文法処理に関わる脳の神経回路の成熟があります。特に、**左側頭葉の後部(ウェルニッケ野)と左前頭葉のブローカ野をつなぐ白質経路(弓状束:arcuate fasciculus)**の発達が大きく影響するとされています(Skeide & Friederici, 2016)。


動詞の活用:過去形・否定形・丁寧形への展開

この時期の子どもは、「〜た(過去)」「〜ない(否定)」「〜ました(丁寧)」といった動詞の活用を使い始めます。これは、時間の流れ事実と非事実の区別を言葉で表現できるようになったことを示しています。

例:

  • 「きょう えほん よんだ」
  • 「バナナ たべなかった
  • 「おねえちゃんが かいもの いきました

これは、**時制(tense)や法(modality)**の理解が始まっているサインであり、**前頭前野(特に内側前頭前野:medial PFC)**の発達と関連づけられています(de Villiers & de Villiers, 2000)。


複文が出てくる:「だから」「けど」などの接続詞の使用

4歳前後になると、**複文(2つ以上の文をつなげた構文)**が見られるようになります。たとえば:

  • 「おなかすいたから ごはんたべた」
  • 「いきたかったけど ねむくなった」

これにより、子どもの話がより論理的・感情的に豊かになっていきます。接続詞の使用は、因果関係・対比・条件などの概念理解が言語化されてきたことを示しており、思考と言語の結びつきが深まっている証でもあります(Tomasello, 2003)。


会話としての完成度が高まる時期

この時期になると、以下のような力が育ってきます:

  • 相手の質問に文で答える
  • 自分の経験を時系列で語る(例:「きのう おばあちゃんち いったよ。ケーキ たべた」)
  • 過去・現在・未来を区別して話す
  • 感情を言葉で表現する(「うれしかった」「かなしかった」)

会話は、単なる言葉のやりとりではなく、記憶、感情、注意、推論など複数の認知機能が統合されて成り立っています。この時期は、それらを総合的に使って**「意味のある会話」ができるようになる**転換点です。


科学的視点:文法構造と脳の発達の関連

複雑な文法処理には、左側頭葉と前頭葉の間のネットワークが重要であり、特に**弓状束(arcuate fasciculus)**の成熟が文法処理能力と強く関連するとされています(Brauer et al., 2013)。

また、3〜4歳は**心の理論(Theory of Mind)**の基礎も形成される時期であり、他者の意図や視点を言葉で説明する力も育ち始めます(Wellman et al., 2001)。これが、会話の自然さや協調性を高めていく背景にもなっています。


注意したいサインと個人差

以下のような特徴が見られる場合は、**言語発達症(DLD)自閉スペクトラム症(ASD)**などの可能性も考え、専門機関での評価を検討するとよいでしょう。

  • 助詞がほとんど使われない(「わたし りんご たべる」→「わたしが りんごを たべる」が見られない)
  • 時制の誤用や混乱が強く残る
  • 「なぜ?」「どうして?」といった問いかけが極端に少ない
  • 会話のやりとりが一方的(話し続ける/黙ってしまう)
  • 語順が不自然(例:「クッキー 食べたい 私が」)

ただし、言葉の発達には個人差があります。エラーをしながら文法を獲得していく過程が大切ですので、「間違いがある=遅れている」とは限りません。


この時期にできる関わり方・支援方法

  • 会話を「正す」よりも、「自然に言い換えて返す」(例:「ぼく いったよ」→「そっか、ぼくが行ったんだね!」)
  • 絵本の中で「どうして◯◯したと思う?」など思考を促す問いかけ
  • 「なぜ?」「どうして?」という子どもの質問に丁寧に返す
  • お絵描きやごっこ遊びで、「説明する」「物語る」場面を増やす
  • 子どもの話に共感しながら広げる(例:「おばけ こわかった」→「そっか、暗くてちょっとドキドキしたんだね」)

参考文献
Skeide, M. A., & Friederici, A. D. (2016). “The ontogeny of the cortical language network.” Nature Reviews Neuroscience
Brauer, J., Anwander, A., & Friederici, A. D. (2013). “Neuroanatomical prerequisites for language functions in the maturing brain.” Cerebral Cortex
de Villiers, J. G., & de Villiers, P. A. (2000). “Language and theory of mind: What are the developmental relationships?” Journal of Child Psychology and Psychiatry
Tomasello, M. (2003). Constructing a Language: A Usage-Based Theory of Language Acquisition
Wellman, H. M., Cross, D., & Watson, J. (2001). “Meta-analysis of theory-of-mind development.” Child Development

