だいぶ、気温が下がってきました。我が家の四男は野球の練習をするにあたり、手袋を買ってもらいました。それがとてもうれしかったのか、手袋をしたまま眠りにつきました。
もちろん、寝ている間に無意識で手袋はずしていましたけれどw
「買ってもらえてうれしかったね」 どうも、ゆーです。
嬉しい気持ちに共感する声かけによって、素直にうれしいと感じる感性を身に着けることができます。些細な会話ですが、子育てのヒントはたくさんありますね。
さて、わたしのリハビリカルテでは、母親にマッサージの指導をしていると記載しました。今回は、そのマッサージの効果と注意すべきポイントを解説します。お母さんがさする手には、もともと癒しの効果が備わっているんですよ!!
合わせて読みたい
・実際の小児リハビリ現場。わたしの小児リハビリカルテ
スキンシップやマッサージの効果
子どもに対するマッサージやケアの方法は様々あります。研究では、次のような効果があると述べられています。
・児に対し愛着が増し、肯定的な感情が増強され、否定的な感情が改善する
・児の感情を汲み取ることが容易になり、コミュニケーションがとれやすくなるという適切な自己肯定感につながる
・母親の情緒が安定し、緊張が緩和しストレスも低下する
・子どもへの精神的効果では、緊張が緩和しストレスも低下する
子どもの身体、生理的作用について
ある文献では子どもに与える身体的、生理的な作用について次のように述べられています。
・どのような対象に行うか、またどのような方法でどの時期に行うかにより、その効果には大き
な違いがある
・母子関係の良好な構築を主たる目的とするのが妥当であり、生理学的効果を過度に期待する言及は避けるべきと思われる
様々な研究によって、睡眠状態の変化、栄養状態の変化、体重の増加などが報告されていますが、対象となるお子さん、方法による違いなどから、それぞれ大きな差があるようです。
専門家による分析や適切な評価が必要と考えられます。
癒しの速度
ある研究によると次のようなことが報告されています。
毛が生えている皮膚の部分を1秒間に4~5cmという速度でなでられると、『pleasure sensation(喜びの感覚)』が生じる
この1秒間に4~5cmの速度というのは、ちょうど母親が子供をなでるときの速度に類似していると言われています。この速度が癒しの効果を生んでいます。
あなたが、子どもをやさしくなでるだけで「喜びの感覚」がうまれ、子どもにとって癒しの効果を与えることができるのです。
手当てが痛みに聞く理由は
「痛いの、痛いの、とんでいけ~!」
痛みを和らげるために、痛いところに手を当てて、さすりますね。これにもきちんとした理由があるのです。
脳は痛みなどの有害な刺激と、無害な通常の感覚(体性感覚)の2つの刺激を受け取っています。
この脳に感覚情報が伝わる前に、門番の役目をする細胞があります。
この細胞の特徴は、痛みなどの有害な刺激が強い時は痛みを脳に伝えますが、無害な通常の感覚が強い時はこの細胞は機能を抑え痛みを伝えにくくします。
つまり、さすることで皮膚から無害な感覚が強く入ることで、この痛みを伝える細胞の働きを抑えているというわけです。
痛いところに手を当ててさすって痛みが和らげることは、脳科学的にも効果があると言えます。
ちょっと難しいけどきちんと知りたい人はコチラ
・痛みはコントロールされている?ゲートコントロール理論について。
マッサージの効果的な方法は専門家に相談する事!
ここまでの話から、皮膚をなでる、さするはそれだけで効果を発揮することがわかります。
私自身、専門家の立場から申しますと、マッサージはきちんとした方法でやらないと逆に体を痛めてしまう可能性があるため、専門家のアドバイスや指導が適切だと考えています。
また、マッサージをしてはいけない場合がありますので注意が必要です。
マッサージをしてはいけない例
・急性炎症が起きている場合(赤み、はれ、熱を持っている、痛み)
・感染症などで炎症が起きている場合
・骨折や傷があるところ
・がん(悪性腫瘍)
・心臓に疾患がある
・そのほか、体調が悪い時
軽くさする程度であれば、問題ありません。
それでも、子どもになにかしてあげたいと思っているあなたへ。軽くさする程度であれば、問題ありません。ただし、上記のダメな場合はやらないようにしてください。
あなたとお子さんのコミュニケーション、スキンシップとして行いましょう。
・胸、おなかを軽くさすります。(力を入れすぎないように注意)
・背中、腰などをやさしくさすります。(うつぶせにするときは、楽に呼吸ができるように注意しましょう)
・腕や肩、足をやさしくさすります。(指に力を入れず、手のひらでさするようにすると気持ちが良いです。)
あくまでも、スキンシップを目的として推奨します。
まとめ
マッサージには様々な効果を生み出すと言われていますが、きちんとした専門家が体を触って適切に行うからこそ、効果があると思います。
ですが、親子の触れ合う方法の一つとして、なでる・さするといった方法は、子どもにとっても、親にとっても癒しの効果があります。正しい知識と方法で、安全にお子さんと触れ合いましょう。
お読みくださって、ありがとうございました。
引用文献
・Lőken LS. et al: Coding of pleasant touch by unmyelinated afferents in humans.Nat Neurosci 12.547-548.2009
・飯島 梢日本におけるベビーマッサージの効果に関する文献レビュー日本小児看護学会誌 24(1), 68-75, 2015
・辻内 敬子他:日本東洋医学系物理療法学会誌 第 45 巻 2 号.41-47. 2020
・小西真愉子他:タッチケア/ベビーマッサージの児への臨床的効果とその生理的メカニズムに関する文献検討:秋田県母性衛生学会雑誌25: 30 39, 2011
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