仕事から帰ってきて、職場の売店で買ったお菓子を子供たちに配りました。そのとき、三男にちょっと意地悪してみたんです。
私:これあげちゃうと、パパの分が無くなっちゃうなぁ(きっとやさしい三男はパパにあげるよっていうかな)
三男:ざんねんだったね。頂戴!
残念 どうも、ゆーです。
期待していた答えは得られませんでした…。
あなたは手遊びをしたことがありますか?
むかしからある手遊びや手遊び歌は小さな子供から遊び親しまれてきました。
たくさん手遊びや手遊び歌を紹介しているサイトがあり、みているだけでも楽しい気持ちになります。
では、この手遊びや手遊び歌にはどのような効果があるのでしょうか?
今回は、手遊びの効果について、様々な文献をもとに科学的に紐解いていこうと思います。さらに私の独断で手遊び30選を効果のカテゴリーに分けてみました!
こんな方におススメ!
✧٩(ˊωˋ*)و✧
保育士・支援者の方
手遊び・手遊び歌を科学的根拠な効果を知りたい
親子で効果的に手遊び・手遊び歌をしたい
手遊び・手遊び歌の効果を文献から考える
手遊びや手遊び歌には、いくつかの要素が含まれています。その要素とは、
・音楽
・言葉やジェスチャー
・コミュニケーションや人とのかかわり
・振付などの運動
これらの要素について、脳科学的な視点からいくつか文献を解説していきます。
音楽と感情・情動の関係性
音楽を聴いたときに心揺さぶられる、時に涙や鳥肌がたつときさえあります。これは、音楽を聴いたときの脳の働きによって、自律神経や自分の感覚まで影響を及ぼしているからです。
音楽無感症という音楽を聴いて何の感情もわかない症状がある。この原因は右半球の上側頭回から島、頭頂葉下部の皮質・皮質下であると考えられる。
音楽に対してなにも感情が湧かない症状が出るということは、逆に言えばこの脳の領域が感情や情動と関わっていると推測されます。
とくに「島」という脳の部分は、次のような機能があると言われています。
島は、多重感覚の統合の場として、外部からの情報と身体内部の情報との協調に関与している。
島は、脳の様々な領域と結びついていて、自律神経機能や情動、体内知覚への気づき、痛みや温度の知覚、嗅覚、味覚、前庭感覚、聴覚過程、言語にはたらく。
耳から入ってきた音楽は聴覚をつかさどる領域を通過したあと、頭頂葉や前頭葉とネットワークを作って、さらに「島」に入ってきます。
島は脳のいろいろな領域とネットワークを作って、各領域に送っています。そうするとその先にある脳が活性化し、自律神経や言語機能、自分の体や感覚への気づきにつながっていくのです。
音楽を聴いて心が震える、感動して涙が流れるという現象は、自律神経の働きや体内知覚への気づきによって引き起こされているのです。
天才音楽家の脳は特化して発達している
プロの音楽家や演奏家の脳を研究した文献では面白い脳の変化がみられています。
音楽家は、通常の人と比べて左側の上側頭回の後ろ3分の2が以上に発達していた。
この上側頭回という脳の領域は、聴覚野、聴覚連合野など聴覚能力に関わる脳の領域です。音楽家たちは、日々音楽を聴くことで、この領域が発達し、優れた聴覚能力を持っていることが示唆されています。
プロの演奏家にも面白い脳の変化がみられています。
バイオリン、チェロ、ピアノ奏者の脳を調べたところ、中心前野と中心後野が著しく大きかった。
中心前回という脳の領域は、手指を動かす運動や感覚に関連し、中心後回は感覚をつかさどる脳の領域を含みます。
つまり、演奏するための指先の動きやその感覚に特化して発達していたということが示唆されました。
どちらもプロの音楽家、演奏家ですから、それに特化した脳の領域が発達したと考えられますが、注目は「発達させた」ということです。つまり、あとから身についたということ。そのことを証明するような研究があります。
生まれつき音楽家に向いている能力があるか(音楽のセンスがあるか)を調べた研究です。
楽器演奏を学び始めたばかりの子どもと、楽器演奏を学んでいない子どもの能力を比較したところ、学習開始時点ではどちらも何ら違いがない。
つまり、生まれつき備わっているわけではなく、練習や学習を重ねて能力を身に着けていくことがわかります。
音楽と触れ合うことで、この聞くことに関する脳の力や、手を使うことで運動や感覚をつかさどる脳の領域の発達を促すことができるということが言えます。
音楽と言葉には密接な関係がある
大変興味深い研究があります。
4歳から6歳までの幼児の集団で、音楽の訓練を受けた集団は言語能力が向上した。
具体的には、語彙(ボキャブラリー)が豊富になり、意味をこたえられる単語の数が増えた
実際に音楽家たちはいくつもの言語を扱う人が多いそうです。手遊びには、必ずと言っていいほど歌がついています。音楽や手遊びが、言葉の発達にも影響を与えていることがこの研究からわかります。
ジェスチャーと手遊びの関係
手遊びや手遊び歌の中には、ジェスチャーのような振付があります。このジェスチャーに関しても興味深い報告があります。
コミュニケーション能力を獲得するには、「身体性」(あるいは動作等)の役割が重要である。
乳幼児は、言語機能を獲得する以前に、表情やジェスチャーを用いて、コミュニケーションをとることを学習する。コミュニケーション機能は、まず動作を介して獲得すると考えられる。
社会性やコミュニケーションの発達には、この体の動きという物が重要となってきます。言葉が発達する前は、自分の体の動きで表現し自分の意志をつたえます。