4〜5歳の言葉の発達の目安

──「話す力」が「伝える力」へと進化する時期


この時期に見られる主な発達のステップ:

年齢発達の例
4歳日常的な出来事を時系列で話せる/多くの発音が明瞭になる
4歳半〜5歳「だから」「それで」「でも」などを使って物語を構成できる
5歳論理的に説明する力が発達し、他人にわかりやすく話すことができる

「おはなし」ができるようになる:物語構成力の芽生え

この時期になると、子どもは単に出来事を並べるだけでなく、「起承転結」や「原因と結果」を意識して話す力が育ってきます。

例)
「きのう おともだちと こうえんで すべりだいしたの。そしたら、ころんじゃって ちょっといたかったけど、ママが ばんそうこう はってくれたの」

このような物語構成には、以下の力が必要です:

  • 時系列の理解(「なにが先に起こったか」)
  • 因果関係の把握(「なぜそうなったか」)
  • 感情の表現(「どんな気持ちだったか」)
  • 視点の切り替え(聞き手が理解できるように話す)

これらは、前頭前野(前頭極)や側頭葉、頭頂葉を含む広範囲の脳のネットワークの統合によって可能になります(Berman & Slobin, 1994)。


論理的な説明ができるようになる

4〜5歳の子どもは、「なぜそれを選んだか」「どうして怒ったのか」など、理由づけをともなった説明が少しずつできるようになります。

例:
「ぼく、あかいくつがいい。あっちのは きついから
「おもちゃ かしてあげたよ。わたしが さきに つかってたから

こうした「理由のことば」の出現は、内的な思考や意図を言葉で伝える力が育ってきた証拠です(de Villiers, 2005)。また、**心の理論(Theory of Mind)**の発達が進み、相手の視点に立った話し方ができるようになっていきます。


発音の完成度が高まり、大人に通じやすくなる

5歳前後になると、多くの子どもが母語の音韻(おんいん)体系をほぼ習得し、会話中の発音が大人にも理解しやすくなります。

日本語では、3〜4歳までに多くの音が出るようになりますが、**さ行・ら行・が行・ざ行・拗音(きゃ・しゅ等)**などは発達が遅れやすく、4〜5歳で安定してくることが多いです。

例:

  • 「かっこいい」→「かっこいい」◎(“っ”の発音)
  • 「りす」→「りちゅ」→「りす」◎
  • 「ぎゅうにゅう」→「ゆうにゅう」→「ぎゅうにゅう」◎

発音の発達には、聴覚的弁別(音の違いを聞き分ける力)や口唇・舌・呼吸などの協調運動能力が深く関係しています(Shriberg, 1993)。


科学的視点:言語運用力と脳の発達

この時期の言語発達は、単語や文法の習得という「形式面」から、**文脈に応じた使い方(語用論的スキル)**へと移行していきます。これは、

  • 頭頂葉と前頭前野の連携(注意・記憶・計画の制御)
  • 側頭葉(意味処理)と前頭葉(構文処理)のネットワークの成熟
  • 視覚的エピソード記憶と話す力の統合(物語構成)

といった神経発達と密接に関連しています(Dick & Tremblay, 2012)。

また、「語彙・文法の習得」よりも、「話す力(ナラティブスキル)」のほうが、学齢期以降の読解力や作文能力に強く影響することがわかっており(Griffin et al., 2004)、この時期の言語経験が将来の学習にも大きく関係します。


個人差と注意すべきサイン

4〜5歳では個人差が広がりますが、次のような傾向がある場合は専門家の評価を検討しましょう。

  • 会話の中で助詞や語順の誤りが頻繁にある
  • 話が飛びがちで、聞き手が理解しにくい
  • 質問に対して的外れな答えが多い
  • 発音が不明瞭で、他人に伝わりにくい
  • 感情や経験を言葉で表すことが難しい

こうした場合は、言語発達症(DLD)や構音障害社会的コミュニケーション障害などの可能性も含め、言語聴覚士(ST)や発達専門医による評価が有用です。


この時期にできる言葉の支援・関わり方

  • 子どもが話したことに共感+広げる返しをする(例:「それでどうなったの?」「うれしかったんだね!」)
  • 絵本の「読み聞かせ」から「おはなしの共有」へ(例:「これはどんな話だった?」「ほかにはどうなるかな?」)
  • ごっこ遊びやロールプレイで、物語や説明の力を育てる
  • 過去の出来事を一緒にふり返る習慣を持つ(例:「きのう何が楽しかった?」)
  • 子どもの発音が気になるときは、無理に直さずモデルとして正しく返す

参考文献
Berman, R. A., & Slobin, D. I. (1994). Relating Events in Narrative: A Crosslinguistic Developmental Study
Shriberg, L. D. (1993). “Four new speech and prosody-voice measures for genetics research and other studies in developmental phonological disorders.” Journal of Speech and Hearing Research
Griffin, T. M., Hemphill, L., Camp, L., & Wolf, D. (2004). “Oral discourse in the preschool years and later literacy skills.” First Language
Dick, A. S., & Tremblay, P. (2012). “Beyond the arcuate fasciculus: consensus and controversy in the connectional anatomy of language.” Brain
de Villiers, J. G. (2005). “Can language acquisition give children a point of view?” Children’s Early Understanding of Mind

5〜6歳の言葉の発達の目安

──「生活言語」から「学習言語」へ、思考と言語の結びつきが飛躍する時期


この時期に見られる主な発達のステップ:

年齢発達の例
5歳語彙数が数千語に、文法構造もほぼ完成
5歳半〜6歳比喩、冗談、言葉遊びなどの「非字義的な言語」の理解
6歳ごろ学習言語(論理的、抽象的な表現)への移行が始まる

語彙と文法の完成:正確で豊かな表現が可能に

5〜6歳になると、子どもは日常生活に必要な基本語彙をほぼ習得し、文法的に自然な言い回しができるようになります。文の構造は主語・述語・目的語に加え、修飾語や接続詞を自在に使いこなすようになります。

例:

  • 「昨日は公園に行ったけど、雨が降ってきたから帰ったの」
  • 「これは弟のだから、使っちゃだめって言われたの」

このように複雑な構文を使うことが可能になる背景には、左前頭葉(ブローカ野)と左側頭葉(ウェルニッケ野)を結ぶネットワークの成熟があります(Brauer et al., 2013)。

また、語彙の爆発的増加は、**語彙の階層化・カテゴリー化(例:動物→哺乳類→ネコ)**という認知的整理力の発達とも関連しています(Bloom, 2000)。


比喩・冗談・言葉遊び:言葉に「裏の意味」があることの理解

この時期から、子どもは文字通りの意味ではない表現、すなわち比喩や冗談、ことば遊びが理解できるようになります。

例:

  • 比喩:「ママ、ライオンみたいに怒ってた」
  • 冗談:「おばけがケーキ食べたんだって〜!」
  • 言葉遊び:「すべってころんで 大あたり!」

これらの理解には、文字通りの意味と**意図された意味(暗示、感情、社会的文脈)**を区別する力が必要です。この力は、「語用論的能力(pragmatics)」と呼ばれ、**心の理論(Theory of Mind)**の発達と深く関係しています(Happé, 1993)。

冗談や言葉遊びを楽しめるようになることは、相手の視点に立ち、文脈から意味を読み取る力が育っているサインでもあります。


学習言語への移行:論理的・抽象的な言葉を使い始める

5〜6歳になると、**経験に基づく「生活言語」**だけでなく、**知識や考えを言語化する「学習言語」**への移行が始まります。

例:

  • 「どうして雨が降るの?」→「雲の中に水がたまって、重くなったら落ちてくるんだって」
  • 「もし◯◯だったら、どうなる?」といった仮定の話も少しずつ理解

これは、「ここ・いま」から離れた話題や、「見えない概念」を言葉で考え、説明する力が発達してきたことを示しています。この能力は、**小学校での学習(説明文、算数の文章題、理科的な思考)**に大きく関係します(Snow, 2010)。


科学的視点:抽象言語と脳の機能的結合

抽象的・論理的な言語の運用には、以下の脳領域の統合的なネットワーク活動が必要です。

  • 前頭前野(思考・推論・仮定)
  • 頭頂葉(空間・数の処理)
  • 側頭葉(語彙・意味の処理)

特に、前頭前野と側頭葉の接続の強化が、比喩や比喩的表現の理解を支えるという研究もあります(Bohrn et al., 2012)。

また、**言語経験の質と量(会話、絵本、説明的な語りなど)**が、これらの脳ネットワークの発達を大きく促進することも明らかになっています(Romeo et al., 2018)。