つまり、手遊びや手遊び歌の振付によっても、これらコミュニケーションの土台となる部分の発達を促す役割があるのではないかと考えられるわけです。
動きを覚えながら、言葉や意味と結び付けていきます。
リズミカルな運動と脳の機能
手遊びや手遊び歌には、両手や片手の動作、順番通りに体を動かす、リズミカルに体を動かすといったものが含まれるものがあります。
前頭葉にある補足運動野には、両手と片手を区別しているような細胞、順序運動の制御に関わる細胞があることがわかった。
基底核はリズミカルな手足の運動のコントロールの役に立っている。
注目すべきは、この前頭葉や基底核といった部分、音楽の情報が通る場所でもあるということです。音楽に合わせて手足をリズミカルに動かす、両手の動き、片手の動きなど織り交ぜた手遊び、手遊び歌は、まさにうってつけのあそびであることがわかります。
音に合わせて体を動かすことで、ベースとなる体のイメージや協調運動などを促すことができます。
手遊び、手遊び歌の効果
ここまでの文献をまとめますと、手遊びや手遊び歌には次のような効果が考えられます。
・手遊びや手遊び歌によって、
脳が活性化し、自律神経、自分の体や感覚への気づきにつながっていく
聞く力をつかさどる脳の領域の発達を促すことができる
運動に関係する脳の領域の発達を促すことができる
言葉の発達、語彙(ボキャブラリー)の増加
コミュニケーションの土台を作ることができる
社会性や人とのかかわりを促すことができる
もっと簡単にまとめると
・体のイメージや運動イメージの発達、運動に関わる脳の発達を促す
・言葉の発達、語彙(ボキャブラリー)の増加
・コミュニケーションや社会性の土台を作る
おもに「運動」「言語」「コミュニケーション」この3つに良い影響を与えると考えられます。
ちなみに集中力に関しても文献がありましたが、手遊びによる効果が活動の序盤においてのみ集中力を促進するという限定的であったため、今回は効果としてのせていません。
手遊び、手遊び歌 30選を3つの効果にカテゴリー分け
ここまで来たら、もはや手遊び・手遊び歌自体に上記のような効果があることは明らかです。ですから、何でもよい!と言えます。しかし、それでは雑な考察になってしまいますので、手遊び、手遊び歌をさきにのべた効果3つを用いてカテゴリー分けしてみたいと思います。
運動を発達を促す手遊び、手遊び歌
運動に関する脳の機能や自分の体の認識を高める遊び、体のイメージや運動のイメージを作るためのあそびです。リズミカルな運動やタイミングを合わせる運動なども含まれます。
・あたまかたひざポン
・いっぽんばしこちょこちょ
・いっぽんゆびではくしゅ
・いわしのひらき
・うさぎさん
・おおきな栗の木の下で
・キャベツの中から
・グーチョキパーでなにつくろう
・さかながはねて
・どんぐりコロコロ
・トントントントンひげじいさん
・むすんでひらいて
言葉の発達、語彙を増やす手遊び・手遊び歌
言葉の意味や語彙が比較的よく含まれる遊びです。運動と一緒に行うことで、より言葉の意味を理解しやすくなります。また、言葉を分解して遊ぶあそびも含まれます。
・おせんべやけたかな
・いっぴきののねずみ
・おおきくなったらなんになる
・おちたおちた
・おべんとうばこ
・カレーライス
・くいしんぼうゴリラ
・げんこつやまのたぬきさん
・コロコロたまご
・パンダうさぎコアラ
・パンやさん
・りんごのうた
・手をたたきましょう
コミュニケーションや社会性の土台をつくる手遊び・手遊び歌
人とのやり取りやゲーム性をもった遊びが含まれます。
・アルプス一万尺
・ずいずいずっころばし
・なべなべそこぬけ
・バスごっこ
・やきいもグーチーパー
大まかに分けましたが、どのあそびにも3つの要素は含まれています。
あまり効果にこだわらずに子どもが楽しめる手遊びをしましょう!
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一番の効果は、ポジティブな感性
保育士、支援者、そして両親。大好きなあなたと一緒に遊ぶから、楽しいしうれしいんです。
たのしい、大好きといった感性は脳の芽生えを促進します。このポジティブな感性を持って、手足の運動や言葉、コミュニケーションを学ぶことが一番おおきな効果と言えるでしょう。
合わせて読みたい
・子どもの能力・才能はポジティブの感性から!
まとめ
子どもたちと触れ合い、一緒の時間を楽しむことが手遊び・手遊び歌の最大のメリットです。手遊び・手遊び歌の効果を科学的に紐解いてみました。
あなたが子どもたちと一緒に遊んでいる手遊びや歌には科学的に意味や価値がある。
この記事があなたにとって参考になれば幸いです。
引用文献
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・岩永竜一郎:遊びと脳の発達.OT ジャーナル 45(7).778-782.2011
・目久田 純一他:保育活動に対する幼児の集中力に及ぼす導入としての手遊びの効果.梅花女子大学心理こども学部紀要 8.1-9.2018
・盛り上がる人気の手遊び16曲!【1歳児~5歳児向け・面白い】
https://www.hoikujyouhou.com/hoiku_club/120#1
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https://tebura-touen.com/column/archives/51
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