注意すべきサインと専門的支援の目安

5〜6歳になると、会話・説明・語彙の使用の「正確さ」「明確さ」が求められる場面も増えてきます。以下のような兆候がある場合は、**言語発達症(DLD)学習障害(LD)**などの評価を検討しましょう。

  • 年齢に見合わない語彙の少なさ/語の選択ミスが多い
  • 比喩や冗談が理解できず混乱する
  • 順序立てて話すことが苦手(話が飛ぶ・要点がない)
  • 抽象的な話題(時間、理由、感情)を理解しにくい
  • 他者との会話での誤解やトラブルが多い

この時期にできる言葉の支援・関わり方

  • 子どもに「どうして?」「なんでそう思ったの?」と思考の言語化を促す
  • 因果や推論のある絵本・読み物を選び、「理由を話す」練習をする
  • 「ことばあそび」や「しりとり」「なぞなぞ」などで言葉の柔軟性を育てる
  • 比喩やことわざに触れる機会をつくる(例:「どんなときに“雨降って地固まる”って使う?」)
  • 友だちとの「会話の練習」を支援(相手の気持ちを考える・説明する・話を聞く)

参考文献
Bloom, P. (2000). How Children Learn the Meanings of Words
Brauer, J., Anwander, A., & Friederici, A. D. (2013). “Neuroanatomical prerequisites for language functions in the maturing brain.” Cerebral Cortex
Bohrn, I. C., Altmann, U., & Jacobs, A. M. (2012). “Looking at the brains behind figurative language.” NeuroImage
Happé, F. G. E. (1993). “Communicative competence and theory of mind in autism.” Cognition
Snow, C. E. (2010). Academic language and the challenge of reading for learning
Romeo, R. R., Leonard, J. A., et al. (2018). “Language exposure relates to structural neural connectivity in childhood.” Journal of Neuroscience

6歳以降の言語発達(学齢期)

──「話す」から「読む・書く・考える」へ──言語が学びと社会性の基盤に変わる時期


この時期に見られる主な発達のステップ:

学年の目安発達の例
小学1〜2年書き言葉の習得が本格化/語彙数の増加
小学3〜4年学習言語の活用/文章理解と表現が高度化
小学5〜6年比喩・ことわざ・抽象的語彙の理解/論理的文章の構成が可能に

「生活言語」から「学習言語」へ完全にシフト

6歳以降になると、子どもは家庭や日常生活で使っていた「生活言語(BICS)」から、学校や教科学習に必要な「学習言語(CALP)」へと移行します(Cummins, 1979)。

  • 生活言語(BICS):友だちと遊ぶ、会話するなど日常的な言葉
  • 学習言語(CALP):教科書の文章、説明文、レポート、作文などの抽象的な言葉

この移行がうまくいくことで、「読解力」「表現力」「論理的思考力」が育ち、教科学習への適応や学力形成の基盤になります。


語彙の拡大とカテゴリー的理解の深化

この時期、語彙数は飛躍的に増加し、語の意味の多義性・階層性・抽象性を理解できるようになります。

  • 多義性:「はし」→ 食事のはし、橋、端など
  • 階層性:「植物」>「花」>「チューリップ」
  • 抽象性:「責任」「自由」「規則」など

このような語彙の構造化は、語彙ネットワーク(semantic network)の再編成に関係し、脳の側頭葉と頭頂葉の連携の発達によって支えられます(Nagy & Scott, 2000)。


読む・書くスキルとの連携:リテラシーの確立

言語の運用力は、**リテラシー(読解・記述)**の発達と密接に関連しています。

  • 読む力(読解力):語彙の理解、文法の知識、文脈の推測力
  • 書く力(記述力):語彙の選択、文の構成、論理の整理、接続詞の活用

読解力が高まると、**「読むことで語彙が増える」→「語彙が増えると読解が深まる」**という相互強化が起こります(Stanovich, 1986)。このプロセスが順調に進むことで、学力の土台が安定していきます。


比喩やことわざ、抽象概念の理解の発達

高学年になると、言葉の背後にある比喩的意味、暗喩、ことわざ、ユーモアなどをより深く理解できるようになります。

例:

  • 「油を売る」「口が滑った」「雲をつかむような話」
  • 「本音と建前」「責任を取る」「選択と結果」などの抽象語彙

これには、語用論的能力論理的推論能力が必要であり、**前頭前野(dorsolateral PFC)や内側前頭前野(medial PFC)**の働きが重要です(Vosniadou & Brewer, 1992)。


論理的思考と話し言葉・書き言葉の融合

この時期になると、子どもは**「主張→理由→具体例→まとめ」**といった論理的な構成で話したり、書いたりできるようになります。

例:
「ぼくは図書室に静かな音楽を流した方がいいと思います。なぜなら、本を読んでいるときに集中できるからです。家でもそうしています。」

これは、情報を整理し、因果関係を明示し、相手に伝える能力が発達してきた証であり、論述力・表現力・説得力の基礎になります(Kintsch, 1998)。


注意すべきサインと学齢期の言語発達障害

以下のような特徴がある場合は、**学習障害(LD)や言語発達症(DLD)**などの可能性があり、早期の専門的評価と支援が重要です。

  • 語彙が少ない、文法が幼い、説明がうまくできない
  • 読書が極端に苦手/文章題の理解が困難
  • 話の要点をつかめず、会話がちぐはぐになる
  • 書くことに強い苦手意識がある/作文が非常に短い
  • 比喩やことわざ、冗談が理解できず文字通りに捉える

支援と関わり方のポイント

  • 本や新聞、図鑑など「書き言葉」に日常的に触れる環境をつくる
  • 感想や考えを言葉にする習慣を育てる(例:「どう思った?」「なぜそう感じた?」)
  • 説明や主張を言葉で整理する練習をする(プレゼンごっこ・ミニ発表など)
  • 比喩・ことわざなどをクイズ形式で学び、背景を話し合う
  • 言語に課題のある子には、段階的に言葉の構造を可視化・支援する(例:言葉のテンプレート、マインドマップ)

参考文献
Cummins, J. (1979). “Cognitive/Academic Language Proficiency”
Nagy, W. E., & Scott, J. A. (2000). “Vocabulary Processes”
Romeo, R. R. et al. (2018). “Language experience relates to brain structure in children.” Journal of Neuroscience
Stanovich, K. E. (1986). “Matthew effects in reading: Some consequences of individual differences in the acquisition of literacy.” Reading Research Quarterly
Vosniadou, S., & Brewer, W. F. (1992). “Mental models of the earth: A study of conceptual change in childhood.” Cognitive Psychology
Kintsch, W. (1998). Comprehension: A paradigm for cognition

【まとめ】言葉の発達は「伝え合い」の土台となる一生の力

言葉の発達は、0歳の喃語から始まり、年齢とともに「語彙」「文法」「会話力」「思考力」へと段階的に広がっていきます。
単に話せるようになるだけではなく、「考える」「つながる」「学ぶ」ための手段として言葉が洗練されていくのが、幼児期から学齢期にかけての大きな特徴です。

  • 0〜1歳では、音声への反応や喃語のやりとりを通じて「ことばの土台」が育ち、
  • 1〜3歳では、語彙が急増し、二語文や文の構造が形を成し始めます。
  • 3〜5歳になると、物語を語ったり、自分の思いや理由を言葉で伝える力が発達し、
  • 5〜6歳では、比喩や冗談、学習言語といった抽象的で論理的な言葉の世界に足を踏み入れます。
  • 学齢期以降は、言葉が「学びの道具」「対話の手段」として活用される段階へと移行していきます。

こうした発達は、**脳の神経回路の成熟(前頭葉・側頭葉・頭頂葉のネットワーク)**と密接に関係しており、日常のやりとりや遊び、読み聞かせといった日々の関わりが、その発達を大きく後押しします。

一方で、言葉の発達には個人差があり、「話し始めが遅い」「語彙が伸びない」「会話が続かない」といった困りごとを抱える子もいます。
それは時に、発達の個性であることもありますが、**発達性言語障害(DLD)や学習障害(LD)**といった支援が必要な状態が隠れている場合もあります。
そのため、「なんとなく気になる」があったときは、早めに専門家に相談することが、子どもの力を引き出すきっかけになります。


■ 言葉を育てる関わりのヒント

  • 子どもの言葉を「聞く」「広げる」「認める」姿勢を大切に
  • 絵本や遊びの中で自然に語彙や文の構造に触れる
  • 「なぜ?」「どう思った?」と考えを言葉にする機会を増やす
  • ことば遊び、冗談、比喩などを通じて楽しみながら語用論を育てる
  • 必要に応じて、言語聴覚士(ST)や発達支援の専門家と連携を取る

言葉は、その子の「世界を理解する力」であり、「自分を表現する力」であり、「他者とつながる力」です。
だからこそ、一人ひとりの発達のリズムを尊重しながら、家庭や教育の場であたたかく支えていくことが、未来への豊かな土台づくりになります。

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